『重戦機エルガイム』劇中でもっとも普及しているHM「アローン」を徹底改修! 各部にアレンジを施しながら可動範囲を拡大する
2024.07.20サンライズ・メカニック列伝 第64回/アローン(ギャブレット・ギャブレー機カラー)【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2024年8月号(6月25日発売)
[脚部]
太モモは上部に適当な球体関節を配し、ポリ部品で横ロール機構を入れながら後ハメ化。外装をプラ板で上下に計2mm延長している。ヒザ関節は後ハメ化を兼ねてアルトのものを移植。ヒザ裏のビニールチューブはメッシュホースに交換した。スネは正面から見て末広がりになっているのを、くさび形に幅詰めして設定画風の形状に修正。足首関節はアルトのものを移植。つま先は横幅を2mm詰め、プラ板で前後に延長。脚の甲のブロックはいったん切り取って整形した。かかとは分割位置を変更し、接地性が向上するように形状をアレンジ。設定画が存在しない靴裏は、劇中のカットを参考に市販パーツでフロッサーノズルを再現している
■どれくらい借金したんだろうか
うす味の食生活を心がけているサンライズメカファンのみなさんは、すでに「重戦機エルガイムセット」2種を入手して、各キットの出来のよさを改めて実感されていることと思います。今回製作した1/144アローンも、多くのファンが抱くイメージどおりのフォルムが素晴らしい好キット。ただ、ポリ部品が使われていないために可動部の保持力が弱いのに加え、足首周辺の形状都合で接地性が悪く、立ちポーズが不自然になってしまうことが気になります。やはりこの機体は、「今まではコアム星の片田舎でくすぶっていたが、なんとしてもこのHMと共に正規軍に入り出世してみせる!」という物語序盤におけるギャブレーの心情を表すような、しっかりと地に足をつけた堂々たる立ちポーズで飾りたいですよね。
そこで作例は、ヒジ関節を市販の球体関節に、股関節をHGのボールジョイントに、他の主要な関節を30MINUTES MISSIONSアルトの可動部にそれぞれ交換し、保持力を強化しつつ可動範囲を拡大。かかとはキットや設定画の形状のままだとうまく接地できないのでアレンジを施しました(キット準拠版の作例も必ず製作しますので気長にお待ちください)。
加えて、設定画の立ちポーズの雰囲気を出すため、上面が地面と平行になっている胸部(設定の側面図ではこう描かれています)を腹部から切り離し、上面が斜面になるように加工した後、前方へ傾けて再接着。これで頭部も前方に傾き、より設定に近づきます。他にもスネやつま先の幅詰め等を行いましたが、基本的にキットのフォルムはなるべく変えず、微調整だけに留めると決めて製作しています。
■ずっとこの色だったんだろうか
バンダイ刊「MJマテリアル3 HEAVY METAL L-GAIM スーパー・メカニック・ガイド」に掲載のカラー画稿を参考に塗装。第12話では反乱軍が鹵獲した、ギャブレー機とほぼ同じ形状のアローン(肩外装と指が軍用アローンのものに見えます)が登場しますので、この機体の赤紫色やゴロンゴタイプの色で塗るのも面白いと思います。
本体緑=純色グリーン+純色イエロー+純色シアンに、オレンジ、インディブルー、スカイブルー、ハーマンレッド、クールホワイトを各少量
関節=自作の青緑系ダークグレー
腕部ビーム砲はクールホワイトに本体緑とスカイブルーを各少量。赤はハーマンレッドにブラウンと本体緑を各少量。かかと内部のノズルはオレンジにシャインレッド少量。つま先側面やヒザ関節側面の穴の中は本編では塗り分けられていないので、本体色のままでも、本体色の明度を調整した色やグレー等に変えてもよいでしょう。前腕内部は本体色で塗られたカットと関節色に塗られたカットの両方があるのでお好みで。エナメル塗料でスミ入れ後に、半光沢とツヤ消しを混ぜたクリアーで塗膜をコートし、裏面にアルミ蒸着テープを貼りクリアーレッドを吹いたレンズパーツを顔に取り付けて終了です。
次回は槍を装備したあのメカの作例が登場します。
BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット ヘビーメタル(ライトタイプ) アローン使用
アローン(ギャブレット・ギャブレー機カラー)
製作・文/田仲正樹
ⓒ創通・サンライズ
田仲正樹(タナカマサキ)
某大事件のためエルガイムのチョココーンとキャラメルが買えず、チョコも規定の点数が集められなかった。