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イタリアの名車「フィアット500F」ラッカー塗料を使用した筆塗りで光沢感のあるボディに仕上げる【タミヤ】

2024.06.19

筆塗りTribe/フィアット500F【タミヤ 1/24】 月刊ホビージャパン2024年7月号(5月24日発売)

ラッカー塗料の筆塗りでイタリアのアイコンを塗り上げる

 すべてのプラモデルを対象に、筆塗りの楽しさをみんなで共有していく本連載「筆塗りTribe」。今回のテーマは「カーモデル」です。カーモデルというとエアブラシ塗装によってピカピカに仕上げられたものが模型誌を彩っていますが、車模型の仕上げ方はそれだけではありません。もちろん筆塗りで楽しんでもいいのです!
 今回は「ラッカー塗料を使用した筆塗り光沢仕上げ」で車模型を楽しんでみます。使用するキットはタミヤから再販された「1/24 フィアット500F」。イタリアを代表する名車で筆塗りトライブならぬ筆塗りドライブといきましょうぜ!

(構成・文/フミテシ)

今回のパイセン

イフェ/マシーネンで本格的に模型に出戻り、ラッカー筆塗りをメインに何にでも手を出す雑食モデラー。エアブラシは下地を塗る時などに使用。渓流釣りシーズン中は山に篭りがちな野営派の125ccクロスカブ乗り。

フィアット500はどんな色も受け入れてくれる。
自動車プラモの楽しさと豊かさを思いっきり楽しもう。

▲この写真は2017年にイギリスで開催された「グッドウッドリヴァイバル」の様子。サーキットを多数のフィアット500がパレードするイベントが行われました。この写真を見てわかるとおり、さまざまなボディカラーが目に飛び込んできますね! 各オーナーが好きな色に仕立てているのです。こんなにも自由で、そして人を笑顔にさせてくれる車はなかなかありません。この景色だけでも「フィアット500は自由に楽しく作っていいんだ」と思わせてくれます。プラモデルを手に取ったら、ぜひあなたの大好きな色で塗ってみてください。(photo/フミテシ)

待望の再販!

▲こちらがキットのボディパーツ。1パーツで見事にフィアット500の可愛らしさを表現しています

新規デカールとマスクシート

▲再販されたフィアット500には、新規のデカールと、窓の塗り分けがとっても楽になるマスクシートが入っています

エンジンも魅力です

▲完成すると12.4cmととってもコンパクトな車模型なのですが、エンジンのパーツも入っていてメカ要素もしっかりと味わえます

今回のキーアイテム

フィルバート筆

▲丸平筆とも呼ばれていて、平筆と同じように筆先が平たくなっているので広い面積を塗ることができます。また、平筆と違って筆の両端に塗料が溜まりにくいので、さらに平滑な塗りがしやすいのもポイントです

陶器の梅皿

▲白い陶器の梅皿を使用します。塗料瓶から皿に移した時に塗料の色味がわかりやすく、さらに適度な重さがあるので使用している時も安定します

レベリングうすめ液と筆洗い用の溶剤

▲イフェ氏はスペアボトルに「レベリングうすめ液」と「筆洗い用溶剤」を分けて準備。どちらも塗装中に頻繁に使うので、使いやすいように小分けにしています。他のうすめ液ではなくレベリングうすめ液にするのがポイント! その理由はHow toパートで解説します

曲刃のナイフ

▲曲刃のナイフは、筆塗り時に混入してしまったホコリをピンポイントで削り取るのに便利! オルファや工業用メスなど使いやすいものであれば何でもOK。曲刃というのがポイントです

下準備はOK?

下地で明暗を作っておきます

▲黒に近いグレーを影になるところに吹いて、明るくなるところはキットの成型色を残します。こうすることで1色の塗料で筆塗りしても下地が透けてグラデーション効果が生まれます。今回は筆塗りを楽しむために、下地にだけエアブラシを使っています

持ち手は「木」??

