HOME記事特撮フィリピンで空前の大ヒット『ボルテスV レガシー』 日本公開を記念した監督インタビュー!

フィリピンで空前の大ヒット『ボルテスV レガシー』 日本公開を記念した監督インタビュー!

2024.08.31

『ボルテスV レガシー』監督 マーク A.レイエスV インタビュー 月刊ホビージャパン2024年10月号(8月23日発売)

『ボルテスV レガシー』“超電磁編集版” 公開記念インタビュー
マーク A. レイエス V(『ボルテスV レガシー』監督)

 10月18日の『ボルテスV レガシー』“超電磁編集版”公開を前に、本作の監督であるマーク A. レイエス V氏が特別に来日。フィリピンにおける『ボルテスV』人気や自身の思い、そして『ボルテスV レガシー』の見どころなどを語っていただいた。

マーク A. レイエス V

 1969年3月28日生まれ、1990年代からフィリピンのテレビ界を中心に監督、脚本家、プロデューサーとして活躍。代表作は2005年にスタートしたファンタジーシリーズ『Encantadia』で、『Etheria』『Encantadia: Pag-ibig HanggangWakas』と続く3部構成となり、2016 年にはリブート版も含め500 話近くのエピソードも製作された。さらにスピンオフ作品『Encantadia Chronicles:Sang’gre』も準備中の大人気シリーズとなった。このシリーズでファマス、スター・アワードなどのフィリピン国内の賞はもちろん、国外のアジア・テレビジョン・アワード、ニューヨーク・テレビ映画祭の賞も受賞している。

(聞き手/高柳豊、池田元気(タルカス)


 1978 年、私がテレビで初めて『超電磁マシーンボルテスV』を観たのは9歳の頃でした。日本のロボットアニメは他にも放送されていましたが、とりわけ『ボルテスV』に強く惹かれました。それは“家族”に重点を置いたストーリーだったからだと思います。私は父を亡くしていたので、同じく父を失ったアームストロング兄弟(和名:剛兄弟)に共感していたのでしょう。その後も再放送や玩具などのグッズを通して私の生活のさまざまなところにボルテスVは現れ、まるでいつも一緒にいる旧友のような存在でした。またフィリピン国内でもその人気は衰えることはなく、映像や音楽などさまざまなポップカルチャーでも欠かせない存在となりました。

――『ボルテスV レガシー』を発祥の地である日本で公開することになり、今どのようなお気持ちでしょう?

 「この作品を日本で公開する」という僕の念願が叶いました。僕は撮影が始まった初日から制作会社のテレサクセス・プロダクションズに「これはいつ、日本で公開するんだい?」と何度も尋ねるほど日本公開を待ち望んでいたのです。僕のなかで日本公開は「最終目標」でした。『ボルテスV』への愛情とリスペクトでこの作品を作ったので、生まれ故郷である日本へ持っていけたことにワクワクします。日本の皆さんにもぜひとも楽しんでいただきたいです。

――監督が『ボルテスV』をご覧になったのは9 歳の頃とおっしゃられましたが、フィリピンの子供たちは『ボルテスV』のどの部分に惹かれたのでしょう?

 フィリピンでの1970 年代初頭の時代背景を説明すると、当時のテレビで放映されていた番組のほとんどはハリウッドで作られたドラマでした。『刑事スタスキー&ハッチ』や『ラブ・ボート』が流行っていた時代です。そんななか、テレサクセス・プロダクションズが日本のメカ・ロボットアニメを輸入し始め、毎日のように日本のアニメを放送するようになったんです。月曜は『合身戦隊メカンダーロボ』、火曜は『闘将ダイモス』、水曜は『マジンガーZ』、木曜は『UFOロボ グレンダイザー』、そして金曜日には『ボルテスV』という感じに。ですから当時の我々=学童は学校が終わると、急いで帰宅してテレビを夢中になって観ました。そんな素敵な放課後を過ごしていたんです(笑)。当時のフィリピンはまだ農業を中心とした第一次産業国で、テクノロジー産業はこれからという情勢だったのでロボットやメカに憧れたのでしょう。僕自身もそのひとりで、いまや『スター・ウォーズ』や『スタートレック』などのSF作品が大好きな立派なオタクになりました(笑)。『ボルテスV』放送時は自分もロボットの仕組みや、合体シーン、ボアザン星の獣士とのスリル満点なバトルを嬉々として観ていた覚えがあります。

――原作アニメは全40話だったのに対し『ボルテスVレガシー』がその倍以上もある90話になったのはなぜですか?

 本来は全80話を予定してました。ところが放映中に爆発的人気となり、第60 話放送のタイミングで放送局から「もう10 話くらい作ってくれないか?」と打診されたんです。当時はクライマックスに向けての撮影中でしたが、フィナーレにつながるよう肉付けしながらもう10話増やしました。具体的にいうと、ボアザン星の文化や歴史を掘り下げたり、スティーヴ(原作アニメでは健一)とジェイミー(めぐみ)とマーク(一平)の三角関係、ビッグファルコンに登場するオリジナルキャラクターの物語をふくらませつつ、東映さんの許可をもらいながら追加エピソード分を含めた計90 話にまとめあげました。

――戦闘シーンでボルテスチームの5人の顔アップが均等に映る演出は監督のこだわりでしょうか?

