HOME記事工具・マテリアルニッパーでプラモデルのパーツを切ってみよう!【いまさら聞けないプラモデルの基礎:ニッパーの使い方】

ニッパーでプラモデルのパーツを切ってみよう!【いまさら聞けないプラモデルの基礎:ニッパーの使い方】

2024.12.07

初めてでも安心!プロモデラー「ノモケン」と学ぶプラモデルの入り口!! File.02

よく聞く“二度切り”ってどんな切り方?

ゲートを2回に分けて切ることで切り口をキレイに仕上げられる切り方です

 先に説明したように、ランナーから切り離す切断は歪みが大きくなります。そこで、1回目の切り離しではゲートのパーツ面から少し離れた位置で切断。パーツがランナーから完全に切り離されたら、残ったゲートをあらためて切ります。ランナーから切り取られたことで、2回目の切り取りはニッパーを理想的な向きにあてがいやすく、切り取りの力も逃げやすいので歪みも少なくすみます。「切り分ける切断」と「パーツ表面を整える切断」を行うのです。

ゲートを“二度切り”する手順を解説!

①ゲートの形状を見てニッパーの刃の当て方を考える

3種類のランナーの画像
▲ ゲートの付き方や形状は様々なケースがあります。最近ではパーツ形状の都合だけでなく、ゲート跡を小さくするものや、見えない向きにするなど配慮されている場合も多いです。どの向きで切るかはゲートの形状をよく見て判断しましょう。いずれにしてもパーツのフチから離して切れば無難です

②ゲートを余らせて一度目の切断

ニッパーでの二度切りの説明画像 その1
▲ 二度切りの工程を見ていきます。まずランナーから切り離す段階。斜め方向からニッパーを入れ、ゲートを余らせて切っていきます。これをパーツ周囲全てのゲートで行います

③余らせたゲートを切る二度目の切断

ニッパーでの二度切りの説明画像 その2
▲ 切り離されたパーツに残ったゲートを切るのが二度切り目。今度はゲートの薄い方を挟む理想的な向きにニッパーをあてがえます。これで切ると歪みにくいというわけです。場合によっては三度、四度と細かく切り取ることもあります
ニッパーでの二度切りの説明画像 その3
▲ 小さく残ったゲートを切ったところ。白化や歪みもなく切り取れました。手軽な組み立てならこれで充分。わずかな段差や跡を消したい場合はヤスリなどで周辺と均して仕上げます

Point! 二度切りをした方がよいケースをご紹介!

二度切りの図解画像
▲ ゲートは必ずしも平面に付いているとは限りません。斜面や曲面に付いている場合など、いきなりパーツのフチで切ってしまうと切りすぎになってしまうことがあります。それを避けるためにも二度切りするのが有用です。また切り口を整えるのはニッパーに限らずヤスリなど他の道具も適材適所で使いましょう

二度切りしたほうがよい具体例

二度切りした方がいいランナーの画像 その1
▲ パーツの凹みにゲートがある
二度切りした方がいいランナーの画像 その2
▲ パーツの曲面にゲートがある
二度切りした方がいいランナーの画像 その3
▲ ゲートが太い(厚い)
二度切りした方がいいランナーの画像 その4
▲ パーツに対してゲートが斜めになっている
二度切りした方がいいランナーの画像 その5
▲ クリアーパーツ

なるべく長く同じニッパーを使いたいのですが長持ちさせるコツはありますか?

使用後はしっかりとメンテナンスしましょう

 ニッパーはとくに手入れなどなどせずに使われる方も多いようですが、切れ味や動きを保つには簡単にでもメンテナンスをして、良い状態を保ちましょう。高価なニッパーや繊細な刃先のモノなど増えていますので、それを活かせる扱いをしたいものです。

歯ブラシでニッパーについたゴミを落としている画像
▲ 切りくずや削りカス、ホコリなどが付着したらブラシなどで取り除きましょう。刃の根元に切りクズが食い込んだりすると動きの妨げになったり、刃を傷めることにもつながります。製作の区切りでやっておきましょう
ニッパーのメンテナンスの画像
▲ 動きが渋い、サビが出た、なんてことがおこる前に、たまに注油をしてあげましょう。写真は筆者が使っているサビ取り・潤滑剤(HOZAN Z-215)。注油後はやはり動きが軽くなります。動きが渋いニッパーでも案外復活します
ニッパーにキャップやカバーをつけた画像
▲ ニッパーを工具箱にいれたり、引き出しにしまうなどしていると刃に他の道具が当たりがち。特に薄刃や片刃などは刃を痛めないためにキャップやカバーに差しておくと安心。ニッパーに付属していなければ別売品もあります
ニッパーの刃先が曲がってしまった画像
▲ 刃先を曲げてしまった残念な状態。堅い床にニッパーを落としてしまい、こんなことに。ナイフのような刃先は繊細で、切る方向以外の力には弱いのです。注意喚起のために載せておきます

今回のまとめ

 無塗装や整形色を活かして楽しめるキットなどは、ゲート跡を手軽に目立たないように仕上げたいものです。そのため切り口の歪みが少ない(白化しにくい)、薄刃やゲートカット用、片刃ニッパーが人気となっています。ただ、それらを使ったからといって完全に白化を防ぐことはできません。白化させないためには解説してきたような“跡が残りにくい切り方”をすることが大切で、それが仕上がりの見映えをより高めてくれます。もちろんニッパーだけではそういった結果を得るのが難しい箇所もあるので、そこはナイフやヤスリなど他の道具を併用することも必要です。それら「ゲート処理」についてはまたあらためて解説します。


記事中の模型用語をピックアップ簡単解説!

■整形
カタチを整えること。プラモデル製作では、パーツ全体や表面などに余分な凹凸や歪みのない姿にすること。切ったり削ったり方法は様々。

■ゲートの跡(ゲート跡)
ゲートを切り取ったところに凹凸があったり、「ささくれ」が残っていること。それらを滑らかに整えることを「ゲート処理」という。

■白化
パーツの切断部分が白くにごる。ゲートなどパーツの一部に強い力が加わるとおこる。


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解説・文/野本憲一

 多くのユーザーから愛される模型製作ガイド「NOMOKEN 野本憲一モデリング研究所」の著者・プロモデラー。当連載『いまさら聞けないプラモデルの基礎』では、令和最新版“プラモデル製作の基礎”を解説します。現在では数多くの選択肢があるプラモデル製作の道具やテクニック。「名前は知っているけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもなぁ…」と思うものもあるはず。そんな“ギモン”を改めて学んでみましょう。

©あまとき ASSORT ASSEMBLY © KOTOBUKIYA ©サンライズ ©創通・サンライズ

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野本憲一

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