▲フィアット500の小さなボディをしっかりと固定するために、角材に家具の耐震用ジェルシートを貼り付けたオリジナルの持ち手を用意。ピタッと固定されて筆塗り時も安定します

フィギュアを添えてみよう!

▲フィアット500は実に人と相性の良い車。そこでモデラーズの「1/24 アクセサリーフィギュア」の女性フィギュアを添えることにしました

ラッカー塗料の筆塗りスタート!

グレーでシックに

▲今回はグレーでシックな雰囲気にしてみます。使用したのはガイアカラーの「サイレントグレイ」

少量を梅皿に移します

▲塗料はごく少量出します。こうすることで筆に含む塗料の量をコントロールしやすくしています

中央には「レベリングうすめ液」を!

▲レベリングうすめ液は乾燥時間をゆっくりにする代わりに、塗面の凸凹が平滑に乾いていく特性があります。この「レベリングうすめ液による平滑な乾燥」という特性を生かすのがイフェ氏の筆塗り最大の特徴です

筆に塗料を含ませる準備

▲少量のレベリングうすめ液を筆に含ませたら、筆先に塗料を取ります。これで塗装準備は完了です。都度溶剤で濃度を調整しながら塗っていきます

塗ったらしっかりと乾かす!

▲1回目は筆を横方向(車の進行方向をイメージ)に動かし、薄く塗ります。下地の暗いグレーや成型色の白が透けていますが、焦らずこの状態でしっかりと乾かします

乾燥待ちの間は筆を洗う

▲イフェ氏は常に筆をきれいな状態に保ちながら塗っています。筆の根本に塗料が残っていると、気持ち筆先のコントロールが難しくなるからです。そのためひと塗り終わるごとに、一度筆を洗浄してリセットします

ドライヤーは使わない!

▲じっくりと自然乾燥させたら2度塗り目。イフェ氏は、乾燥の間はコーヒーを淹れるそうです。ラッカー塗料の筆塗りは下地を侵すことがあるので、筆圧は極めて弱めで塗装面に対してかなり寝かせて筆を進めています

乾燥中にホコリを見つけたら

▲乾燥待ちの時間で大事な工程が「ホコリ取り」。大きくて目立つホコリが付いてしまったら、ホコリ部分だけを曲刃ナイフで削り取るようにします

慌てず慎重に

▲塗面に刃物が触れるので、表面だけを撫でるような意識で作業しましょう。写真くらいの感じであれば数回上塗りするだけで、跡も目立ちません

ホコリ除去後はべたっと塗らないように

▲ホコリを除去した部分を塗料で埋めようとするとついつい濃いめの塗料でべたっといきがち……ここは他の部分と同様に慌てずに薄めの塗料で塗り重ねていきます

筆目の調整

▲車模型の場合は、一方向だけの筆目で塗っていくとやや筆跡が目立ちがちです。そこで、時に前の塗りとは異なった方向に筆を動かして筆目を調整することも効果的です

塗り重ね時の濃度調整のポイント

▲塗り始めは溶剤分多め、濃度を薄めで進めますが、塗り重ねていくにつれて、前塗りよりもちょっとずつ塗料の濃度を濃いめにして塗り重ね、塗料本来の色に発色させていきます。いきなり濃い塗料で塗るとボテっとした重たい塗面の模型になります

各面4回ほど塗り重ねた状態

▲じっくり乾燥させて(この日は1回塗ったら30分ほど乾燥させてから重ね塗りをしました)待ちます。今回の筆塗りでは、じっくり待つことがかなり重要な要素になっています

筆目のチェック

▲筆塗りの魅力は「筆目」。これをほぼ見えなくすることもできますが、あえてうっすらと残すことで筆塗りらしい温もりある模型になります。筆目の方向や量をコントロールするという意識を持つだけで、筆ムラと見えていたものがあなたの中で「情報量」に変換されます。それが筆塗りのひとつの楽しさです