 はい、そこは私の判断でアレンジしたところです。スティーヴがボルテスVを操縦し、他のメンバーのリアクションがアップで描かれるのが原作アニメの演出ですが、私は5 人均等に出番を与えたかったんです。だからスティーヴを司令官とし、マークが副司令官、ビッグ・バートが武器管理担当、リトル・ジョンがエンジニア、ジェイミーがコミュニケーションおよび医療担当とそれぞれに役割を与え、5人のチームワークを描こうとしました。この演出はフィリピンの視聴者から高い評価を得られました。

――『ボルテスV』を実写化するにあたり、原作アニメのどの部分を重視されましたか?

 原作を忠実に再現した「こだわりポイント」は大きくわけて3つあります。まずはボルトマシン5機からボルテスVへの合体シーン。あのシーンは細心の注意を払い、実写パートの撮影からCGを加えるところまで何ヵ月もかけて製作しました。ふたつめはボルトマシンのビッグファルコンからの発進シーンです。アニメをほぼ忠実に再現しています。そして、もうひとつは胡蝶返し(※『ボルテスV』第4話「魔のシャドウ必殺剣」で使用された真剣白刃取りで捕らえた刀を投げ飛ばす技)の特訓シーンです。フィリピンで撮影に適した洞窟を探して撮影しました。

――今回、『ボルテスV レガシー』が日本で公開されますが日本のファンにどこに注目してほしいですか?

 オリジナルに敬意を払いながらリスペクトして製作した作品です。我々スタッフの『ボルテスV』への愛情が反映された作品ですので、フィリピンから日本への贈り物と思って受け取ってください。フィリピンの視聴者にも楽しんでもらえた作品なので、日本の方々にも堪能していただき、皆さんの『ボルテスV』愛が再燃していただけたら幸いです。

――『ボルテスV』は日本での放送当時、超合金など数多くのトイが発売されました。監督ご自身も何かトイをお持ちでしたか?

 学校の成績が良ければボルテスVもダイモスもマジンガーZも買ってもらえましたね(笑)。アニメを観ながら玩具で遊ぶことができたのですごく楽しかったです。そういう意味で少年時代の私たちはラッキーチャイルドでした(笑)。私が買ってもらったのは5 台のボルトマシンが合体する玩具ですが、父がエンジニアリング畑の人間だったので、「5つのマシンが合体できるのは面白いな」と言って僕よりも夢中になってました。もしかしたら僕よりも父のほうが遊んでいたかもしれません(笑)。

――映画公開に合わせて『レガシー』版ボルテスVの商品化が決定しましたが、原作アニメ版『ボルテスV』と同じBANDAI(SPIRITS)からトイが発売されるお気持ちを聞かせてください。

 『ボルテスV レガシー』製作時、プロデューサーに「いつ日本で公開されるか?」と聞いた話をしましたが、その次に聞いたのは「玩具を出すのか?」だったんですよ。トイが出たら僕にとってはトロフィーも同然です。そして僕が携わった作品の立体化だけでも嬉しいのに、あのBANDAI(SPIRITS)さんが発売してくれるなんて非常に感動しました。最初に写真を見せてもらったときは涙目でしたね。いつの日か孫ができたときに「これはお爺ちゃんが作った映画の玩具なんだよ」と自慢したいです。それくらい僕にとって誇らしいことなので。


『ボルテスV レガシー』“超電磁編集版”
10月18日(金)公開!!

 フィリピンでも空前の大ヒットとなった『ボルテスVレガシー』が、“超電磁編集版”にパワーアップして日本凱旋公開!! フィリピン版の映画には含まれないシーンを追加し、CGシーンのさらなるクオリティアップ、全編におよぶリマスター作業を行い、映像の迫力が増した内容となる。『ボルテスV』愛が存分に詰まった快作を見逃すな!!

映画『ボルテスV レガシー』“超電磁編集版”

配給:東映
監督:マーク A. レイエス V
脚本:スゼッテ・ドクトレーロ
シニア・エグゼクティブ・プロデューサー:ヘレン・ローズ・セセ、ラーソン・チャン
エグゼクティブ・プロデューサー:ダーリング・プリドトレス、ティージェイ・デル・ロザリオ、白倉伸一郎
キャスト:ミゲル・タンフェリックス、ラドソン・フローレス、マット・ロザノ、ラファエル・ランディコ、イザベル・オルテガ、マーティン・デル・ロザリオ、リーゼル・ロペス、カルロ・ゴンザレス、エピ・クウィゾン、アルバート・マルティネス、ガビー・エイゲンマン、デニス・トリロ、カーラ・アベラナ
製作国:フィリピン 
原題:Voltes V: Legacy
製作年:2024年

『ボルテスV レガシー』ポータルサイト:https://voltes-v-legacy.jp/

『ボルテスV レガシー』オフィシャルX:@voltesv_legacy https://x.com/voltesv_legacy


原作アニメ版もBD-BOX化!

 『ボルテスV レガシー』の公開とほぼ同タイミングで、原点であるTV アニメ『超電磁マシーン ボルテスV』が全40 話収録のBlu-ray BOX でレッツ・ボルトイン! ネガスキャンHDリマスターで甦る傑作アニメをぜひその手に!! 商品のさらなる詳細はhttps://www.toei-video.co.jp/special/voltesv/にて!

超電磁マシーン ボルテスV Blu-ray BOX

●発売・販売元/東映ビデオ●44000円、9月11日予定●全40話、DISC 5枚、ブックレット(24P)、ノンスーパーOP/ED、越智一裕氏描き下ろしジャケット


ⓒTOEI Co. Ltd, Telesuccess All Rights Reserved ⓒ東映

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