HOME記事キャラクターモデルHGバイファムにツインムーバーをスクラッチビルド! 本体は設定画に寄せて全身を改修『銀河漂流バイファム』【サンライズ特集2024】

HGバイファムにツインムーバーをスクラッチビルド! 本体は設定画に寄せて全身を改修『銀河漂流バイファム』【サンライズ特集2024】

2024.04.17

バイファム ツインムーバー装備型【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2024年5月号(3月25日発売)

模型未立体化のツインムーバー装備をスクラッチビルド!

 1983年放映のTVアニメ『銀河漂流バイファム』。その主役メカのバイファムを、2022年に発売されたHGキット版を用いて製作。キットは最新のHGフォーマットで設計されアクション性能は申し分なし、さらに追加装備のスリング・パニアーが付属するなど盛りだくさんの内容となっている。今回の作例は、プラスチックキットとしては未だ立体化されていない長距離用補助燃料タンク、ツインムーバーをコジマ大隊長がスクラッチビルド。さらに、より設定画のラインに寄せるかたちで本体のプロポーションに調整を加えている。

銀河漂流バイファム

□1983年10月21日〜1984年9月8日□毎日放送□メカニカルデザイン/大河原邦男

『ダグラム』で高橋良輔氏と共同監督を務めた神田武幸氏のTVアニメ初単独監督作。メインキャラクターとなる13人の少年少女たちの交流・成長ドラマと、人型機動兵器・ラウンドバーニアンの姿勢制御バーニアを駆使した緻密な戦闘描写でアニメファンの注目を集めた。物語の舞台は西暦2058年、植民惑星クレアド。異星人の襲来から生き残ったロディら開拓民の子供たちは、練習宇宙艦ジェイナス号でクレアドを脱出。艦内に残されたラウンドバーニアンを操り、生き別れた親との再会を夢見ながら異星人の追撃に立ち向かう…。

FAM-RV-S1 バイファム
全長/16.8m(頭頂部)、17.9m(アンテナ先端)
全備重量/25.3t

▲地球軍が開発した宇宙戦闘用ラウンドバーニアン、バイファム。機体各部の姿勢制御バーニアにより、高い運動性能を獲得している。作中ではロディ・シャッフルが主に搭乗。増槽のツインムーバー、あるいは大気圏内行動用のスリング・パニアーを装着し、唯一の武器であるビームガンを手に並み居る敵ARVを迎え撃った。作例は大河原氏の設定画の柔らかなフォルムを志向。顔の微調整と腹部、太モモのボリュームアップ、さらにツインムーバーの自作によってキットの魅力を底上げしている

▲キットのバイザーパーツはエッジ部が丸められているが、設定画の印象に近づけるべくヤスリを当てて強引に面出しし、エッジを立たせている。また、頬側面のパーツ分割線は接着して消した

▲腹部のコクピットポッドは脱着可能。キャノピー部などを丁寧に塗り分け、機首左側のビーム砲の先端もドリルで開口した

▲腹部正面のハッチが開閉し、内部にポッドを収納可能。バックパックも跳ね上げられ、背面からもポッド格納部を確認することができる

▲作中では第20話、中継ステーション突破戦で用いられたツインムーバー。出番の少なさからか残念ながらキットには付属しないのでプラ材等の組み合わせでそれらしく自作した。下方に伸びた見慣れない追加タンクは、「マスターファイル ラウンドバーニアンFAM‐RV‐S1バイファム」(SBクリエイティブ)に収録されたイラストを参考に追加。ツインムーバー基部とはネオジム磁石で接続されているので脱着可能

▲本体とツインムーバーとの接続は、元々キットのバックパックにある3ヵ所のミゾにツメを挿し込んで固定。左右タンクはΦ10mmの編み物棒だ。完全固定はしていないので、回すことでバーニアを上下に向けることができる

▲番組後半で活躍した飛行アタッチメント、スリング・パニアー。メインエンジンのジョイント部と主翼が動くので劇中の飛行ポーズや駐機状態を再現することができる。キットパーツをストレートに組んでいるが、胸に被せるパーツのみ本体の幅増しに対応させて中央で縦に分割。プラ材を挟んで幅を広げた
▲バイザーのクリアーパーツはヤスリで面出しして縁のエッジを強調。ヤスリで整形後、1500番まで研磨してからコンパウンドで磨いて透明度を回復させた
▲頬のパーツ分割線は接着してからヤスリがけしてツライチに修正
▲胸部は中央でカット、プラ板を挟んで1mm幅増し。背中側はバックパック接続のダボがあるため画像の位置で3分割、0.5mmプラ板を左右に挟んで前後の幅を合わせた
▲赤いヒサシの部分は画像のようにダボを切り離して後ハメ加工
▲スネ正面の合わせ目を接着。それにともないヒザ関節はケーブル基部パーツに軸を追加し、後ハメできるように変更した
▲バックパックと自作ツインムーバーの位置合わせをしているところ。基本は1mmプラ板の箱組みで、タンクを通す中央部にはプラパイプを左右方向に通し、タンクの接続に利用している
▲ツインムーバーの形状出しを終えた状態。タンクは100円ショップで見繕った編み物棒、バーニア類を埋め込む部分を開口し、裏側からプラ板を当てて段落ち加工。バーニアはHGシナンジュのサイドアーマーのものを流用
▲製作途中の状態。腹部ブロックは左右にパテを盛って1mmずつ幅増し、腹部ハッチも下方を伸ばして全体に大型化。腰パーツも左右の隙間が目立つのでパテを充填して埋めた。太モモの外側のアウトラインにもパテを盛ってボリュームアップ

