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『SYNDUALITY Noir』エリー役・稲垣好スペシャルインタビュー! 最終回を迎えた今だからこそ語る作品への熱い想い

2024.05.13

『SYNDUALITY Noir』エリー役 稲垣好インタビュー 月刊ホビージャパン2024年6月号(4月25日発売)

SPECIAL INTERVIEW


『SYNDUALITY Noir』エリー役

稲垣 好
インタビュー


『SYNDUALITY Noir』場面カット エリー

 Figure-rise Standard エリー発売を記念し、今回はエリー役の稲垣好さんのインタビューを掲載。『SYNDUALITY Noir』が最終回を迎えた今だからこそ聞ける、ラジオやスピンオフ作品を経て感じた作品に対する熱い想いを伺った。

稲垣好(いながき・このみ)

7月24日生まれ、新潟県出身。アイムエンタープライズ所属。主な出演作に『Do It Yourself!! -どぅー・いっと・ゆあ・せるふ-』(結愛せるふ役)、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』(リリッケ・カドカ・リパティ役)、『ウマ娘 プリティーダービー』(コパノリッキー役)など。

取材・構成:太田祥暉(TARKUS)


――稲垣さんはオーディションの際、エリー役以外にノワールやシュネーも受けられたそうですね。当時は作品に対してどのような印象をお持ちでしたか?

 正直、最初に作品の設定を見た時は複雑であまり世界観を掴めていなくて……キャラクターのセリフを通して物語の雰囲気を感じ取ろうとしました。王道ロボットアニメだけど、エリーのセリフを見るに、ラブコメ要素もあるのかな? と予想していました(笑)。

――当時からエリーのセリフには、カナタに対する想いが込められていたんですね(笑)。

 ドリフターとしてのセリフは気が強めのものが多かったんですけど、日常シーンになるとカナタにアタックしたい気持ちが溢れている印象はありましたね。

――そんな作品の雰囲気を感じ取った上で、稲垣さんはどのようにエリーというキャラクターを掴んでいかれたのでしょうか。

 私自身、ツンデレキャラを演じるのはエリーが初めてだったんです。なので、まずは私が知っている王道のツンデレキャラを想像してとにかく可愛く演じてみたのですが、スタジオオーディションの際に音響監督さんから「カナタに対してもっと冷たくしていいです!」と言われて。そこからはカッコイイ方向へ振りましたね。実際に役が決まって世界観を掴めたのですが、やっぱりあの世界でドリフターをできているからには逞しいはず。そこで、頼りがいのある女の子であることを意識しながら演じていきました。

――収録の際に意識して行っていたことはありますか?

 毎回エリーを演じるときには腰に手を当てていました(笑)。収録中は演じるキャラクターと同じ動きを取りがちなんです。エリーがやっているイメージがあったから同じ動きをしていたんですけど、背筋を伸ばしながら演じると体幹がしっかりするので、地に足が着いた声が出るんですよ。その甲斐もあって、少し逞しさも出せたような気がしています。

――本作の収録時には、あまり先のエピソードの内容や設定についてスタッフから教えられなかったと伺っています。稲垣さんが一番驚かされた展開は何ですか?

 台本を読んでいて「ミステル」という名前が出てきたことです。そこからキャスト表に飛んでみると古賀(葵)さんの名前が書かれていて、収録当日に古賀さんに伺ったら「私も分からない……」って仰ったんです(笑)。台本だけではイメージが湧かなかったのですが、古賀さんのお芝居を聞いてようやく明確な流れを掴むことができました。まさか人格が入れ替わるとは! というのが、『SYNDUALITY Noir』で最大の衝撃でしたね。

――先の展開が分からない状況でどのように演技のプランを立てられたのでしょうか?

 結局、プランはあくまでプランでしかないので、収録の際に他の方のお芝居を聞いて臨機応変に考えるようにしていました。『SYNDUALITY Noir』ではギャグシーンもかなりプランを練ってはいたんですけど、周りの皆さんの演技に引っ張られて全然違うものになったりもしましたし……。全体的に、カナタ役の(大塚)剛央さんの演技に引っ張られることが多かったような気がしますね。第1クールの収録は別々の時間帯に行われていたんですけど、第2クールでは隣で演じることも多くて。一緒に演じられたことで、事務所の先輩でもある剛央さんの胸をお借りして、アドリブも自由に入れていました。

『SYNDUALITY Noir』場面カット 水着エリーとノワールの眼差し

――アドリブのなかでも、特に覚えているシーンはどこですか?