じっくり乾燥させることで見えるもの

▲レベリングうすめ液の効果で平滑に広がりながら乾燥していくので、表面の凹凸部分も完全乾燥後に現れます。再度塗り重ねて整えましょう

FIAT 500F

じっくり自然乾燥させることで生まれる「レベリングうすめ液による平滑な塗面」。
まさに安全運転な筆塗りです

▲マシーネンクリーガーのデカールをワンポイントに。車模型は他の模型からお好きなデカールを貼って楽しむのもアリです
▲内装はラッカーではなく、シタデルカラーのレイヤーカラーを何度も塗り重ね、滑らかな質感に仕上げています。女性のカバンはタミヤのキャンパスフレンズセットIIからコンバートしています
▲光沢感あるボディとは対照的な、マットなアイボリーの内装。両カラーとも非常にマッチしています
▲ヘッドライトリングを少しヤスって丸みを持たせて、より実車の雰囲気に近付けています
▲エンジンも細かく塗り分け。エンジンフードがよりきれいにフィットするように、エンジンフードのボティ側とフード側の両方にプラ材で目隠しを追加して、隙間をなくしています

──イフェさんのプラモとの出会いを教えてください
イフェ:父が自衛官ということもあり、ハセガワのたまごひこーきシリーズを買ってもらって作っていました。その他には日東から出ていたダイアクロンのプラキットとかでよく遊んでいました。たまごひこーきは組んだあとに、筆でペタペタ塗って完成させてました。

──すでに筆塗りまで楽しんでいたんですね! その後はどんなものを作っていたんですか?
イフェ:『ガンダム・センチネル』の洗礼を受けまして、その時見たゼータプラスがかっこよかったので、ギャプランをゼータプラスのようにロービジカラーで塗ったりして遊んでいました。中学生くらいの頃ですかね〜。その後、社会人になるまではいったん模型から離れました。

──また模型を始めたきっかけは何だったのですか?
イフェ:「HGUC V作戦セット」です。新聞を読んでいたら、一面を丸っと使ってこのプラモデルの広告が入っていたんです。「今のプラモデルってこんなにかっこいいの!? ちょっと作ってみたいぞ!!」ってなったんですよ。買って組んでみたら、色分けも完璧、成型色も最高にかっこいいので、一気にプラモの世界に引き込まれました。そしてその勢いでMGドムも買ったんです。復帰した当時は「成型色」の衝撃がすごくて、塗らずにめちゃくちゃかっこよく仕上げてみよう! ということに夢中になっていました。今でいう「簡単フィニッシュ」を突き詰めまくって、MGドムを2ヵ月くらいいじってたと思います。簡単フィニッシュとは……ってなりそうですが、それがめちゃくちゃ楽しかったんです。

──塗らないモデリングから、また塗るようになったきっかけを教えてください
イフェ:マシーネンクリーガーです。ワンダーフェスティバルに行った時に、偶然にも月刊ホビージャパンでも活躍しているマシーネンモデラーと知り合いになれたのです。そこで筆塗りの楽しさ、マシーネンの楽しさを教えてもらい、今の製作スタイルになりました。この出会いがなければ、筆塗りを今のように楽しんでいなかったかもしれません。

──筆塗りで楽しいと思うことを教えてください
イフェ:終わりがないのが楽しいです。いつでも好きな時にペタペタ塗れて、その時のテンションやイメージで仕上がりを変えていける。これは筆塗りならではの楽しみとリズム感だと思います。準備も少なくて済みますしね。そんな楽しみ方を私はマシーネンの生みの親、横山宏先生の「モデリングブック」で知りました。模型の楽しさが詰まっているので、読んだことがない人はぜひ読んでほしいですね。

タミヤ 1/24スケール プラスチックキット

フィアット500F

製作・文/イフェ

1/24 フィアット500F
●発売元/タミヤ●2420円、発売中●1/24、約12.4cm●プラキット

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イフェ

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