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水性ウェザリングペイントで質感が格段にアップしたHGガンタンクのリアルな泥汚れを見よ![後編]

2024.02.20

水性ウェザリングペイントで簡単ウェザリング/RX-75 ガンタンク【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2024年3月号(1月25日発売)

水性ウェザリングペイントで質感が格段にアップしたHGガンタンクのリアルな泥汚れを見よ![後編]

水性ウェザリングペイントで戦車をウェザリング!

スポンジスタンピング&筆で重厚感のある塗装表現が可能

 ウェザリングといえば泥、泥といえば戦車。ということで戦車のウェザリング方法も見ていきましょう。そのものズバリ「ガンタンク」を汚してくれたのは、普段はミニチュアペイント界隈でその辣腕を振るっているぷらシバ。彼が使用する塗料はすべて水性塗料なので、週末のリビングモデリングにも最適。さらに、スポンジのスタンピングで基本色を情感たっぷりに描き込めるワザや、水性ウェザリングペイントを活用した汚し表現といった“耳寄り情報”がもりだくさんなのでお見逃しなく!

製作・解説/ぷらシバ

▲使用したキットは「HGガンタンク」。プロポーション改造は一切なし、水性塗料のうえからの水性ウェザリングペイントの塗り重ねによって使い込まれた風合いを表現した

ぷらシバ

月刊ホビージャパンを代表する筆塗りミニチュアペインター。メカからガールズプラモ、ウォーハンマーまで彼の手にかかれば筆一本でなんでも映えます!

▲今回はこの水性ウェザリングペイントを駆使して土汚れをつけていく

水性ウェザリングペイント 6色セット

●発売元/GSIクレオス●2090円(単品あり、各363円)、発売中●6色セット

水性ウェザリングペイントうすめ液(写真右)

●発売元/GSIクレオス●638円、発売中

❶スポンジスタンピング+筆で基本色塗装!
❷水性ウェザリングペイントで泥や汚れを「描く」
❸乾/湿の2種類の泥色を用意しよう!

 前回はコチラ!


⑦サビ、雨垂れを描き込む

▲頭部の雨垂れ表現。アンテナ基部あたりを起点として水性ウェザリングペイント・ミディアムマッドを薄めて上から下に細く描いていく
▲キャノピー下のスリットも、水が溜まって流れてホコリが流れた起点として塗りやすい。キャノピーの下側段差から頬の部分も、雨水が流れて落ちて…という表現のキッカケとして描きやすいだろう
▲天板から流れてC面上部に一度溜まりそこから下に流れてアンテナ基部にまた溜まり。二手に分かれて下にまた流れていった雰囲気にしてみた。コクピット横の入り組んだ場所も汚れが溜まるイメージが掴みやすい
▲背部ダクトの劣化や堆積した汚れ、そこから発生するサビなどを表現するため水性ウェザリングペイントのウォッシュアンバーを丸筆の先でランダムに塗っていく
▲ダクト上部も汚れが溜まっては流れてを繰り返すであろう場所として捉え、同じようにウォッシュアンバーをちょんちょんと塗る。範囲を広げたいところはたくさん点を打つようにして、密と疎のバランスをとる
▲ウォッシュアンバーを塗った場所をきっかけとして、水性ウェザリングペイントのナチュラルラストでサビが浮いた調子を描き込む。薄めて下に流れるように描いてもよいだろう
▲ダクト付近にはベーシックブラックでスス汚れを追加した。青色の基本色とサビのオレンジ系、さらに退色表現の薄いグレーとブラックのススという4色の組み合わせはハマりやすいのでオススメだ
▲ナチュラルラストでサビまで施した写真左側と、スス汚れだけを施した右側との比較。ガンタンクの材質はルナ・チタニウムなのでサビが浮くのか? という疑問は常につきまとうが、堆積した汚れ自体が排熱と空気中の水分で反応して錆びるという解釈も、情景を作る際には有効かもしれない

⑧スミ入れ、フィルタリング、仕上げ

▲そろそろ仕上げ段階。浅い傷(退色)と深い傷(剥がれ)を描いていく。まずは水性ホビーカラー ガルグレーで浅い傷をパーツのエッジなどの擦れそうなところに筆で描き込んでいく
▲次は塗装が剥がれた傷表現。ガルグレーで描き込んだ浅い傷を狙って、水性ホビーカラー ファントムグレーをちょんちょんと置いていく。この際、ガルグレーで描いた場所の真ん中キッチリに狙わず、多少ズラしてもランダム感が出せる
▲ガルグレーとファントムグレーで描いた傷と2段目の段差に対し、1段目の段差の印象が薄いと感じたので、ウォッシュアンバーとベーシックブラックを混ぜ、薄め液で溶いたカラーでスミ入れ
▲前腕のスリット部もベーシックブラックでスミ入れというか、しっかり塗り潰して印象を引き締めておく。そろそろ終わりが見えてきたので、一度全体を仮組みして塗り残しがないか、全体の汚れ具合がちぐはぐになっていないかなどを確認しておくことを忘れずに

▲水性ウェザリングペイント ベーシックホワイトでパーツ全体を薄く染めてフィルタリング。白い色を薄く全体に被せることで色味の統一と空気遠近法的な効果を狙う。ベーシックホワイトを透きとおるほどに希釈してから筆に含み、いったんキッチンタオルでバウンドさせて含み量を調節する