▲デュラッヘ戦を経て、その有用性に気づいたロディがジェイナス号の外壁から切り出した自作の「盾」。付属パーツの出来は申し分なし。持ち手や装甲断面を細かく塗り分けるとさらに引き立つ

 HGシリーズはプロポーション、可動域共に良好なバランスでできているキットなのですが、往年のファンとしては大河原先生の描くムッチリとしたフォルムも懐かしいのではないでしょうか? 今回はフォルムの修正とツインムーバーの製作を通して、このキットの楽しみ方を提案できればと思います。
■頭部
 塗装時の脱着を考慮してヒサシの一部をカット。アゴのパーツ分割線はどうしても気になるため、接着して一体化してしまいました。バイザーは設定通りにエッジの立った形状に修正。ここはいちファンのちょっとしたコダワリポイントです。

■胴体
 胸部は少しだけ胸幅を増やしたかったので、プラ板を挟んで1mm幅増ししました。腹部も細い印象に見えたので、左右で1mmずつ増加。腹部ハッチも下側をエポパテで厚みを増して全体にボリュームアップ、腰も脚部側のクリアランスが大きく内部が丸見えになるためエポパテを充填して可動できるギリギリまで塞ぎました。

■脚部
 胴体のボリューム調整に合わせて、太モモの外側に1mmプラ板を貼ってその厚みになるまでパテを盛り上げてムチムチ感のあるラインに変更、スネパーツには合わせ目が出るため接着して合わせ目の処理、そのためヒザ関節はケーブル基部のパーツに軸を追加して後ハメできるように機構変更。
 足首も接続軸でいったん切り離し、プラ板を挟んで1mm延長することで足首の引き出し関節の可動域を広げています。

■スリング・パニアー
 非常に良好な形状なので、キットのままストレートに組みたいところですが、バイファム本体の胸幅を広げたので、胸部パーツのみ中央で分割、1mm幅増ししています。
 付属の盾はジェイナス号の外板を転用した想定なので、スパッタリング(筆を弾いて塗料の飛沫を付着させる技法)でわずかに明るい白をまだらになるように付着させ、宇宙的な劣化表現で仕上げています。

■ツインムーバー
 長距離侵攻用のバーニア付きプロペラントタンク。出番は少ないですが印象的な装備なので自作してみました。左右のタンクは10mm径の100円ショップで見つけた編み物棒を切り詰めたもの。下方に伸びるタンクはウェーブのG・タンクから流用しています。ツインムーバー基部はプラ板の組み合わせで、もともとバックパックに存在する角ダボ穴に引っ掛けられるように、現物合わせでツメの位置を調整しました。

■塗装
白=ニュートラルグレーI→NAZCA ニュートラルホワイト
紺=ミッドナイトブルー+バーチャロンカラー マーズダークブルー→ミディアムブルー
赤=バーチャロンカラー ローズブライトレッド
黄=バーチャロンカラー マイルドオレンジ
武器=ニュートラルグレーIII+純色バイオレット
 使用塗料はすべてガイアカラーです。それぞれの基本色の濃淡をグラデーションをかけてから、元の色をスポンジで叩くように塗って情報量を増やし、エナメル系塗料で汚しを入れて使用感を足しています。各部バーニアはダークステンレスシルバーの上からクリアーブルーとクリアーオレンジをフワッとかけて焼け表現としています。
 腹部の7号機のマーキングはシールを型紙にしてマスキング、塗装で再現しました。シールには1〜9番まですべて用意されているのがありがたいですね。

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット “ハイグレード”バイファム スリング・パニアー装備型 使用

FAM-RV-S1 バイファム ツインムーバー装備型

製作・文/コジマ大隊長


▼ 関連記事はこちら

ⓒサンライズ

この記事が気に入ったらシェアしてください!

コジマ大隊長(コジマダイタイチョウ)

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2024年5月号

ご購入はこちら

HJメカニクス17

ご購入はこちら

サンライズ・メカニック列伝 ダブル・リバイバル編

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー