『重戦機エルガイム』劇中でもっとも普及しているHM「アローン」を徹底改修! 各部にアレンジを施しながら可動範囲を拡大する
2024.07.20サンライズ・メカニック列伝 第64回/アローン(ギャブレット・ギャブレー機カラー)【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2024年8月号(6月25日発売)
アローン(ギャブレット・ギャブレー機カラー)
(『重戦機エルガイム』より)
サンライズ作品に登場する数多のメカを模型作例で再現し、改めてその魅力を探る連載企画「サンライズ・メカニック列伝」。今回はHGバッシュ発売と旧キットシリーズのセット再販を受けて盛り上がりを見せる『重戦機エルガイム』から、B級ヘビーメタル(HM)「アローン」の1/144作例をお届けしよう!
ケイ素系伝導システムを採用し、大量生産を可能にしたアローンシリーズは、ペンタゴナワールドにおいて軍用および民間用としてもっとも普及しているHMである。ギャブレット・ギャブレーが所有していた軽タイプのアローンは、彼がポセイダル軍に持ち込んで入隊するために親戚一同から借金をして購入したもの。「ただの中古」ではあるが十二分に手入れされ、チューンナップも施されている。劇中では岩壁地帯を飛び跳ねて宙返りを決めるなど軽快で素早い動きを見せ、やがてダバ・マイロードが駆るHMエルガイムとの1対1の戦いが開始されるのだが、その結末は…。
作例は田仲正樹が私物の旧版キットを2セット投入して製作。1984年の発売当時から高い評価を得ているキットのフォルムとパーツ形状を最大限に活かす一方、より自然な立ち姿で飾れるように、各部にアレンジを施しながら可動範囲を拡大。一見しただけではわからない徹底作例として完成させている。
[製作途中状態]
「重戦機エルガイムセット」として再販された各キットと同様、秀逸なフォルムが1984年の発売当時から高い評価を得ている1/144アローンだが、ポリ部品が使われていないために可動部が摩耗しやすく、ポーズも決めにくい。作例は30 MINUTES MISSIONSアルト1体分の可動部をほぼ丸ごと使って各関節を強化し、同時に胸部や脚部の形状を調整して設定画の雰囲気に近づけたもの。田仲氏は製作文で「微調整」と謳っているが、全パーツにくまなく手が入った徹底改修作例であり、実際にこのとおりに作るとまず完成しないのは明白。読者諸氏におかれては部分的に参考としていただければ幸いである
[頭部]
目のモールドは削り取り、同径のクリアーパーツをはめ込んだ。側面のブロックはいったん切り取って整形後、若干下の位置に再接着。首関節にはアルトの腹部ボールジョイントを移植し後ハメ化。後頭部下端はプラ板で延長し、軍用アローンに倣ってリード線でコードを配した
[胴体]
前後2パーツの胴体を、胸部/コックピットハッチ/腹部/腰部に分割。胸部上面には1.5mmプラ板を貼って削り込み、設定画で描かれている傾斜を再現。わき腹部分はいったん切り離し、くさび形のスペーサーを入れて再接着しボリュームアップ。コックピットハッチはキットのパーツをゲージにプラ板で新造し、ブロック玩具で後ハメ化した。肩関節はアルトのものを移植しボールジョイント化。腹部は正面の凹凸を設定画に合わせてプラ板で修正。腰部とはアルト腹部のボールジョイントで接続させた。股関節はHGガンプラのものを移植しボールジョイント化。股関節下にはアルトのB11パーツを移植し、アクションベースに接続可能とした。背面2ヵ所の噴射口状の部分は、フロッサーノズルに見えるようにスリットモールドを配している
[腕部]
肩外装内部にポリ部品を固定し、肩本体を後ハメ化。空間が目立つため1/600ロッグ・マックのミサイルランチャーでふさいで隙をなくした。上腕付け根にはアルト上腕の横ロール機構を移植。設定画風の腕の曲げ方ができるように、ヒジ関節は市販の球体関節に交換。手首関節はアルトのものを移植。前腕内の空間はプラ板で隠している。握り手はHGBCビルドハンズのSサイズのものにキットの手の甲を接着。平手はキットの手のひらに1/144グライアの指を移植。「指がなくなったグライアは、ノーマルタイプより指が太いスペースグライアを作るのに使います」とのこと
ⓒ創通・サンライズ
田仲正樹(タナカマサキ)
某大事件のためエルガイムのチョココーンとキャラメルが買えず、チョコも規定の点数が集められなかった。