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オール水性塗料でHGガンタンクを泥まみれに! 技アリのウェザリングテクニックを詳しく解説[前編]

2024.02.19

水性ウェザリングペイントで簡単ウェザリング/RX-75 ガンタンク【BANDAI SPIRITS 1/144】 月刊ホビージャパン2024年3月号(1月25日発売)

水性ウェザリングペイントで戦車をウェザリング!

スポンジスタンピング&筆で重厚感のある塗装表現が可能

 ウェザリングといえば泥、泥といえば戦車。ということで戦車のウェザリング方法も見ていきましょう。そのものズバリ「ガンタンク」を汚してくれたのは、普段はミニチュアペイント界隈でその辣腕を振るっているぷらシバ。彼が使用する塗料はすべて水性塗料なので、週末のリビングモデリングにも最適。さらに、スポンジのスタンピングで基本色を情感たっぷりに描き込めるワザや、水性ウェザリングペイントを活用した汚し表現といった“耳寄り情報”がもりだくさんなのでお見逃しなく!

製作・解説/ぷらシバ

▲使用したキットは「HGガンタンク」。プロポーション改造は一切なし、水性塗料のうえからの水性ウェザリングペイントの塗り重ねによって使い込まれた風合いを表現した

ぷらシバ

月刊ホビージャパンを代表する筆塗りミニチュアペインター。メカからガールズプラモ、ウォーハンマーまで彼の手にかかれば筆一本でなんでも映えます!

▲今回はこの水性ウェザリングペイントを駆使して土汚れをつけていく

水性ウェザリングペイント 6色セット

●発売元/GSIクレオス●2090円(単品あり、各363円)、発売中●6色セット

水性ウェザリングペイントうすめ液(写真右)

●発売元/GSIクレオス●638円、発売中

❶スポンジスタンピング+筆で基本色塗装!
❷水性ウェザリングペイントで泥や汚れを「描く」
❸乾/湿の2種類の泥色を用意しよう!


①組み立て&下塗り

▲まずは普通に製作。合わせ目を接着、整形した程度で、プロポーション改修は行っていない。それにしても発売から24年が経過しているにもかかわらず、税込880円という低価格でこのプロポーションと色分け再現度は驚異的。改造と塗装に気を使う必要が少ないぶん、ウェザリングの練習にもってこいのキットといえる
▲基本塗装の前に、塗料の食いつきを良くするためと発色を上げるために一度サーフェイサーを吹く。本体はグレーの水性サーフェイサー1000、履帯パーツは水性ブラックサーフェイサー1000を塗布した
▲塗装する際、私の場合は100円ショップで購入した白い大型トレイを愛用している。ポリプロピレン製なのでこの上に直接塗料を伸ばしても色移りしないし、汚れてきたらうすめ液で掃除できる。ガラス瓶はうすめ液を入れておくためのもの。筆を洗う際に重宝
▲1:下塗り、2:基本色の順で塗っていく。下塗りは暗めの色を平筆で塗る。下塗りは基本色よりも暗くするので、ブルーの場合はミッドナイトブルーを少量混色。赤はあずき色+レッドブラウン少量。黄色は赤の上からクリアーオレンジ、イエローと塗り重ねて立ち上げていく

②スポンジスタンピングで基本色塗装

▲下塗りが終わったら、1段明るい色で基本塗装をしていく。洗車スポンジや絵画用に用いられる、目の詰まったスポンジをちぎってMr.トラの手で掴む。これが基本色を塗る「筆」代わりになる。もちろん先端でスポンジをつまめるものならMr.トラの手以外でもOK
▲塗料を付ける前に、一度水性ホビーカラーうすめ液にスポンジを浸す。そのあとキッチンタオル等に押し当ててスポンジを固く絞れば、塗装準備完了
▲パレットに濃いままの塗料を出してスポンジに含ませる。写真はブルー(青)をスポンジに含ませているところ。スポンジの絞り加減でも塗料の濃度を調整できるが、湿りすぎるとこのあとの塗布工程でコントロールが難しくなるのでつけすぎに注意
▲パーツ形状に合わせて、スポンジの広い面でまずは塗料をポンポンと優しく置いていく。奥まったところや逆エッジの部分にはなるべく下地を残すようにしつつ、同じ場所にスポンジを置かないよう毎回場所を変えながらスタンプする
▲小さな凸部やアールになっている箇所などは、スポンジの尖っているところを使って軽く突くようにスタンプ。写真は背部ダクト、ミディアムブルーとガルグレーの混色を塗っているところ
▲転輪は履帯に隠れるのと、陰色として残すので、奥まで無理して攻めずに外側周辺だけスタンプ。外輪部だけ明るい色が乗ることで、色の立体感が生まれているのがわかるだろうか。ランダムなテクスチャーを乗せることができるスポンジスタンピングは、ウェザリングのみならず基本塗装でも非常に効果的だ
▲赤い部分にはあずき色を塗るのだが、スポンジだと広範囲を一気に塗ってしまうため、ピンポイントに塗りたい場合などは、少しくたびれてまとまらなくなった平筆の先に塗料を少し付けて、突くように塗ることも。スポンジスタンピング塗装とはいえ、スポンジだけにこだわらないのもコツ
▲頭部もガルグレーでスタンピング、パーツのエッジを狙うつもりでスポンジスタンプ、あえて細かいコントロールはせずスポンジのタッチに任せてしまってランダムな雰囲気を出してみよう
▲車体後部のダクトもスポンジスタンプしていくが、ここは後述の擦過痕としてホワイトを乗せるため、少しネチネチとスタンプして明るいブルーの面積を広めに塗っておく。全身の出っ張ったところ…車体前後の出っ張ったブロック(牽引ブロック?)も強めにスタンプしておく

