HOME記事その他大森記詩オリジナルSFメカ「ムーストリッチタイプリッパー YLR-2A “ハーレン”」製作過程と機体設定をお届け【MIXINGSCAPE】

大森記詩オリジナルSFメカ「ムーストリッチタイプリッパー YLR-2A “ハーレン”」製作過程と機体設定をお届け【MIXINGSCAPE】

2024.09.24

MIXINGSCAPE/EWY社製 ムーストリッチタイプリッパー YLR-2A“ハーレン”【スクラッチビルド 1/16】 月刊ホビージャパン2024年10月号(8月23日発売)

MIXINGSCAPE No.009

 彫刻家でありモデラーでもある大森記詩が「ミキシング/キットバッシング」の手法で作り上げたオリジナルSFメカを、その製作プロセスとともにお届けする連載企画MIXINGSCAPE。多種多様な形状のパーツから生まれる新たなフォルムの数々を今月もお楽しみいただきたい。


 コントーラ軍事部門における自律型歩行兵器の主力となったリッパーの中で、もっとも多く運用されたのがイーノック・ヴァルベンコア・ヤード(EWY)社のムーストリッチタイプである。同タイプで初めて採用されたヘーネルは、強襲機への搭載も想定した設計であったことから、本格的な実戦投入となった大河戦争ではシャーマナイトの空中強襲機動軍に集中配備され、強襲偵察や市街地での掃討戦、さらには戦車部隊の直掩にも用いられるなど、その有用性を示した。そして、ヘーネルで収集された実戦データを基にした強化型として、EWY社とレイルベッツ社はハーレンを共同開発した。本機には、高出力のレリンハレ軍産研究所のPkW.2パワーパックが採用され、従来機を上回る連続行動時間と高い拡張性が実現された。これによって、装甲目標にも有効なシバート多目的誘導弾、ブルダー対群用防御兵器等の搭載も可能となっている。EWY社と関連メーカーでは、増大する評価と各方面からの配備要請に応えるべく、ヘーネルの製造を段階的に低率化し、各地の無人工廠ではハーレンを最優先機とした増産を推進した。こうしてハーレンは、半島戦争の勃発時にはコントーラでの配備数が派生型も合わせて数千機を超える傑作機となったのである。


▲やってきました脚長手長の鳥型関節。大好きなスタイルです。頭の位置よりも腕部が一段前にあって、そこにもうひとつ可動軸があったらいろいろ便利そう、と思い浮かべつつ芯棒を組みました
▲円筒形を中心に、さらに円形パーツを組み合わせて頭部を作っていきます。多銃身火器が内蔵された頭に見える部位、SFメカでも確立されて久しい定番の記号ですが、やっぱり良いですよね。No.003と重複しますが、誰でも一度はCIWSに脚を生やす妄想をしてしまうのです。ディテールの密度もほど良いところで、おそらくエアブレーキ辺りと思わしきパーツをシュルツェンのように両サイドの装甲として取り付け、機体のボリュームに対して扁平な頭部シルエットにしました。これが塊になってしまうとバランス的にはちょっと重いので、抜けを残してまとめてみます
▲塗装はグレー系にしようということで、明灰白色(三菱系)にブルーグレーの迷彩としました。大まかに全体を筆塗りしてエナメル塗料のダークグレー系でウォッシングし、もう一度機体色でタッチを重ねています。各所のワンポイントにはホビージャパンchの配信で塗っていたハセガワのクァドラン・ロー(ミリア機)で使った赤系が良かっので使いました
▲胸部にはカメラ/センサー風のディテールを組み込みました。ガード部分は新川洋司さんを特集したホビージャパンエクストラで製作したリバース・トライクのスタンドです。2種類入っているのが流用パーツ的には嬉しいですよね。指先は折れやすいので3mm丸棒を1.5mmのアルミ線でつないでから加工しました。こうすると指先の表情も付けやすくなります
▲機体側面に取り付けるガンポッド風な火器を作っていたわけですが、途中からこれは頭のほうがいいのでは…? と行き当たりばったりに差し替えてみたところ、これがまたしっくりきてしまい、こうして頭部は2種類になったのでした(機体がもうひとつ欲しい)。こちらは1/72の航空機胴体を切り詰めてコックピット部分からディテールを詰め込んでいくようにしています
▲ふたつめの頭部には、前号の「いまさら聞けないすごいヤツ!!」の作図参考で使用したタミヤのII号戦車に同梱されていた赤い熊のデカールを流用しました
▲背面の機関部も作図参考のII号戦車から流用した砲塔を中心に組み合わせています。両サイドのディテールは同じく前号の巻頭特集で担当したハセガワのクァドラン・ロー(マックス機)からミサイルパーツです。裏返したらラジエーター風で良い感じに
▲武装も含めて機体部分に量感が出たので、これを支える健脚な印象のバランスとなるように太モモの部分を太ましくして工作は完成です。戦闘機の内壁パーツが両脚外装のイメージにぴったりでした。2023年にヘーネルという同系統の機体を作っていて(お時間ありましたらH Pをご覧ください)、そろそろ後継機か改良型をやりたいな。そんなキッカケで始まった今号でした。以前作ったイメージを時間を置いてから、今一度作って並べてみるといろいろ顧みられて面白いですよね

1/6スケール スクラッチビルド

EWY社製
ムーストリッチタイプリッパー
YLR-2A “ハーレン”

製作・文/大森記詩

全高32cm×全幅41cm×奥行2cm


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