造形村SWS最新作 1/48「F-4E(後期型) ファントム II」ロングノーズの真打ちを丁寧に作りこむ!キットの特徴も徹底解説【ボークス】
2024.08.07「F-4ロングノーズ」の真打ちを丁寧に作り込む
造形村SWS最新作、1/48「F-4E(後期型) ファントム II」。これまでF-4 ファントムIIのバリエーションを次々と展開してきた本シリーズにロングノーズの真打ちとも呼べるF-4E後期型が待望のラインナップ。そこで、F-4大好きモデラーであるけんたろうが愛情たっぷりに製作。キットの特徴も踏まえつつじっくりと作り込んでいる。
SWSとは?
造形村が手掛ける、プラスチックを最大限活用したスケールモデルシリーズ。図面だけに頼らず、取材や現存する写真の徹底的な分析により「真実の姿」を追求。まるで実機が組み上がっていくかのような組み心地も魅力のひとつで、まさに構造体としての航空機を実体験できるものとなっている。これまで1/32、1/48、1/72の3スケールを展開。そのラインナップは30アイテムを優に超える。
F-4の数あるカラーのなかで、私が密かに好きなのがこのグレーのスキームです。エジプト1やヒルグレー2と呼ばれるカラーに身を包んだF-4は第4世代戦闘機のような姿で、装備するミサイルも全体的に攻撃力がアップして、一番相手に容赦のない強いF-4の姿を象徴するのがこのカラーだからです。
好きなグレーのF-4が造形村から出るぞ! という知らせに食べるしかないよねと飛びついたわけです。G型でも体験済みではありますが、やはりパーツの合いがよくどこまでも組みやすい、インテークの合わせまでちゃんと決まる、実にいいキットです。ひとつひとつの作業を丁寧にこなすことで、想像どおりのグレーのF-4Eが立ち上がってきます。デカールもカルトグラフだから、発色もよく余白もほぼありません。またこの機体はこのマーキングが特徴的です。
いちばん大きいのはF-4の30周年を祝うマーキングで、“ファビュラスファントム”と良いメッセージがついています。これ自体もF-4のドラマですが、インテークベーンにふたつの星がついていることにも注目です。この機体が1972年にMiG-21を2機も撃墜したことを示しています。そして、この機体は引退後もランバート国際空港のゲートガードとして永く展示されていました。2015年にその任も解かれてしまいましたが、この第131爆撃航空団の歴史を展示する施設に展示される予定もあるとか。垂直尾翼にはセントルイスにある大きなアーチが描かれていたり、グレーの静かさを補ってあまりある情報量ですね。じつは胴体横のメッセージとマスコットのSPOOKくん(デカールナンバー3と7)を貼らなければ、通常運用時の姿にもなります。今回は記念機なのでキレイめに作りましたが、派手に汚したい場合はこの量産機としての姿でガンガン攻めるのも楽しそうですね。
日本でも2021年にすべてのF-4が退役して、今年は韓国もすべてのF-4Eが退役になりました。いよいよF-4の運用国が減って、いまでは後継のF-16が50周年を祝っています。なんともいえない気持ちになりますが、模型というものはもういなくなったモノを蘇らせ、知らないものの姿を鮮やかに想像させることでもあります。今回は強くなったF-4が華やかに30周年をお祝いしつつも、本国ではすでに黄昏を迎えつつある……そんな姿に思いを馳せて完成となったのでした。
けんたろうのここが凄いよSWS F-4E(後期型) ファントム II!
バリエーションキットと侮るなかれ。そこには徹底した情熱とこだわりが込められているのだ!(解説/けんたろう)
造形村 1/48スケール プラスチックキット“スーパーウイングシリーズ”
F-4E(後期型) ファントム II
製作・文/けんたろう
1/48 F-4E(後期型) ファントム II
●発売元/造形村、販売元/ボークス●8580円、発売中●1/48、約40.5cm●プラキット