▲希釈したベーシックホワイトを、パーツの上から下へと薄く塗っていく。この際、均一に塗ろうと思わなくても大丈夫。多少ムラがあったほうが却って味になる。筆を動かす気持ちよさを楽しもう!
▲フィルタリングが終わったら水性トップコートを吹いて表面を保護する。水性ウェザリングペイントは触りすぎると落ちてしまうので、気に入った汚しができたらトップコートで表面の保護をお忘れなく

ワイパー跡を追加してみる

▲ちょっとしたアレンジで、ガンタンクの有視界戦闘に欠かせないと思われるワイパーをランナーから自作。まずは紙にコンパスで下書き。ワイパー基部からワイパーゴム内側と外側の距離とワイパーの可動範囲(ワイパー跡)の角度を測った

 

▲紙の上にマスキングテープを貼ってペンでワイパー跡を転写したら、丁寧に切り出す。切り出す際はコンパスカッターがあると便利だろう。切り出したマスキングテープをキャノピーに貼る
▲キャノピーに積もった砂の色として、今回は水性ホビーカラーのライトブラウンをエアブラシ塗装。エアブラシ未所持の方は、平筆でパーツが湿る程度の薄さと筆含みくらいで塗っていってもよいだろう
▲マスキングを剥がしたら、ワイパーに集められた砂の軌跡や、砂が集まって下に垂れたところをライトブラウンと面相筆で描き込めば、リアルなワイパー跡が完成!

水性ウェザリングペイントは“泥汚し”の近道でした!

 水性ホビーカラーと水性ウェザリングペイント、オール水性塗料で仕上げたガンタンクはいかがでしょうか? スポンジスタンピングでわざとムラを作った塗面や、描き込まれた無数のテクスチャーによって、1/144スケールとは思えないリアルな風合いになっていますよね。水性塗料は匂いも優しいので、お茶の間でテレビを見ながらのんびり作業できちゃうのもイージーさに拍車をかけています。
 この水性ウェザリングペイントによるお手軽汚しは、ガンタンクはもちろん、マゼラ・アタックやヒルドルブ、ガンタンクR-44…履帯のあるガンプラすべてに応用できるので、気になった人はぜひお手元の履帯付きガンプラで練習してみましょう!

▲素組み(写真左)と。シルエットはそのまま、彩度を落とした塗装と、全身にこびり付かせたウェザリングによってここまで質感がアップする
▲頭部キャノピーにはランナーから削り出して自作したワイパーを装着。内部にはうっすらとハヤト・コバヤシがいるのがわかるだろうか?
▲転輪は奥まった部分を重点的に泥をまぶす。乾いた泥がこびりついているような表現を水性ウェザリングペイントで表現した

▲肩の120mm低反動キャノン、両腕の40mm4連装ボッブ・ミサイルランチャーは砲口部に煤と熱で焼けた表現を施した

▲背部のダクトは排気で熱がこもりやすい箇所。熱による塗装の劣化が激しい場所と解釈し、派手めに塗装の剥がれ表現を施した
▲下半身は地面と接しやすい部分を重点的に泥汚れを追加。さらに、泥が雨水で下に垂れていくような直線的な雨垂れ表現や、擦過痕を描き込んだ

■架空兵器のウェザリングとは?
 ウェザリング特集の私のお題はガンタンク。赤青白に黄色と派手めな色、かつ設定上の材質がルナ・チタニウム。こんな戦車、現実には当然存在しないわけで…。さてさてどう攻めようか? と考えつつ組み立てはじめました。
 まずはストレートに製作し、さっそく塗装です。サーフェイサーは水性のグレーと履帯にブラックの2色。下塗りとしては全体にワントーン暗めの色を平筆で塗装。2色目の明るい基本色については、ちぎったスポンジをMr.トラの手・持ち手棒で挟んで塗料をポンポンとスタンプして立ち上げていきます。スポンジを当てる角度を変えたり、ちぎり方を変えて同じ面ばかり続けて当てないようにして、狙っているのに狙っていない色ムラや変化を楽しんでみましょう。

■ウェザリング
 汚し塗装ですが、まず各部装甲の退色としてイエローやガルグレーをスポンジの尖った部分でエッジ周辺にスタンプし、数や形状、大きさを整えるときに細くまとまる丸筆で描き足したあと、塗膜の剥がれとして退色させた範囲より小さめのファントムグレーを重ねています。ホコリ汚れは薄く全体に上から下に施しますが、雨垂れなどはキズを描いた部分をきっかけとしてスタートさせていくと全体に施すときの雰囲気を掴みやすいと思います。熱が溜まりやすい排熱ダクトのスス汚れや、動くことで砂や泥を巻き上げたり巻き込みながら溜まって落ちる場所としては、車輪と履帯がわかりやすい箇所でしょうか。
 サビに関しては、装甲の材質の縛りこそありますが、パイロットやメカニッククルーの熟練度などを考えたり敵兵器の爆発などで付着した鉄粉の混じったホコリなどが食い付くことなどを想定しつつ、オレンジ色を感じさせる雨垂れとかシチュエーションをいろいろ想像する楽しみもありますね。
 オマケで、やや大きさを誇張していますが、ワイパーをランナーから自作しました。

 今回の工作が、みなさんのプラモ製作のモチベーションが上がるヒントになってくれたり、他の工程と組み合わせてみるなどして自由に楽しんでもらえたりするとうれしいですね。

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット“ハイグレード”

RX-75 ガンタンク

製作・解説/ぷらシバ

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©創通・サンライズ

ぷらシバ

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