HOME記事キャラクターモデルエナメル塗料の特性と成型色を活かす塗装テクニック! 「PLAMAXバイファム & ウグ ラウンドバーニアンカラーVer.」を筆塗りで攻める【銀河漂流バイファム】【筆塗りtribe】

エナメル塗料の特性と成型色を活かす塗装テクニック! 「PLAMAXバイファム & ウグ ラウンドバーニアンカラーVer.」を筆塗りで攻める【銀河漂流バイファム】【筆塗りtribe】

2024.03.08

筆塗りTribe/バイファム&ウグ ラウンドバーニアンカラーVer.【マックスファクトリー】 月刊ホビージャパン2024年4月号(2月24日発売)

バイファム イメージカット

タミヤカラー エナメル塗料の特性を活かした筆塗り仕上げで攻めます!

 モデラーがリビドーの赴くままに筆塗りを楽しむ本連載「筆塗りTribe」!! 今回は手のひらサイズのヴィネットプラモ「PLAMAX MF-76 minimum factory バイファム & ウグ ラウンドバーニアンカラーVer.」をテーマにバイファムは全塗装仕上げ、ウグは成型色を活かした筆塗りをお届けしましょう!! 早速筆塗りを楽しんでいきますよ。

(構成・文/フミテシ)

今回のパイセン

ハタ/月刊ホビージャパン初登場! 各模型誌で80年代メカの作例を手掛けてきた凄腕モデラー。本職はグラフィックデザイナーで、今回の「PLAMAX MF-76 minimum factory バイファム & ウグ ラウンドバーニアンカラーVer.」のパッケージデザインも手掛けています。

筆塗りで「HELLO,VIFAM」

パーツ分割もユニーク! 組むだけでも楽しい「minimum factory」シリーズ

ランナーについたままのバイファムのパーツ
▲バイファムのパーツ。固定ポーズならではの脚の曲げ! 1パーツの中に脚や胴体の一部まで成型されていて、可動モデルとは異なったパーツ分割が楽しめます
ほぼ胴体が完成しているウグのパーツ
▲ほぼ胴体が完成しているウグのパーツ。ランナーを手に取るだけでもワクワクします
PLAMAX MF-76 minimum factory バイファム & ウグ ラウンドバーニアンカラーVer パッケージ

PLAMAX MF-76 minimum factory バイファム & ウグ ラウンドバーニアンカラーVer.

●発売元/マックスファクトリー、販売元/グッドスマイルカンパニー●4180円、発売中●約7cm●プラキット


今回のキーアイテム

ファレホ ホワイト

ファレホ ホワイト
▲暗い色のパーツの上に塗ってもバッチリ発色する隠蔽力が魅力。白や赤の下地に使用します

タミヤカラー エナメル塗料

タミヤカラー エナメル塗料
▲AFVのフィギュアの塗装などに昔から愛用されてきたのがエナメル塗料。伸びのよさと発色のよさは、小さい模型の筆塗りにぴったりです

Zippoオイル

Zippoオイル
▲ハタ氏は、エナメル塗料の希釈にはZippoオイルを使用。エナメル溶剤を使用するよりも、塗料の乾燥が早くなるので使用しているとのこと

POINT

1/白や赤を塗る部分の下地に「ファレホの白」を塗る
2/メイン塗装はエナメル塗料
3/ウグは成型色を活かす

エナメル塗料の筆塗りで「バイファム」を仕上げます!

塗装したバイファム
▲ファレホを下地に塗った部分が、エナメル塗料でいい感じに溶けて(塗料が泣くといいます)、色の情報量が増しています

 

塗料をパレットに出す バイファム
▲まずはファレホで白い部分の下地を塗ります。ファレホの希釈は水だけでOK! 今回はボークスのホビー用精製水を使ってより滑らかに希釈していきます

塗り潰さないでね!!

