【ネタバレ注意】『トランスフォーマー/ONE』徹底解説トリビア。トランスフォーマー40年の歴史が凝縮されたイースターエッグをご紹介!!
2024.10.04『トランスフォーマー』シリーズ最新作『トランスフォーマー/ONE』は、ハリウッドムービーのみならず40年にも及ぶシリーズの歴史が凝縮された集大成ともいえる小ネタが満載。ここでは映画をより楽しむための豆知識やチェックポイントをご紹介しよう。これを踏まえて二度三度『トランスフォーマー/ONE』を観れば、さらに深く映画を楽しめるはずだ!!
構成・文●島田康治(TARKUS)
※本記事はネタバレを含みます。映画鑑賞後にお読みいただくことをおすすめします。
■トランスフォーマーとは!?
まずは改めて、トランスフォーマーについておさらいしてみよう。
1980年代初頭、日本の玩具メーカー・タカラトミー(旧タカラ)が生み出した「ダイアクロン」「ミクロマン」という2つの玩具シリーズから抜粋された変形ロボット玩具が、米国の玩具メーカー・ハズブロの手によって善と悪の軍団に再編された。その基本設定と世界観を創り出したのは、映画ファンなら知らぬ者はいないあのマーベルコミック。余談だが米国で発売された初期のコミックには、あのスパイダーマンやニック・フューリーといったマーベルキャラクターたちが客演しているのだ。
こうしてロボットたちはただの機械ではなく、感情と意思を持った異星の生命体「トランスフォーマー」として定義された。宇宙創成から未来へと果てしなく続く善と悪の戦い、超ロボット生命体の神話が誕生したのである。米国で1984年に始まったトランスフォーマーは、翌85年には日本への逆輸入も実現し、オプティマスプライムは「コンボイ」の和名が付けられた。他にもオートボットは「サイバトロン」、ディセプティコンは「デストロン」、サイバトロン星は「セイバートロン星」などなどの和名が作成されたが、ここでは映画の記事ということで基本的に原語名で表記していこう。
■サイバトロン星の歴史
冒頭、記録保管庫に忍び込んだオライオンの前で語られるサイバトロン星の歴史。これは2012年に日本でも放送されたアニメシリーズ『トランスフォーマープライム』や国内未発売のゲームや小説の下敷きとすべく2010年頃に整理されたトランスフォーマーの基本設定を踏襲している。創造神プライマスによって作られた最初のトランスフォーマー「13人のプライム」の顔ぶれや、クインテッサによる植民支配、支配階級と労働階級に分かれたサイバトロン星、オプティマスとメガトロンの友情と別離など、サイバトロン星の歴史の基礎が、この時代に整理・再設定された。のちのシリーズが必ずそれに準じているわけではないのだが、今回の『ONE』はかなりそれに近しい形で映像化が行われている。
ちなみに惑星のコアになる善神プライマスのデザインと変形パターンは『トランスフォーマーギャラクシーフォース』にて発売された玩具をシンプルに再現したモデルが起こされている。このプライマスと対を成す存在こそが『ビースト覚醒』にも登場したトランスフォーマーマルチバース最大の敵「ユニクロン」なのだ。
■オライオンパックスとは?
この映画の主人公、「オライオンパックス」という名を初めて耳にした人も少なくないだろう。オライオンパックスこそは、のちに自由と平和を愛するオートボットの司令官オプティマスプライムとなるロボットの、若き日の姿である。
このオライオンパックスが初めて登場したのは、40年前(日本では39年前)のTVアニメ『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』のなかのエピソード「引き起こされた戦争」でのこととなる。サイバトロン星の900万年前を描いたこのエピソードでは、一介の労働ロボットだったオライオンパックスがメガトロンの凶弾に倒れ、オプティマスプライムへと生まれ変わる。つまりは『ONE』の原点となるストーリーは、既に40年前に誕生していたのだ。
ちなみにオプティマスのメイン武器はライフルとエナジーアックスだが、今回登場するのはアックスのみ。あるいは原語キャストであるクリス・ヘムズワースをリスペクトしてか、オプティマスはこれまでになくアックスを自在に使いこなしている。
■D-16とは?
