HOME記事キャラクターモデル『伝説巨神イデオン』1/600ロッグ・マックを製作! 関節やプロポーションの調整で40年以上前のキットを蘇らせる!【サンライズ・メカニック列伝】

『伝説巨神イデオン』1/600ロッグ・マックを製作! 関節やプロポーションの調整で40年以上前のキットを蘇らせる!【サンライズ・メカニック列伝】

2023.05.24

サンライズ・メカニック列伝 第52回 ロッグ・マック 【青島文化教材社 1/600】 月刊ホビージャパン2023年6月号(4月25日発売)

『伝説巨神イデオン』1/600ロッグ・マックを製作! 関節やプロポーションの調整で40年以上前のキットを蘇らせる!【サンライズ・メカニック列伝】

1/600ロッグ・マック イメージカット

ロッグ・マック(『伝説巨神イデオン』より)

 サンライズ作品に登場する数多のメカを模型作例で再現し、改めてその魅力を探る連載企画「サンライズ・メカニック列伝」。今回はニューキット発売の記憶も新しい『伝説巨神イデオン』から、バッフ・クラン宇宙軍制式重機動メカ「ロッグ・マック」の1/600作例をお届けしよう!
 イデオン打倒のため、バッフ本星から新たに送り込まれた残忍非情な将校、ギャムス・ラグ。彼が率いる部隊に、最新鋭重戦闘機ゴンド・バウとともに配備された重機動メカがロッグ・マックである。第20話では「双子の悪魔」と異名をとるドッパ・ブフとキヤヤ・ブフの兄妹も搭乗。攻撃・防御両用の球型外殻を用いた体当たり攻撃でイデオンとソロシップを窮地に陥れている。
 作例は田仲正樹が私物を3セット投入して製作。設定画に忠実に設計されているがゆえに可動範囲に難がある脚部を中心に、各関節および外殻の脱着機構を刷新、同時にフォルムを調整。発売から40年以上を経たキットを、現行の製品と並べても違和感が生じないレベルで復活させている。

ロッグ・マック 全体画像1
ロッグ・マック 全体画像2
ロッグ・マック 全体画像3
ロッグ・マック 全体画像4

製作途中状態

素組み
作例

湖川友謙氏による設定画に描かれた形状が忠実に再現された1/600ロッグ・マックだが、その忠実さゆえに脚部の可動範囲が狭く、立たせた際に両脚のふくらはぎ同士が密着してしまう。また、キットの球型外殻は頭の上に乗せているだけなので、すぐに本体から外れてしまうことや、モールドの甘さも難点と言えよう。作例は自然な立ちポーズで飾れるようにするため、股関節周辺の最小限のアレンジと可動部の刷新、そして脚部のフォルム調整を行ったもの。製作途中画像からは、キットの部品形状が最大限に活かされていることと、機体のイメージを崩さずに可動範囲を広げるために、膨大な手間暇をかけて各部の調整を続けたことが読み取れるはずだ

胴体

胴体パーツ
胴体 側面のスラスターノズル

全体的にモールドが甘く歪みもあるため、ブロックごとに切り離し、整形後に再接着。「帯状の部分も切り離して磨きましたが、どれだけ面出しをしても最近のキットのようにはきれいにならないので、ほどほどにしておきましょう」とは田仲氏の弁。肩関節と股関節はHGガンプラの関節部品でボールジョイント化。股関節付近は太モモが若干左右に開けるように形状を調整し、側面のスラスターノズルが付く部分の角度を変更。ノズルは大型化し、各部の放熱口と思われる部分の内部にはスリットモールド入りのプラ板を埋め込んだ

腕部

腕部パーツ
腕部

キットの形状はほぼそのままに、モールドを彫り直し、関節の半球状モールドを市販のリベットパーツに置き換えてシャープ化。肩にはボールジョイントの受け、ヒジと手首にはポリキャップを入れて保持力を上げているが、「ヒジ関節は非常に繊細な構造なので、なるべく固定したほうがいいです」とのこと。クローは外殻装着時に取り外すので、着脱時の破損対策に開いた状態で固定している

脚部

脚部パーツ1
脚部パーツ2
脚部パーツ3
脚部

太モモはキットのパーツをゲージにプラ板で作り直し。左右に2mm幅増ししている。ヒザ関節はHGガンダムAGE-1のものに交換し、後ハメ化しつつ保持力を向上させた。ヒザの装甲は分割位置を変更。ふくらはぎブロックはエポパテで裏打ちして削り込み、形状を変更。足首関節はボールジョイント化。靴の部分も歪みが見られるため、ブロックごとに切り離し、整形後に再接着した

