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飛行機模型風ウェザリングでMG ゼータガンダムVer.Kaの説得力をアップ! 歴戦のMSの姿をご覧あれ[後編]

2024.02.18

スケールモデルのテクニックで飛行機模型の汚しを再現する!/MSZ-006 Zガンダム【BANDAI SPIRITS 1/100】 月刊ホビージャパン2024年3月号(1月25日発売)

スケールモデルのテクニックで飛行機模型の汚しを再現する!

MG ゼータガンダムVer.Kaをカラーモジュレーションで仕上げる

 今回お送りするのは2023年4月に発売された傑作キット「MG ゼータガンダムVer.Ka」を使用したウェザリングです。もはや手の加えどころがないほど洗練されたモデラー泣かせの本キットを、今回は本体には手を加えず、スケールモデルの製作でよく使用される「カラーモジュレーション」という、立体感を際立たせながら汚しを活かす塗装法を用いてキットの魅力を存分に味わいながら製作します。How toは普段からさまざまなジャンルの模型を製作するけんたろうが担当します。

製作・解説/けんたろう

けんたろう

月刊ホビージャパンにて「月刊工具」などの連載を持ち、毎度新たな工具やマテリアルに触れていることもあり、How to系特集の際には必ずその手腕を振るう月刊ホビージャパンのHow to番長。今回も、さまざまなテクニックを使ってZガンダムを仕上げます。

月刊ホビージャパン2023年5月号では水溶性アクリル塗料を使用し、ドイツ軍の代表的な3色迷彩色をHGサザビーに施した

❶カラーモジュレーション塗装でくっきり立体的に見せる!
❷飛行機模型を意識したウェザリングでウェイブ・ライダーモードの説得力を上げる!

 前回はコチラ!


⑤フライングアーマーを現用機風に汚す!

▲可変翼などにある動翼根本の汚れ(ストレーキング)を表現するため、カーブさせて切ったプラ板をガイドにマスキングテープを細切りする
▲粗密を意識しながら、作ったラインテープを翼に貼る。塗装した後に剥がすと地のグレーが出て、塗装が擦れた跡のようになる
▲フライング・アーマーは黒系でプリシェードの効果が薄いため、ミッドナイトブルーなどでグラデーション塗装を施す
▲最初の色を吹いたら、テープを剥がす。グレーと黒系の色のため、境目がかなりはっきり見えている
▲そのままだと汚れの部分が浮いて見えるため、本体の雰囲気に合わせるためにもネイビーブルーを薄く吹いて色調を馴染ませる
▲ウェザリングを行う際は、デカール貼りやトップコートを終えて、パーツを組んでから行う。今回はシェイドブラウンを使用する
▲パーツの端にウェザリングカラーをトントンと置き、可動翼の汚れの方向に合わせてスジを残すことを意識して、平筆で拭いながら伸ばしていく
▲最後に、もう少し汚しが欲しいと思う部分があればエナメル塗料のグレイでスジを書き込んでいく。やりすぎたと思ったら拭き取ってやり直そう

⑥ホコリ、サビ、煤汚れを施そう!

▲空母の艦載機に見られる、再現が難しそうな複合的な汚し。実は近年テンプレートが売られているため、簡単に再現することができる
▲このようにランダムな汚れが一瞬で完成する。ただ、このままだとはっきり見えすぎるため、少しだけぼかして馴染ませよう
▲ウェザリングカラー用うすめ液でほんのり湿らせた筆でポンポンとスタンプするだけで、強い汚れもちょうどよい濃度にできる
▲砲身先端などにはガイアエナメルカラーの煤でチッピング。この塗料はマルチに使えるため、一本持っていれば安心だ
▲他にも空気感を足すウェザリングを施そう。まずウェザリングカラーを点描のようにチョンチョンと乗せる
▲その後、薄め液でほんのり湿った筆で先ほど描いた点の下の部分を引っ張ると、サビが垂れたり、雨が垂れた様なスジができる
▲バーニア周りはシェイドブラウンを筆先に付けて、ほぼドライの状態で叩き、使い込んだ汚しを演出している
▲ドライブラシはエッジの汚しに最適。今回は強めのマルチホワイトでエッジに煤汚れを追加している

