HOME記事ガンダムネオ・ジオン軍の巨大モビルアーマー「ギガッザム」をフルスクラッチ! プロモデラー仲井望が持てる技術をフル導入して劇作!【機動戦士ムーンガンダム】

ネオ・ジオン軍の巨大モビルアーマー「ギガッザム」をフルスクラッチ! プロモデラー仲井望が持てる技術をフル導入して劇作!【機動戦士ムーンガンダム】

2024.05.18

AMA-X9 ギガッザム【スクラッチビルド 1/144】 月刊ホビージャパン2024年6月号(4月25日発売)

可変機構を持つ巨大モビルアーマー

 月刊ホビージャパン2023年2月号掲載のザクIV以来となる『機動戦士ムーンガンダム』(月刊ガンダムエース(KADOKAWA刊)にて連載中)作例は、ネオ・ジオン軍グワーシャ艦隊で運用される拠点制圧用ニュータイプ対応型巨大モビルアーマー「AMA-X9 ギガッザム」。劇中ではムーン・ムーンを襲撃したイリア・パゾム大尉の部隊に所属し、元3D隊のダニー、デル、デューンの3人が搭乗した。この異形のモビルアーマーを、今回で月刊ホビージャパンモデラーデビュー15周年を迎える仲井望が持てる技術をフル導入して激作。本機の特徴である3形態の再現や各種ギミックも含めて精度高く立体化している。

漫画『機動戦士ムーンガンダム』12巻まで発売中!!

ストーリー:福井晴敏
漫画:虎哉孝征
メカニックデザイン:形部一平
原案:矢立肇、富野由悠季
●発行元/KADOKAWA

▲ビグ・ザムタイプの拠点攻略砲撃形態。3つの頭部を持つ胴体に脚が生えており、ジオングとビグ・ザムの特徴を合わせ持つようなシルエット。設定の頭頂高は47.3mで、作例全高は胴体上部からつま先までで約36cm。武装はほぼ胴体部に集約されているが、ヒザアーマーに4連ミサイル・ポッド、靴部に有線式クロウ内蔵ビームを装備している
▲本機の中核を成す胴体ユニット。各頭部にメガ粒子砲、正面にハイ・メガ粒子砲、24門の全周囲ビーム砲を装備。上部には6基のゴースト・ビット、前面にはIフィールド発生器が搭載されている

▲腰部リアアーマーは上下に分割して内側はほぼプラ板から製作。内部をプラ板の箱組みでかさ上げして軽量化している。外側はアウトラインを切り出したプラ板の骨組みにエポパテを盛って製作

▲接続部はプラ板+KPSランナーから製作。高速格闘形態で90度跳ね上げるため、渋めに調整している
▲プロペラント・タンクは径が異なるエバーグリーンのプラパイプを組み合わせてモールドを追加。両端はエポパテを削って製作し、接続部はボールジョイントを使用してある程度動かせるようにした
▲3基の大型スラスターノズル、2本のプロペラント・タンクが目を惹く背面

▲頭部はエポパテからの削り出し。メインは形態によってモノアイの位置が変わるので、基部と外装を別パーツ化してから基部を複製してそれぞれを再現。サブは複製して左右をそろえている

▲メイン頭部首基部まわりは、変形のために内部にKPSランナーとプラ板で製作したヒンジパーツを仕込んでいる

▲ドーム状の胴体はアウトラインを切り出した0.8mmプラ板の上に箱組みしたプラ板でかさ上げしてからエポパテを盛り製作。上下パーツとも同じ手法で製作している。上部パーツは武装やギミックが多彩なので、形状出しを行ったあとにエポパテで製作した別パーツを裏面から固定。上部のバインダー固定部はエポパテを中空になるように盛り足している

▲ハイ・メガ粒子砲は丸く切り出したプラ板の上にエポパテを盛り、基部を製作してから離型処理を行ったエポパテを盛ってカバーパーツを製作。側面に可動軸を設けて開閉できるようにした

▲下部パーツはIフィールド発生器先端部分に市販パーツを使用

▲腰基部はプラ板の箱組み+エポパテから製作。立体物として自立が難しいデザインでベース固定用の穴を設けるスペースもないので、基部と脚軸受けパーツの間に1.5mm隙間を空けてプラ板で製作した台座パーツをはさみ込む方式とした。股間下のバーニアノズルはコトブキヤM.S.G「バーニアノズルIV」を使用している

▲胴体側面のバインダーは腰部リアアーマーと同様に内側をプラ板で製作し、内部をかさ上げ。外側はプラ板の骨組みにエポパテを盛っている。大型のバーニアはエポパテから製作し、小型のものは市販パーツを使用した

▲接続フレームは胴体側をプラ板の箱組み+KPSランナーから、バインダーをプラ板の箱組み+プラパイプから製作。回転位置を上部に設けることで幅詰めと隙間を減らし、設定画のようにバインダーを胴体に近づけている

▲左右の小翼はプラ板の箱組みから製作。可動部はプラパイプを組み合わせたものとKPSランナーで製作
▲股関節はプラ板の積層+KPSランナーにプラパイプを組み合わせて製作。負荷がかかる部分なので、可動させるときは分解して動かすようにしている
▲ヒザ関節はプラ板の箱組み。円の部分と動力パイプはエポパテを盛って製作
▲ふくらはぎのサブスラスターは基部をプラ板の箱組み、展開部をプラ板+KPSランナーから製作。ノズルはビルダーズパーツHD「MSバーニア」を使用。カバーはプラ板の骨組みにエポパテを盛り、C字に欠いた基部に取り付けている
▲靴部基部はプラ板の箱組み+プラパイプに、プラ板の積層+エポパテから製作したアンクルアーマーを組み合わせて製作。有線式ファンネルクロウの射出状態を再現するため、アンクルアーマーは基部ごと外せるようにして間にアクションベース用パーツをはさめる構造にした
▲足首はプラ板+エポパテから製作したパーツに、サークルカッターで切り出したプラ板の箱組みを組み合わせて製作。開口した0.3mmプラ板を巻きつけてバーニア形状を再現
▲クロウ部はプラ板から製作し、複製して数をそろえている。接続部は市販の球体関節(HIPS関節)を加工したものを使用した
▲製作途中状態。曲面部分はなだらかに、平面部分はかっちりと、それぞれの部位に合わせて精度高く立体化されているのが見て取れる。このボリュームのものをこれだけの精度で造形できるのは、さすが月刊ホビージャパンを支えるベテランモデラーといったところだ
▲ビグロタイプの高速格闘形態ではメイン頭部が基部パーツごと90度前に倒れ、左右のサブ頭部が胴体内に収納される

▲ゴースト・ビットはエポパテから製作。複製して数をそろえた。あらかじめ展開部の窪みを彫っておき、複製したパーツに収納形態はエポパテでフタをして、展開形態はエポパテとプラ棒でバーニアを製作。尾部のスラスターは市販パーツに1mm真鍮線を通して接続している

▲高速格闘形態のリアビュー。90度跳ね上げた腰部リアアーマー内側にあるスタビライザーの展開も再現
▲可動式のスタビライザーはプラ板から製作
▲高速格闘形態のフロントビュー。脚部を前後回転させ、90度持ち上げる。靴部の有線式ファンネルクロウを射出することでジオングタイプのオールレンジ攻撃形態としても運用が可能となる。ビーム・クロウのビーム刃は1mm塩ビ板を切り出して製作。足首接続部の中心に1mm穴を開けてワイヤーを通せるようにした

▲ベースは既存のものでは支えられないので自作。支柱はプラ板の箱組み+プラパイプから製作。ネジとナットで重量対策を行っている。台座はMG Ex-Sガンダムのものを使用。「アップデート版ではなく2003年版を発売日に購入した当時品です!!」(仲井)

■異形の三つ首巨大モビルアーマー
 毎年『ムーンガンダム』の作例を楽しみにしている読者の皆様、たいへん長らくお待たせいたしました。2023年、掲載がなかった理由はご覧のとおり登場機体のなかでも最大級のボリュームを誇るギガッザムを製作していたためです。ギガッザムはビグロ、ビグ・ザム、ジオングと旧ジオン公国軍の大型機体の機能をひとつにまとめた拠点制圧用のニュータイプ対応型巨大モビルアーマーで、その大きさに加え可変機でもあるというとんでもない大物。そのため苦戦は必至でかつてないほどの製作時間を要してしまい、ようやく完成までたどり着きました。今後、製作に挑戦する方がいる場合にはぜひ参考にしてください!! 僕が報われます(笑)。作例は、当然何も芯にできるものなどなく、エポパテとプラ板からの自作がほとんどで、市販パーツはノズルや一部可動部に使用した程度です。なお、左右対称パーツは複製にて対応しています。また、『ムーンガンダム』の作例に関しては設定画に描かれている以上のディテールは入れない方針なのですが、今回はそのままだと間延びしてしまうので、凹凸や丸穴のモールドを追加しています。

■塗装
 主にMr.カラー、ガンダムカラー、ガイアカラーを使用。ほぼ設定画に準じています。
青=ライトブルー+ミッドナイトブルー+ウイノーブラック+色ノ源シアン、マゼンタ(少量)
黒=ミッドナイトブルー
赤=モンザレッド
白=MSホワイト
モノアイ=ブリリアントピンク
ビーム刃=色ノ源イエロー+色ノ源マゼンタ
 細部のグレーやスラスター内部はタミヤエナメルのジャーマングレイとフラットブラックで塗り分けました。仕上げにフラットクリアー+スーパークリアーIIIでツヤを整えて完成です。
 想定外の大作になってしまい、2023年はあまり作例ができず僕としては不本意な1年だったので、2024年は頑張りたいと思います!! 次回はG・ドアーズのデータを受け継ぎ闇の扉を持つバウの予定です。お楽しみに!!

1/144スケール スクラッチビルド

AMA-X9 ギガッザム

製作・文/仲井望

© 創通・サンライズ

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