頭部パーツを筆塗り1 バイファム
▲下地なので、プラスチックのネイビーブルーが透けるくらいでとどめるのがポイントです!
パレットにグレーを追加 バイファム
▲次はエナメル塗料のダークシーグレイを使用して、白の影色部分を塗っていきます。また、より濃い部分にはジャーマングレイも少量混ぜたりします
頭部パーツを筆塗り2 バイファム
▲少量のZippoオイルで溶いたグレーを、奥まった場所や影になる部分に薄く塗っていきます
頭部パーツを筆塗り3 バイファム
▲グレーを塗ったら、上からフラットホワイトを塗装。パーツの上でエナメル塗料同士がじんわりと溶けて、白と暗いグレーが混ざり合い、グラデーションになります
塗装した頭部パーツ バイファム
▲白は、フラットホワイト、ダークシーグレイ、ジャーマングレイの3色を使用。この3色を混色しながら、各面に合った白を表現しています
頭部パーツを筆塗り4 バイファム
▲すでに白が塗ってあるので、エナメル塗料のレッドがきれいに発色します
パレット上で混色 バイファム
▲赤の影色を描くために、ごく少量のダークシーグレイをレッドに混ぜます
頭部パーツを筆塗り5 バイファム
▲薄く塗り広げていきます。小さな模型なので、あえて色の変化を強めに付けても面白い仕上がりになります
頭部パーツを筆塗り6 バイファム
▲ほぼ白に近い赤で、エッジにハイライトを入れます
パレットにグリーンを追加 バイファム
▲次はカメラの塗装です。暗い緑のディープグリーンと、明るい緑のパークグリーンを使用します
頭部パーツを筆塗り7 バイファム
▲まずはカメラのフチをディープグリーンで塗ります
頭部パーツを筆塗り8 バイファム
▲次にカメラの内側をパークグリーンで塗装していきます。この段階でぼやっと輝いている雰囲気になっています
頭部パーツを筆塗り9 バイファム
▲パークグリーンに少量の白を加えたものでハイライトを入れていきます。さらに、Zippoオイルでパーツ表面の塗料をブレンディング。そうすることで発光した雰囲気に仕上がります
脚部パーツを筆塗り塗装1 バイファム
▲脚部などのブルーは、今回塗装の参考にしている大河原邦男氏のイラストに塗られた明るめの青をイメージ。まずはエナメル塗料のフラットブルーを全体に塗ります
塗装した脚部パーツ1 バイファム
▲次に影色としてシーブルーを塗装。影になりそうな部分を狙って筆を乗せていきます
塗装した脚部パーツ2 バイファム
▲フラットブルーに少量のホワイトを混ぜたものを面の中央や先端に塗って、パーツの陰影を強調します。このあとZippoオイルで、表面を馴染ませてより自然なグラデーションとしています
脚部パーツを筆塗り塗装2 バイファム
▲最後にワンポイント。ほぼ白の青をハイライトとして入れます。これで青の塗装の完成です!
素組みとの比較 バイファム
▲完成です!! エナメル塗料での筆塗りは、溶剤を含ませた筆でパーツ表面を撫でながら塗料をブレンディングできるのがとても楽しいです。塗料同士を泣かせることで、色の情報量が増えて表情が豊かになります

ウグは成型色を活かして仕上げる!