もうひとりの主人公「D-16」は、のちに全宇宙の支配を企むディセプティコンのリーダー、破壊大帝メガトロンの若き日の姿。この「D-16」という名は、過去のサイバトロン星におけるエネルゴン鉱山労働者に与えられた認識番号が元ネタとなる。
そしてメタ的な意味での元ネタを遡ると「16」という数字は、1985年に日本でメガトロンの玩具が発売された際の製品ナンバーに由来する。ただしその時点ではアルファベットは付与されておらず、実際に「D-16」のナンバーが使われたのは、1998年の『ビーストウォーズⅡ』の「ガルバトロン」でのことだった。メガトロンに縁あるといえば言える符丁である。
D-16は姿形も進化を遂げてゆくが、開始当初のD-16の黒く丸いヘルメット状の頭部デザインや黄色い瞳は、初期の玩具CMやマーベルコミックに使われた、玩具試作を元に描き起こされた初期デザインを反映。これが彼の内面の変化とともに、次第にメガトロンの特徴である頭部デザインと紫の瞳へと変化してゆく。その変容は、正義のロボットであったミクロマン玩具が、悪のディセプティコン破壊大帝へと変更された過程と重なるところがある……というのは考えすぎだろうか。
■友情に胸アツ!!
本作最大の見所は、なんといってもオライオンとD-16の固い友情であろう。映画のラストでその友情は決定的に壊れてしまうのだが……実はトランスフォーマーの歴史において、オプティマスとメガトロンは常に敵対してきたというわけでもない。そもそも先に挙げたエピソード「引き起こされた戦争」では戦争勃発以前、純真無垢なオライオンは、最新型で能力に勝るメガトロンに憧れを抱いていたのである。そしてエピソードによっては度々共闘する機会もあり、なかでも最新のアニメシリーズ『トランスフォーマー アーススパーク』では、2人はトランスフォーマーのため共に戦う仲間として描かれている。はたして『ONE』で失われた彼らの友情が、本当に二度と取り戻せないものなのか。まだ誰にも判らないことなのだ。
ちなみに過去のムービーシリーズにおいても、オプティマスはメガトロンを「同士」と呼んだことがある。さらには第3作『ダークサイドムーン』の初期には、地球とサイバトロン星を救うため2人が力を合わせて裏切り者センチネルプライムを倒すという、まるで本作のラストを予感させるようなプランまで存在した。
■B-127かビッグヤバトロンか!?
のちに「バンブルビー」として世界中の人気者となる「B-127」は、これまでのムービーシリーズとは異なり音声回路を破壊されていないという設定。その結果これまでの7作を埋め合わせるかのように、とにかくお喋りに描かれている。数字は映画『バンブルビー』で登場したものであり、地球で付けられた「バンブルビー」の名は今回一切登場しない。ヘルメットのデザインや武器はムービーシリーズからイメージを移植。顔を覆うバトルマスクのデザインはオリジンとなる80年代の玩具デザインに由来しており、懐かしさを感じたオールドファンもいたのではないだろうか。
なお吹き替えを担当した木村良平は、2015年の『トランスフォーマーアドベンチャー』からバンブルビーの声を担当するバンブルビーならこの人というキャスティングとなる。
■エリータ-1
メイン4体のなか紅一点「エリータ-1」は『戦え!~』におけるゲストキャラクターが元ネタ。前出の「引き起こされた戦争」では、オライオンパックスの恋人エイリアルが生まれ変わった姿であることも判明する。そうした出自を知っていれば、今回の映画での2人の関係がどうなるのか気になったファンもいたのではないだろうか。あるいは今後さらに進展するのか否かを想像するのも楽しい。
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