③擦過痕を筆で書き込む

▲ここは丸筆の出番。まとまった筆の先端近くの腹を使いエッジ部にガルグレーを塗り、障害物にぶつけたり擦ったりして塗料が剥がれた表現を施していく。とはいえ、すべてのエッジを均等に塗ってはいけない。コーナー付近を太くしたり、直線部分は点線を描き込むようにしたりして調子を付けると自然に見える
▲車体後部のフィンの部分も、一律ではなく1枚1枚個性が出るように、筆が触れるか触れないかくらいのタッチでランダムになるように塗っていく

④「焼け」の表現

▲撃ち続けて加熱したり煤けたりした砲口の表現として、まずは薄めたクリアーオレンジを砲口先端から2mmほど塗る
▲クリアーオレンジが乾いたら、その上からクリアーブルーを砲口先端より1mmくらいまで重ねて塗る。この2ステップで簡易的な「焼け」が筆塗りで表現できる
▲クリアーブルーが乾いたらさらに煤表現として、水性ウェザリングペイントのベーシックブラックを平筆の先端に付けて擦り付けるように塗る
▲塗装完了。砲口内部もベーシックブラックで塗るとついでに立体感が出せる。下地のミディアムブルーの影響で、少し濁ったオレンジが焼けのような、火薬の滓のようにも見えるちょっと不思議な雰囲気が出せた
▲背中のダクトも同じように塗っていくが、ここはまずベーシックブラックだけを擦り付けるように塗っておき、このあとの違う工程で塗り重ねていく

⑤水性ウェザリングペイントで汚し塗装

▲いよいよ泥表現。いきなり泥塗料をまぶすのではなく、車体下部や裏側などで試し塗りするのをお忘れなく。まずは湿った泥として水性ウェザリングペイントのミディアムマッドを専用うすめ液で溶き、モールド奥に入り込ませるように塗っていく
▲転輪も同じようにボルトの根元やリブの奥のほうを狙って染み込ませるように塗る。起動輪と転輪で形状に差異がないので、あまり深く考えずに泥をまぶしていけるのがガンタンクのチャームポイント
▲泥汚れは、湿った泥と乾いた泥の2系統の色で塗り分けると「らしく」なる。ということで次は乾いた泥の塗装。水性ウェザリングペイント・ファインダスト(乾いた泥)を乗せていく。薄く溶いてから乗せてみて、様子を見て雰囲気と感覚を掴むのがよいだろう
▲丸筆ばかりだとどうしても狙いすぎてワザとらしくなってしまう時もあるので、ヤレた平筆の先に少量含ませて上から下へまっすぐ掃くように塗っていく。重力の方向を意識して、垂直に筆を動かすのがポイント
▲転輪もファインダストを重ねて塗装。モールド奥のミディアムマッドを残しながら凸部付近だけ塗れば、奥の濡れた泥と陽の当たる表面が乾き始めている感じが混在し、さらに2色が混じってグラデーションにもなり、見た目の情報量がグンとUPする

⑥履帯を泥にまみれさせる!

▲いよいよ「タンク」ウェザリングのキモにして華、履帯の汚し。まず履帯の基本塗装として水性ガンダムカラー ファントムグレーを平筆に取り、キッチンタオルで軽く拭っておく。ドライブラシをする時のようには拭きすぎない、少し筆先が湿る程度の拭き取り具合がベスト
▲履帯全体にあらかじめブラックサーフェイサーを吹いているので、撫でて塗る程度でも塗り漏れがあまり気にならないのだが、もしサーフェイサーの吹き漏れがある場合は、この工程で塗り潰して修正してしまう
▲履帯の金属の擦れや摩耗表現として、ファントムグレーにエアクラフトグレーを混ぜてドライブラシ。履帯の進行方向に合わせて筆を動かしていってまず1周。2周目にはエアクラフトグレーだけでまた1周し、3周目はガンダムホワイトをエッジだけ撫でるようにドライブラシした
▲基本塗装が乾いたら、全体にミディアムマッドを塗布する。薄め具合は筆にうすめ液を吸わせてタオルでポンと軽く拭ったくらいで、塗料が伸びやすい濃度。付けすぎたらタオルで筆を拭っては撫でて泥の量を調節する
▲さらに、ファインダストをドライブラシ。納得がいくまで撫で回して、泥の残し具合を調整しよう
▲塗装前と比較。シルバーやガンメタルでエッジを輝かせるのもいいが、今回は摩耗した部分にも土ホコリが付いた雰囲気を狙い、グレー系で落ち着かせた。泥の量は各自好みになるまで繰り返してみよう

BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット“ハイグレード”

RX-75 ガンタンク

製作・解説/ぷらシバ


 今回はここまで!
 後半では、サビや雨垂れの描き込みから仕上げ、そして完成した「HG ガンタンク」をご紹介。お楽しみに!

\続きはコチラ/

 公開は2024年2月20日の17時から!

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©創通・サンライズ

ぷらシバ

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