1980年代サンライズ・ロボットとBANDAI SPIRITS これまでとこれからをホビージャパン編集長が語る【サンライズ特集2024】
2024.04.21彼らはBANDAI SPIRITS。君たちは狙われている! 月刊ホビージャパン2024年5月号(3月25日発売)
彼らはBANDAI SPIRITS。君たちは狙われている!
HG サーバイン
HG エルガイムMk-II
HG バッシュ
HG バイファム スリング・パニアー装備型
HG ザブングル・タイプ
HG ドラグナー1 リフター1装備タイプ
HG スコープドッグ
個人的トピックス1
ディザード(白)が初キット化!!
HGバッシュとタイミングを同じくして「重戦機エルガイムセット1」と同「セット2」が受注中。なかなか再販の機会がなかったB級HMのアローン、グライアも嬉しいが、なかでもTV放送当時はキットされなかったディザード(白)の姿が! 成型色替えというなかれ、なんとパッケージイラストを新たに描き直しているとのこと。到着が待ちきれない!!
個人的トピックス2
ROBOT魂がいよいよコンプリート!
着々とTVシリーズ全オーラ・バトラーコンプリートに向けてラインナップを増やしていたROBOT魂〈SIDE AB〉に、ついにボゾン一般機とボチューン(フォイゾン王)の商品化が決定! 詳細に期待が高まる!!
・ROBOT魂 <SIDE AB> ボゾン一般用&オーラ・バトラー制作台セットの商品ページはこちら
・ROBOT魂 <SIDE AB> ボチューン(フォイゾン王機)の商品ページはこちら
特集の締めくくりに思うこと
今回のサンライズ・ロボット列伝は1980年代のリアルロボットにスポットを当てたものとした。実際は1984年『巨神ゴーグ』を含めて11作品になるのだろうが、前回ゴーグは作例を作っていて、掲載するにしても同じモチーフになってしまうので、今回は10作品に絞っている。
■昨今のサンライズ・ロボットプラモブームに思うこと
さて、ここ最近のサンライズ・ロボットプラモブームのきっかけはなんだったのだろうかと考えてみる。いくつか挙げられるとは思うが、新しい記憶でいうと2021年にマックスファクトリーから発売されたPLAMAXサーバインとプレミアムバンダイ販売アイテムとしてリリースされたBANDAI SPIRITSのHGサーバインだろうか。特にBANDAI SPIRITSはこのHGサーバインを皮切りにHGエルガイムMk-II、HGドラグナー1、HGバイファム、HGダンバイン、HGスコープドッグと立て続けにラインナップを増やしている。これらに共通する点は……、そう、すべて1980年代の作品で、ターゲットがTVリアルタイム世代の50代なのだ。かくいう自分も2024年に5●歳になるアラフィフだが、まさに直撃である。この年代はいわゆる団塊ジュニアとも第二次ベビーブーマーと呼ばれる世代で、日本人のなかでもっとも人口割合の多い世代のひとつ。それに加えて1980年代はアニメ全盛時代。『宇宙戦艦ヤマト』や『機動戦士ガンダム』の大ヒットで、TVアニメが市民権を獲得しつつあり、ゴールデンタイムであろうと、チャンネルを回せばなにかしらのTVアニメに遭遇する時代だった。
我々アラフィフのDNAにはTVアニメ、とりわけロボットアニメが確実に刷り込まれているのだ!(いや、刷り込まれていない一般ピープルのみなさんもいるが)もちろんアラフィフ世代向け以外にもBANDAI SPIRITSのHGプラモデルシリーズは続々とリリースされているが、ここは特集に合わせて1980年代作品に絞りたいと思う。
■アラフィフ世代とバンダイのプラモデル
