HOME記事キャラクターモデルHGダンバインを水性塗料の筆塗りで仕上げる! パッケージイラストのような質感に塗るオススメの方法【筆塗りtribe】

HGダンバインを水性塗料の筆塗りで仕上げる! パッケージイラストのような質感に塗るオススメの方法【筆塗りtribe】

2024.04.13

筆塗りTribe/ダンバイン【BANDAI SPIRITS 1/72】 月刊ホビージャパン2024年5月号(3月25日発売)

オーラ・バトラーらしさを水性ホビーカラーの筆塗りで表現してみる!

 モデラーがリビドーの赴くままに筆塗りを楽しむ本連載「筆塗りTribe」!! 今回はBANDAI SPIRITSが送り出す新生HGオーラ・バトラーシリーズから「ダンバイン」をテーマに筆塗りしていきます。塗装の参考にしたのはキットのパッケージイラスト。森下直親氏によって描かれたイラストは、僕たちがテレビで見てきたダンバインのソリッドさと、装甲表面のテクスチャー感によるオーラバトラーらしさが見事に融合。まさに塗装の参考にバッチリのイラストなのです。このテクスチャー感やグラデーションの雰囲気に、筆のタッチでチャレンジしていこうと思います。

(構成・文/フミテシ)

今回のパイセン

えぬせ/ガンプラやマクロス、飛行機模型に戦車、そしてマシーネンクリーガーとカッコいいと思ったものなら何でも楽しんじゃうモデラー。エアブラシも筆塗りもそれぞれ楽しんでいて、どっちで塗るというこだわりは無く、作る模型によって選択しています。


今月のキーアイテム

フィルバート筆

▲丸平筆とも呼ばれています。筆の両端に塗料が溜まりにくいので、平滑な塗りがしやすいです。また柔らかなタッチが出るので、自然な陰影表現もしやすいのが特徴

筆ピカリキッド

▲GSIクレオスの筆洗い用ボトルに、同社の筆ピカリキッドを入れたもの。途中で色を変える際には、いったん筆をしっかりと洗っています

水性ホビーカラー

▲水性ホビーカラーも、ガンダムカラーの充実により中間色のラインナップが増えてきました。今回は水星の魔女カラーを活用して、ダンバインの淡い紫を塗装していきます

ヒートガン

▲ドライヤーよりも強力。塗装したところに数秒当てるだけで水性ホビーカラーが一瞬で乾きます。これがあるだけで乾燥時間がさらに短縮されます。またしっかり乾かすと、次の色を上塗りする時によりキレイに発色します

メインカラーの淡い紫の塗装

1色目

▲下地に黒のサーフェイサーを吹いています。理由は透け防止と、塗り漏らしがあっても影に見えるから。まずは「水性ガンダムカラー ベギルペンデ バイオレット」を塗ります

ひとすくいだけ!

▲えぬせ氏は、筆塗りする時に塗料をひとすくいしかしません。これは「瓶の中の塗料が最初から筆塗りに適しているから」という理由。たくさん出して、塗料のコンディションが変化したものをあまり使いたくないというわけです

うすめ液も2滴まで!

▲水性ホビーカラー専用うすめ液を、皿にほんの2滴だけ出します。うすめ液はラー油瓶に移しているので、ぽたっと1滴ずつ添加可能です

均一には混ぜない!

▲皿の上でうすめ液と塗料を筆で均一に混ぜることはしません。これは、塗料が濃かったり薄かったりする部分ができて、同じ塗料でも使用感が違ってくるのを狙っています
▲下地を隠蔽しないように、全体を一気に塗っていきます。同じ箇所を何度も塗らないようにしましょう
▲筆目は上から下を意識。基本的には重力方向に筆を動かすようにしています
▲ヒートガンをほんの数秒当てるだけで、表面の塗料が乾きます
▲1色目を全体的に2周塗った状態。ほぼ瓶から出したままの濃度での塗装なので、発色がいいものの、塗膜が厚くならないように塗り重ねる回数を減らす必要があります

2色目

▲「ミカエリス パープル」。こちらのカラーをメインに少しずつ明度を上げていきます

 