 第5話のカナタとノワールが床で寝ているのを見たシーンですね。「床で!?」とかかなり長めにアドリブを入れたんですけど、カナタとノワールの会話の裏に入れていただいて、すべて採用されていました。全体的に自由にのびのびとやらせていただける現場だったので、とてもありがたかったです。

――ノワール役の古賀さんは演じる上で「ずっと淡々とした演技を続けていた」と仰っていましたが、ある種、稲垣さんに求められたのはその逆といいますか。

 古賀さんは「ちょっと抑えて」と何回も言われていたので、大変そうだなあと思っていました(笑)。そのぶん、ノワールにない感情はすべてエリーが引き受けた気持ちはあったかもしれません。エリーは情に厚いし、思ったことは真っ直ぐに言えるタイプなんですよ。でも、素直じゃない天邪鬼でもあって。カナタのことを想ってはいるけど、他のヒロインたちのことも仲間だと思っている。その不器用さを真っ直ぐ、人間らしく演じるように意識していましたね。その過程でエリーも成長していって、第19話ではすっとカナタの背中を押してあげているんですよね。みんなの想いを汲み取って、いつもと違う背中の押し方をしている。そんなところに、演じている身としても頑張ったな……! って思いました。

――ラブコメ的には、他のヒロインに後れをとる展開もかなり多かったですよね。

 エリー親衛隊第1号としては、シエルが邪魔! と思ったこともありました(笑)。例えば第8話だと、シエルがカナタに泳ぎを教えちゃうじゃないですか。そこはエリーに譲ってほしかった! シエルは可愛いけどカナタまで持っていくなよ! と悔しくなってしまいましたね。でも、あのエピソードはとてもエリーが頑張っていて……。試着室でツッコミに回ってみたり、乙女になったり、カナタに律儀な面を見せてみたり。いろんな表情を見せていたので、よく台本を読み込んでから収録に臨んだ覚えがあります。マリアとのシーンも大好きで、あの泣きだけでもエリーの可愛さが限界突破した気がするんですよね。

『SYNDUALITY Noir』場面カット 頭を撫でられるエリー

――第2クールでは、エリーとカナタの距離も近付いていきました。

 相変わらずエリーはチョロいんですけどね(笑)。デレも第2クールのほうが素直で、イチャイチャする場面も多かった気がします。でも、第1クールから続いた負けヒロインムーブがあったからこそ、最終話では匂わせの形ですが、いい雰囲気でラブコメに決着を付けることができて。本当にエリー良かったね、と拍手を送りたいです。

――ちなみに、最終話までの収録を終えて、稲垣さんがご自身のベストアクトを挙げるとしたらどのシーンになりますか?

 第19話ですね。その前の第18話には参加していないんですが、展開が分かるように台本だけはいただいていたんですよ。そうしたらシエルが消えてしまって……。しかも、第18話と第19話って収録の順番が逆だったんですよね。なので、剛央さんはシエルとお別れする前に、シエルが消えた後の演技をしていたんです。私も一ファンとしてシエルが大好きだったので苦しかったんですけど、エリーの役割としてはカナタをちゃんと傍で支えなきゃいけない。そこで逞しい面を出さねばと思いながら、芝居をしていました。

――先ほどエリー親衛隊としてはシエルが邪魔という話がありましたが、一ファンとしてはシエルが大好きなんですね(笑)。

 オタクとして観たら、シエルって推せるじゃないですか(笑)。とても可愛いし、歌もめちゃくちゃ良い。青山(なぎさ)さんの演技も大好きなので、一ファンとして推せました。シエルは推しです。

――となると、『SYNDUALITY Noir』でもっともお気に入りキャラクターなのはシエル……?