我々、特に子供のころからプラモを趣味として続けている人間は、ことサンライズ・ロボットアニメに縁が深い。『機動戦士ガンダム』以降、当時のバンダイを含め、タカラ、アオシマなど、さまざまな模型メーカーが精力的にキットを展開していた。なかでもやはりバンダイのプラモデルは別格だった。重機的で重厚なディテールを取り入れた『戦闘メカ ザブングル』、有機的なフォルムの再現を目指した『聖戦士ダンバイン』、当時の「MSV」キットの流れを汲み、ポリキャップを積極的に取り入れた『銀河漂流バイファム』、ダイキャストやラバー素材、ビニールチューブなど、マルチマテリアルに取り組んだ『重戦機エルガイム』、ダイキャストの銃が魅力的な『蒼き流星SPTレイズナー』、多色成型の「システムインジェクション21」がファンの度肝を抜いた『機甲戦記ドラグナー』。すべてのモチーフに新たな風を吹き込んだバンダイのプラモデルシリーズは、まさに当時のアラフィフ少年たちを虜にしたのだった。
■そして、時は流れ現代
さて、時は流れて現代、2024年。なぜ40年も経って今サンライズ・ロボットプラモブームなのか。うん、あえてもうここは“ブーム”と言ってしまおう! なぜならここ最近リリースされたキットが軒並みヒットしているからだ。ヒットの原因はいくつか存在する。まずはコロナ禍もあり、少し離れていたアラフィフ世代も含めてプラモに戻ってきたこと。もうひとつは、そんなアラフィフ世代は物欲世代。本もブルーレイも紙やパッケージで欲しいし、プラモはある程度棚に積んでおかないと不安になる。車はレンタカーやカーシェアではなく自家用車を所有しておきたい。そう、“物を持つことがステータス”の時代を生きてきたからこその物欲マンが多いのだ。そして最後にこれが一番かもしれない。そう、キットの出来がとんでもなくいいのだ。大事なことだから二度言う。キットの出来がとてつもなくいいのだ。あまりのかっこよさに涙したHGエルガイムMk-II、脚のラインまですべてパーツ分けされたHGドラグナー1、宮武一貴氏が描く設定画に寸分違わぬプロポーションを実現したHGダンバイン、とにかくびっくりするぐらいポージングが決まるHGバイファム、そしてそして! ストレスフリーな組み心地と高いパフォーマンスを実現したHGスコープドッグ。しかも“スコタコ”史上もっとも動く! さらに昨今発表され、ぼちぼちみなさまのお手元にも届きつつあるHGビランビーは、あまりのかっこよさにスマホ画面を二度見したほど。HGザブングル・タイプも忘れてはいけない。あのサイズで動くわ変形するわで、弄っていたら時が経つのを忘れてしまうほどだ(別に編集作業から逃げているわけじゃないよ)。
ただ、そんな出来のよさ、かっこよさをよりいっそう感じることができるのは、昔のキットのいい思い出も悪い思い出も覚えているから。ビランビーは特に悪い思い出……いや、失礼。あのころ自分の理想を求めて大改造にチャレンジして朽ち果てたキットたちの屍を乗り越え、こんなに素晴らしいキットが手に入る時代になったことにオジサンたちは狂喜乱舞しているのであーる!! ハァハァ、興奮しすぎてしまった…。とにもかくにも、これらの事象が相まって今の“サンライズ・ロボットプラモブーム”があるのだと思う。ただそれだけだと、我々アラフィフ世代がプラモシーンを引退してしまったらどうするの?
■サンライズ・ロボットの未来は
でも、じつはこの80年代サンライズ・ロボットプラモを買い支えているのはアラフィフ世代のみでないというのである。というのも最近はゲームなどの影響で、サンライズ・ロボットを知って、サブスクなどの映像配信で昔の作品を簡単に観ることができる時代。ひとまわり若い世代が『ボトムズ』を知っていたりする。かくいう月刊ホビージャパン編集部周りでも若い世代で『ボトムズ』や『エルガイム』に興味を持つ者も出てきている。モデラーのチョーちゃん(長徳さん)にも作例に合わせて劇場版『イデオン』を押し売りしたが、まんまとハマってくれたようだ。今度は『ボトムズ』と『ダグラム』(75話あるけど)を押し売りしようかと企んでいる。
良質な作品は40年経った今でも色あせない。もちろん映像は古く見えるかもしれないけど、根底に流れるストーリーやテーマは不動のものなのだ。世代の違う若者たちも巻き込んで、これからもどんどんサンライズ・ロボットを支えていきたいと思う。次の新商品発表を心待ちにしながら。(月刊ホビージャパン編集長 木村学)
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