塗装したウグ
▲ベージュ部分を成型色活かしで仕上げました! 早速その工程を見ていきましょう
パレットに塗料を出す
▲成型色仕上げに似合いそうな色をパレットに出します。ベージュの成型色に対してデザートイエロー、フラットブラウンをメインに塗っていきます。黒や白も混色用に準備します
頭部を筆塗り1 ウグ
▲まずは影になりそうな部分を、薄めたレッドブラウンでパーツのフチに塗っていきます
はみだした塗料を綿棒で拭き取り ウグ
▲Zippoオイルを染み込ませた綿棒で、レッドブラウンをぼかすように拭きます。拭き取るとただのスミ入れになってしまうので、綿棒で叩いたりしてぼけている雰囲気に仕上げます
頭部を筆塗り2 ウグ
▲次にデザートイエローを面の中央や突起部分に塗っていきます。より明るくしたい箇所は、デザートイエローに白を混ぜたものを塗るとよいでしょう
頭部を筆塗り1 ウグ
▲Zippoオイルを筆に含ませて、各色をブレンディングした状態がこちら。下地の成型色と上塗りした色が見事にマッチしています。他のベージュ部分も同じように塗っていきます
頭部を筆塗り3 ウグ
▲次にカメラの塗装。フチにフラットブルーを塗ります。先にフチから塗ると、面を塗るときにはみ出しにくくなりますよ
頭部を筆塗り2 ウグ
▲フラットブルーにホワイトを混ぜたものをカメラ中央の“面”部分に塗装
頭部を筆塗り4 ウグ
▲さらに明るい青を塗った後に、筆にZippoオイルを含ませて馴染ませます。発光している雰囲気に仕上がりました
頭部を筆塗り5 ウグ
▲エナメル塗料はとっても伸びがいいので、こういった白ラインのような塗り分けにとっても効果的
頭部を筆塗り6 ウグ
▲線がはみ出したら、Zippoオイルを含ませた筆先や綿棒で拭いましょう
塗装したバックパック ウグ
▲バックパックの表面を見てみましょう。成型色を活かした塗り方でも、ここまで表情が出ます。完全に塗り分けが終わったら、水性プレミアムトップコートのつや消しでコートしました
素組みとの比較画像 ウグ
▲作例ではベースの角度を変更しています。ベージュ以外の部分は、すべてエナメル塗料で塗装しています。顔は接着せずに練り消しゴムで固定し、左右に振れるようにしています
バイファム&ウグ
▲2体セットになっているので、それぞれ仕上げ方を変えて楽しめるのも本キットの魅力です! 30分もあれば組み上がりますので、ぜひ週末モデリングなどで楽しんでみてください!

─模型を始めたときの思い出を教えてください。
ハタ:小学生のときに友人に「シャア専用ズゴックを塗ってくれよ!」と頼まれたんです。そのときにシャアピンクに塗るだけじゃなく、銀でハゲチョロなんかもしたんですよ。それを友人にわたしたら喜んでくれて。それが自分のプラモを喜んでもらえた、褒めてもらえたという原体験だと思います。

─素晴らしいですね! その後もプラモはずっと続けていたんですか?
ハタ:いや…一回離れます。特に高校受験がきっかけですね。勉強優先でプラモをセーブしてました。そして高校生になったらバンド活動にハマってしまって。でもプラモデルのことは頭の片隅にはあったんです。本屋さんにぷらぷら行ったときは、ホビージャパンなどの模型誌を立ち読みしていました。

─プラモに戻ってくるきっかけって何だったのでしょうか?
ハタ:大学を出てデザイン事務所に入るのですが、そこにめちゃくちゃドイツ軍が好きな同期がいまして。飛行機や戦車の話をしていると、なんだか昔の気持ちが盛り上がってきまして。また入社した時期にMGのザクが発売したんですよ。それやHGのグフカスタムなんかを買って、パチパチと素組みしたら「プラモって楽しいな〜」って気分になったんです。そして事務所から独立したばかりのときに、元々大好きだった『装甲騎兵ボトムズ』のラビドリードッグのスクラッチにチャレンジしてみたんです。そうしたらそれを見てくれた人たちと知り合いになり、ワンダーフェスティバルにも参加するようになりました。そこから、僕のモデラー人生が本格的にスタートしたという感じです。

─実は今回久しぶりに筆塗りで仕上げたんですよね?
ハタ:はい。いつもは主にエアブラシで塗っています。でも、細かいところや汚し塗装には筆塗りは欠かせないので、選択肢として僕の中ではマストだと思っています。筆塗りをすると、塗料と筆を介して直接触れる感覚があるのが好きですね。塗料の特性も、より知れる気がします。今回のエナメル塗料での筆塗りは、以前展示会用に製作した模型をエナメル筆塗りで仕上げた体験をベースに実践しています。パーツの上で塗料をぼかしたり溶かしたりして表情を付けていくのは本当に楽しく、エアブラシ塗装とはまた違った筆塗りならではの体験だと思います。そうやってパーツ表面にできた筆跡がまた愛おしいと思うんです。

マックスファクトリー ノンスケール プラスチックキット“PLAMAX”

minimum factory バイファム & ウグ ラウンドバーニアンカラーVer.

製作/ハタ

Ⓒ創通・サンライズ

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ハタ

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