 ……と言いたいんですけど、マイケルですね。もうマイケルが出てくるだけで安心するというか。第23話でメイガスたちがバタバタと倒れていった大ピンチのシーンの「ボーブ!」とか、最後までくすっと笑わせてくれながらもカッコイイのがさすがだなと思いました。それに、収録の時に阪口(大助)さんが現場のギアを上げてくれたというか、みんなを引っ張ってくれた印象があるので、マイケルを見るととっても元気が出るんですよね。

――アニメ本編ではなくスピンオフ作品についてもお話を伺おうと思います。コミカライズやノベライズで展開されている『SYNDUALITY ELLIE』の主人公は稲垣さん演じるエリーです。こちらの作品を読まれた感想をお聞かせください。

 アンジェがお姉ちゃんをしていて、エリーのことを黙って抱きしめたり、励ましてくれたりして、とっても尊いですよね。それに、アニメで分からなかったエリーの一面が明かされるのも魅力的です。香水を付けたり、ダイエットをしたり、女の子らしい一面が次々と明かされていくんです。オリジナルキャラクターのキリヤとの三角関係も魅力的で……。コミカライズには扉絵、ノベライズではまた異なるお話があって、ぜひ『SYNDUALITY Noir』を観ながら『SYNDUALITY ELLIE』を読んでいただきたいですね。何ならこの先に発売される『SYNDUALITY Echo of Ada』もプレイしないと、世界観をすべて把握できませんし。

――いろんなメディアミックス企画が動いていることも『SYNDUALITY』プロジェクトの魅力ですが、そのひとつに稲垣さんがパーソナリティを務める「ロックタウン放送局」もありますね。

 ラジオはファンの皆さんの心の拠り所になっているといいですね……! 第18話~19話の後、シエルがいなくなった気持ちを共有したまま、皆さんがラジオにお便りをくださった日のことを覚えていて。私と剛央さんは事前収録ですけど、このトークで皆さんが救われてくださればいいなと思いながら話していました。スタッフさんがゲストでいらっしゃる回は、もうオタクモードに入ってしまうので、私は何も話せなくなってしまうんですけど(笑)。

――メディア展開のひとつとして、プラモデルやフィギュアも発売されています。特にエリーはFigure-rise Standardからプラモデルとして発売されます。まず、稲垣さんにプラモデルの思い出をお伺いしたいのですが……。

 弟がプラモデル好きで、作っているのを見てはいたんです。でも、自分はこれまでプラモデルに触れたことがなくて。初めて作ったのがFigure-rise Standardのノワールだったんですよ。初めてニッパーを買って作ってみたんですけど、ランナーの跡がけっこう残ってしまって……。詳しい方から話を聞くと、ヤスリがけとかいろんな工程があるようで、深い世界を知ることができました。ただ、ノワールを作ったときも、時間を忘れてしまうほど楽しかったんですよね。それをまたエリーの発売で味わえるなんて……! と今から楽しみにしています。

――Figure-rise Standard エリーをご覧になっての感想はいかがでしょうか?

 絶対にエリー推しの方が作られているのが分かるくらい、表情が素晴らしいですね。服の皺も細かいです! でも、私が一番気になったのはこの太ももですね。ちゃんとベルトが食い込んでいるあたりがさすがで……。ぷくっとした表情がエリーらしくてとても可愛いので、皆さんにもいろんなシーンを再現していただきたいですね。

――ちなみに、稲垣さんはこれからどんなメディア展開があると嬉しいですか?

 エリーのコフィン「リアリド」がプラモデルで出てほしいですね! まずはジョンガスメーカーとかいろんなコフィンが出る必要がありますけど……。ぜひ、「ホビージャパン」読者さんの力で、リアリドをプラモデル化させてください! あと、ぜひカナタとキリヤとの三角関係を演じる機会があるといいですね。

――そのときを楽しみにしています! 放送もひと段落した『SYNDUALITY Noir』ですが、これから配信や再放送で再視聴される方や一気見される方もいらっしゃると思います。エリーを演じた稲垣さんから、「ここに注目するとさらに作品が面白くなるよ!」というポイントをお教えください。

 たぶん初見だと、いろんなところに隠された小ネタやスタッフさんのこだわりに気付かないまま観終わってしまうと思うんです。なので、ぜひ最初はストーリーを追っていただいて、2周目以降でキャラクターの心情や細部のこだわりに注目していただきたいですね。エリーの表情も1シーンごとにコロコロ変わるので、それも注目です。エリーやシエルの心情を知った上でまた第1話から観ると、想像がふくらむはずです。ぜひ、これからも『SYNDUALITY Noir』の世界を楽しんでください!

『SYNDUALITY Noir』場面カット 手をつなぐエリーとカナタ

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ⒸSYNDUALITY Noir Committee

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