ロッグ・マック 全体画像5

頭部

頭部 ハッチ閉1
頭部 ハッチ開1
頭部 ハッチ閉2
頭部 ハッチ開2

キットはコックピットカプセル用のハッチが開閉可能だが、すぐにゆるんでしまうため、作例では開・閉の状態で固定したふたつの頭部を磁石で差し替える方式とした。成型の都合で設定と位置が異なる円筒状のモールドは削り取り、市販のバーニアパーツで作り直し。資料によっては「2連装」の記述もあるビーム砲は、劇中の描写と箱絵を参考に市販の極小ノズルパーツを接着し、6連装としている

外殻

外殻パーツと円盤状のミサイルランチャー
円盤状のミサイルランチャー1
円盤状のミサイルランチャー2

キットの装着方式は外殻内側のパイプを頭に乗せる仕様で、確実に固定されないため、作例では頭部を外した胴体にネオジム磁石で接続させている。表面の円盤状のミサイルランチャーも1mm厚の磁石で接続し、360度の回転と、差し替えによるランチャー展開を再現した。なおミサイルは3基しか付属しないため、キット3セット分を使い、差し替え用ランチャーを計9基製作している

イデオンとロッグ・マック

■だいたいグルグル回転したりするんだよな
 海へ行くたびにウミヘビばかり釣り上げているサンライズメカファンのみなさんは、「丸い装甲をまとった敵メカと言えば?」と問われれば、「機械獣ゴロンコS2、バランガM2、戦闘獣ギドニアス、火球獣アルガンドス、マグマ獣ギル、メカ戦士ドボーグ、戦闘ロボ・ガツール、そしてロッグ・マック…。あとカプール」と即座に答えるはず。全方向にトゲやらミサイルやら魚雷やらを乱射しながら、装甲の内部に手足を格納して体当たり攻撃を仕掛けてくるこれらの球形メカは、いかにもスーパーロボット的で『ガンダム』以降のいわゆるリアル路線のロボット作品には似つかわしくない存在に感じられます。しかし『イデオン』では冷酷非情なギャムス・ラグの部隊にロッグ・マックが配備されました。ギャムスは和平交渉の場で「異星人は全滅させる。私の名誉のために」と言い放ち、戦況が不利でも後退を許さず、果ては部下に特攻をさせるような奴です。「こういう連中に無限力なんてものを渡したら、間違いなくろくなことにならない」と、コスモたちと一緒に我々視聴者も改めて気付くための装置として、禍々しく異様でインパクトのあるシルエットを持ち、ある意味で時代遅れ感もあるこのメカが必要となったのだと思います。
 さて1/600ロッグ・マックですが、全体的に設定画にはよく似ているものの、腰(股関節)付近を似せすぎているゆえにしっかり立てないのが難点です。最大の特徴である外殻は薄めに軽く成型されていていい感じですが、本体へ固定されないので設定どおりの装着は事実上不可能。あと、仕方ないことですがモールドやエッジがかなり甘いですね。そこでまず胴体を上下に分割、頭部を切り離し、胸部の面出しをしながら首の部分にネオジム磁石を入れます。胴の下半分は縦に3分割し、太モモの可動範囲拡大のため脚部用のスリットを広げながら再接着。肩、股、ヒザ、足首の各関節にはHGガンプラの可動部を移植し(クローやヒジは固定することをおすすめします)、より自然な立ちポーズで飾れるようにします。頭部はハッチ開・閉の各状態を差し替えで再現。外殻を装着させる際は頭部を外し、首元の磁石と外殻内側の磁石を接続するかたちにしました。外殻表面の円盤(ミサイルランチャー)も小型の磁石で接続しているので、設定どおりの回転と、ハッチ開放状態との差し替えが可能です。

■アディゴとギド・マックの間
 キットの成型色は黄色寄りの緑ですが、講談社刊「ロボット大全集7 伝説巨神イデオン」と、日本サンライズ刊「伝説巨神イデオン記録全集2」を参考に、より青に寄せた緑(『マジンカイザー』版のゴロンコS2はこれに似た色相ですね)を作り塗装しました。
本体緑=純色グリーン+インディブルー+ビビッドオレンジに、純色バイオレット、コバルトブルー、ハーマンレッド、クールホワイトを各少量
ヒザ、ふくらはぎ等=自作の紫系グレー
 コックピットカプセルは純色バイオレット+ラースパープル+クールホワイトを明暗2種類用意して塗り分け。緑系のグレーでスミ入れをして、ツヤ消しと半光沢を混ぜたクリアーで塗膜をコートして終了です。
 次回は第1話から登場する敵メカの作例でお会いしましょう。…そうだ、どら焼きの回のドロゴンも丸いね。

青島文化教材社 1/600スケール プラスチックキット

ロッグ・マック

製作・文/田仲正樹

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ⓒサンライズ

田仲正樹(タナカマサキ)

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