 プラモデルにウェザリングを施すと、全体的にもやがかかったようにくすみ、ピントがずれた様なボヤっとした雰囲気に見えてしまうことがあります。その原因は、基本塗装の上に「汚しの層」がふわっとかかっているからです。しかし、今回けんたろうが解説したカラーモジュレーション塗装を行えば、ウェザリングをする前からパキっとした明暗が付いているため、くすみの原因となる「汚しの層」がかかったとしても立体感を残したままくっきりとした模型を完成させることができます。少し手間がかかる塗装法にはなりますが、直線が多い立体的なデザインのモビルスーツには非常に効果的な技法となっていますので、ぜひチャレンジしてレベルアップを実感してみてください!

▲カラーモジュレーションのおかげでウェザリングをしたあとでも面や形状が認識しやすくなり、Ver.Kaの洗練されたフォルムがより一層際立った作例となっている

▲ウェイブ・ライダーモードも非常に立体感があって美しい。飛行機模型とガンプラの楽しいところがぎっしり詰まった意欲的な作例となったのではないだろうか
▲主翼部分に寄ってみると、非常にわかりやすくストレーキングが施されていることが分かる。本体の陰影感に引っ張られないようにあえて目立ちやすく粗密感を調整している
▲本キットは足の裏など、変形した際に目につきやすくなったり露出したりする部分も多いため、細かくパーツを分けたうえでさらにパネルラインを意識して塗装を施している

■最近、カラーモジュレーションが
 楽しくてしょうがない。
 やってみると“まるで自分が作ったんじゃないみたい”と感じる技法なんです。たくさんプラモデルを作っていても、予想外の質感に仕上がる。そりゃ先輩モデラーがハマるわけです。

■汚しが映える立体を作る
 そもそもカラーモジュレーションは陰影をバキッと付けることで“汚しが映える立体になる”という技法なんですが、たとえ汚さなくても独特の印象を持つ完成形ができます。手間は普通のグラデーションよりちょっとだけかかるのと、少しだけ陰影の方向に頭を使う(ただし考えすぎない)のですが、やはりひときわ達成感があるのでオススメの技法です。
 さて、私がこの技法をキャラクターキットでも行うようになってきた時にちょうど本特集が組まれ、選ばれたキットはMGのゼータガンダムVer.Ka。このキット、エッジがバキバキで相当カラーモジュレーションしがいのある形状をしているのでは? と思ったので今回は塗装にポイントを絞って製作してみました。

■Zガンダムを汚すこと
 しかしZガンダムで汚し塗装はアリなのか? と最初私も思ったのですが、よくよく考えてみるとZガンダムって歴戦のMSだなぁと、ふたつの戦役、2回の単独大気圏突入、2回の砂漠の戦い(1回は横断)、宇宙や月、雪山、あらゆる環境での戦いを経ている機体なのかなと思いました。現実でも航空祭でお目にかかる年季の入った戦闘機は、よく整備されてはいますが目を凝らせばだいぶくたびれています。こういったアツいエッセンスをプラモに放り込めば、歴戦のZガンダムを感じる作例ができるはず。

■最後に
 最終的に、自分が見たこともないようなZガンダムが完成したので、ひとまず狙いは成功。それにしてもここまでくたびれさせても、このゼータガンダムVer.Kaはそれを受け入れる余地があるのがすごいですね。皆様も可変機のウェザリング、いろいろ遊んでみてください。

BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット“マスターグレード”ゼータガンダム Ver.Ka 使用

MSZ-006 Zガンダム

製作・解説/けんたろう

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©創通・サンライズ

けんたろう

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