▲頭部の光が当たっているところや、ツノのエッジ、ディテールの出っ張りなどを中心に、下のベギルペンデ バイオレットを塗り潰さないよう塗り進めます
▲ミカエリス パープルが塗り終わりました。影になる頭部の下半分には明るい色を塗っていないので、若干暗くなっています
▲ミカエリス パープルに白をほんの少量加えて一段階明るい色を調色します
▲ミカエリス パープルよりさらに塗る面積を少なくし、筆で優しく叩くように、面の中央のみに塗料を塗っています
▲だんだん色味が明るくなりながら、色の情報量も増えてきました
▲締めはハイライト。先ほどよりも多めに白を加えます
▲ツノの頂点や、ヒサシのエッジといった箇所にピンポイントでエッジハイライトを入れていきます。これでメインの淡い紫の塗装は完了です。他のパーツも同じ方法で塗っていきます
▲頭部の塗装が完了したもの。額の黄色いディテールと、目の赤の塗りをピックアップ!

黄色の塗装は下地が大事

▲使用したのはこの3色。「ホワイト」「オレンジイエロー」「ハイネ専用機オレンジ」
▲黄色はいきなり塗っても発色が難しいです。ホワイトとオレンジイエローを混ぜたものを下地に塗ります。これによって発色が良くなります
▲そのあとにハイネ専用機オレンジを塗って、最後にハイライトとしてオレンジイエローを塗っています

目は「クリアーレッド」で引き締め!

▲目のメインカラーに使用したのがモンザレッドとルナマリア専用機ピンク。モンザレッドで塗ったあとに、ピンクを混ぜていき、グラデーションで仕上げています
▲仕上げにタミヤカラー アクリル塗料の「クリヤーレッド」を薄く塗ります。これで目の光沢感も演出できます
▲クリヤーレッドを薄く塗ることで、目のグラデーションのばらつきも馴染み、さらに見映えが良くなります

オーラ・コンバーターは質感を変えてみる

 

▲本体と同じくらい存在感のある背中の「オーラ・コンバーター」。こちらは濃い紫となります。今回は水性ホビーカラーの「パープル」を使用します

あえてムラを強めに!

▲オーラ・コンバーターはあえて筆のムラとタッチを残して塗り、本体と差別化。ユニットとしての存在感を際立たせていきます
▲塗膜も平滑ではなく、下地の見え方もバラバラです。でもこの状態から色を重ねることで、本体よりも色の情報量が増えて存在感が増します。筆のタッチは面ごとに重力方向を意識しています
▲上塗りは、パープルとベギルペンデ バイオレットを混色して使用します。差別化はしつつもここで本体の雰囲気ともしっかり合わせていきます
▲パープルに少量のベギルペンデ バイオレットを加えます。このくらいの量でも充分明るい紫になります
▲キレイにグラデーションさせるのではなく、下塗りのタッチと上塗りのタッチの違いや色の違いがはっきり見えるくらい大胆に塗っていきましょう!
▲最後にパープルにさらにベギルペンデ バイオレットを加えて明るくした紫を、面の中央部に塗っていきます
▲完成! パープルは光沢の塗料なのでツヤも出ます。このツヤ感も本体と差別化できる要素のひとつなので、オーラ・コンバーターは光沢のままとしています。本体とはまた違った重量感ある仕上がりになっていますね

マジックリンを活用した部分塗装

▲ダンバインの凹ディテールは「黒」。これは台所用洗剤を使えば簡単に塗り分けできます。まずは缶スプレーやエアブラシで「ラッカー塗料の光沢」を吹きます
▲水性ホビーカラーの筆塗りの塗膜は、ラッカーコートを数回重ねたくらいではダメージがほぼありません。まずはラッカーコートした上から、筆で水性ホビーカラーのブラックを塗りましょう
▲ここでマジックリンが登場。これを綿棒に少量含ませて、黒がはみ出た部分を拭き取ります
▲メインの紫色はラッカーコートで守られているので、台所用洗剤でも溶けません。表面に塗った水性ホビーカラーの黒だけを拭うことができるので、簡単に塗り分けが完了します!

