小森陽一氏が語る『大怪獣のうた』とウルトラQの魅力【コモリプロジェクト】
2024.07.22 コモリプロジェクトHP
Youichi Komori Official Web(y-komori.net)
皆さん、こんにちは。コモリプロジェクト代表の小森です。梅雨の季節に入ってきましたね。じめじめ、じとじと。キット作りには不向きな時期ですが、そこはホビー熱をガンガンに燃え上がらせて乗り切りましょう。
さて、皆さんは『大怪獣のうた』という曲をご存知でしょうか。発表は1966年、作詞/東京一(これ、円谷一さんのペンネームなんですよね)、作曲/宮内国郎、みすず児童合唱団が歌っています。僕は1967年生まれですから本放送には乗り遅れた世代、いわゆる第二次怪獣ブームの側です。よって『ウルトラQ』を見たのはもちろん何度目かの再放送であり、確か小学校の四年生か五年生の頃だったと思います。それまでは怪獣図鑑とレコードが乾いた心の支えでありました。『大怪獣のうた』が収録されていたソノカラーレコード(ゴメスの絵が描いてある)を繰り返し聞いて、脳内でさまざまなシーンを描いていたものです。だってですよ、歌詞の中にビルの谷間に何かが響いたり、夜のハイウェイで何かが叫んだりというフレーズがあるんです。そりゃもう(どんな音がしてるんだろう……)とか、(どんな奴が叫んでいるんだろう……)って思うじゃないですか。
夢の中までモウソウが渦巻いておりました。結果的にこの歌は主題歌でもなければ挿入歌でもなくイメージソングだったわけですが、果たした役割はとんでもなく大きく、以来、僕の中で『ウルトラQ』の怪獣たちは必ずやこの歌とともにやって来るようになりました。ペギラ、パゴス、ゴルゴスにトドラ。近頃ではボークスの名作、オリエントヒローシリーズで復刻されたケムール人にカネゴンまで、必ずこの歌を聞いて気持ちを高めながら製作に励みました。
ちなみにこのイメージソングは二番もあります。東京の街が燃えたり焼けたりもう大変なことになっています。近いうち、「ウルトラQの怪獣たち(後編)」でお会いしましょう。
文/小森陽一
撮影・構成/土井眞一
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小森陽一(コモリヨウイチ)
●1967年生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業後、東映に入社。その後、コラムや小説、漫画原作や映画の原作脚本を手がける。大阪芸術大学映像学科客員教授。『海猿』『トッキュー!!』『S-最後の警官-』『BORDER66』『ジャイガンティス』など著作多数。