ハンドや関節の雰囲気付け

▲今回は下地の黒を活かしていることと、紫を濁らせたくないので、本体はスミ入れやウォッシングをしていません。ただ、ハンドや関節部のみMr.ウェザリングカラー グランドブラウンで味付けしています
▲まずはグランドブラウンを薄く全体に塗り広げます
▲次に、ウェザリングカラー専用うすめ液を筆に極少量含ませます。えぬせ氏が使うのは使い古して先がボサボサになった筆。良い味を出してくれるそうです
▲最後に、うすめ液を極少量含んだ筆でパーツの表面を叩くようにして、グランドブラウンに表情を付けていきます
▲完成! 筆によって拭き取られた箇所、塗料がじわじわと広がった箇所が小さいパーツの中で混在し表情豊かになります

Finished! HG DUNBINE

▲「塗料の明度を徐々に上げ、色を乗せる部分を徐々に減らしていく」というセオリーで塗られたダンバイン。ただ、「ここを強調したい!」というところにハイライトを置いています。その塩梅はパッケージイラストを参考にしています
▲本体の滑らかさを重視したグラデーションとは相反したオーラ・コンバーターの塗り。推進ユニットらしいダメージ感や重量感が表現されています
▲爪の根元には、シタデルカラーのシェイド「ドルーチ・ヴァイオレット」をひと塗りして、生物感ある足元にしています
▲下から上にかけて暗→明になるように意識して塗られているのがはっきりと分かる頭部。山のふもとから頂上に向けて色を明るくしていくイメージです。えぬせ氏の塗り方は、筆のタッチ数が少ないことで、よりひとつひとつの筆目が目立つ塗りなのが特徴。この筆目がプラモの表面に多くの情報量をもたらしています

──プラモとの出会いで明確に覚えているものってありますか?
えぬせ:5歳の時に出会った「元祖SDガンダム」のフルアーマー・パーフェクトガンダムです。形もカッコよくて、さらにコンパチで遊べる。プラモとトイの良さが融合していた元祖SDガンダムでプラモを作る楽しさを知りました。

──少年時代はどんなふうにプラモを楽しんでいましたか?
えぬせ:当時は組んでシールを貼る。それだけです。途中からガンダムマーカーが登場したのですが、今ほど性能が良くなかったので、キレイに塗れませんでした。だから塗らずにシールを貼ったほうがカッコいいな~と思いながら、まずはたくさん組むことを楽しんでいました。

──模型にさらに踏み込むきっかけは何だったのでしょうか?
えぬせ:中学1年生の時に「ホビージャパン」と出会ったことです。月刊ホビージャパンで見た「オラザク選手権」の第2回大賞作「ザク MS-00」(製作/野田啓之)は衝撃的で、「自分もこんなカッコいい模型が作りたい!」ってなってどんどんチャレンジするようになりました。

──普段はエアブラシ、筆塗りとこだわりなく塗装を楽しんでいますよね?
えぬせ:はい。どちらも最高に楽しいので、「僕はこれで!」なんて選べません。どちらも良いところがありますし、その時作る模型のイメージ、作る時のテンション(筆でしっかり塗り進めたいとか、エアブラシでブワ~っと一気に吹きたい! など)で使い分けています。併用は僕の模型スタイルのなかではあたりまえとなっています。エアブラシによるカラーモジュレーション塗装が好きなので、今は筆塗りでカラーモジュレーションのような雰囲気を演出できないかな~と模索中です。また塗料もラッカーだけでなく、さまざまな水性塗料を併用しています。実際に使うことで、自分のなかでさまざまな閃きが生まれる…。そういう瞬間が、プラモを塗装していて本当に楽しい瞬間だなと思っています。

BANDAI SPIRITS 1/72スケール プラスチックキット“ハイグレード”

ダンバイン

製作/えぬせ

HG ダンバイン
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●3850円、3次受注中、5月〜発送予定●1/72、約16cm●プラキット●プレミアムバンダイ販売アイテム

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Ⓒ創通・サンライズ

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