生まれ変わったウェーブの「1/24スコープドッグ」レビュー作例! プロポーションに可動、すべてが見事に構成された新規金型によるキットに刮目せよ!【装甲騎兵ボトムズ】
2023.12.30ウェーブ渾身の完全新規設計1/24スコープドッグをレビュー!
『装甲騎兵ボトムズ』(1983)が伝説のアニメであることは論を俟たないが、その模型もまた伝説級ということで、当時発売されたタカラ製1/24スコープドッグは出色の完成度を誇るキットとしてよく知られている。アニメ放送から40年。これまで件のタカラ1/24製本体にアップデートパーツを追加したコラボキットから始まり、完全新規金型の1/35キットを手掛けてきたウェーブが、満を持して1/24スコープドッグの「完全刷新」に着手した。名作キットとのコラボで得たノウハウのすべてを金型にぶつけることで、プロポーション、可動、ディテールといったあらゆる面で高水準に生まれ変わった“ウェーブの1/24”をレビューする。
FRONT
SIDE
REAR
今回はウェーブのボトムズキットシリーズ最新作、1/24スコープドッグを製作しました。言うまでもありませんが、ウェーブはすでに1/24のスコープドッグを製品化しています。ボトムズモデラーからは名作中の名作と言われたタカラ製キットの部材供給を受けた、一連の1/24シリーズですね。しかも、ただの再販ではなく、関節など一部パーツをアップデートしたり、バリエーション再現用のオプションパーツは新たにランナーを追加するという、かゆいところに手が届く逸品でした。
タカラ製の無骨な印象のプロポーションは多くのファンを虜にしましたが、今回製作した完全新金型でリニューアルされた新製品はどうでしょうか。旧1/24キットを長らく尊重してきたウェーブですから、ボトムズファンとしては、設計を完全に刷新した今回の製品には当然それ以上のものを期待してしまいます。
結論から言えば、個人的には「1/24キットといえば、タカラ版!」という従来のイメージを完全に超えてきた、と感じました。プロポーションは若干スタイリッシュになっていますが、無骨さも残した頭身バランスが絶妙です。また可動範囲も素晴らしく、ヒザ周辺に追加パーツを組み込むことなく(!)降着ポーズが取れたり、腹部のメンテナンスハッチが設定通りに開くなど、ATならできて然るべきという動きやギミックはほぼ再現できていると思います。
製作してまず思ったのは、組み立てに接着剤が不要なこと。以前製作した同社の1/35シリーズもスナップフィットでしたので当然といえば当然なのですが、「あっ、設計が完全一新されているんだなぁ」と実感しました。「1/24のスコープドッグは接着剤で組むもの」とずっと体が覚えていましたから、地味に、いやかなりエポックを感じた部分ですね。キットは軟質素材も巧みに使われており、可動部の保持も確実かつスムーズに動かせます。また、パイロット(キリコ)の造形も◎なのに加え、腰のメンテナンスハッチが外れるようになっているので、ウドに流れ着いたキリコがATをレストアするシーンも再現できるなど「わかってるなぁ」と思う部分もあります。いやホント、手を入れるところがありません。
塗装ですが、先述の腰のメンテナンスハッチに影響されて、ウドのスクラップの山から再生した機体をイメージして、塗装の退色や酸の雨によってサビた感じが出るように意識しています。そのためマーキングはしていませんが、もちろんキットにはデカールも付属しますよ。
名作・タカラ1/24スケールキットの登場から40年。満を持して発売された最新キットの完成度は「1/24といえば、ウェーブ版!」と認識を改めるに充分すぎる仕上がりでした。個人的にはバリエーションとしてマーシィドッグにも期待しておりますので、首を長くしてお待ちしておりますよ! ウェーブさん!
ウェーブ 1/24スケール プラスチックキット
ATM-09-ST スコープドッグ
製作・文/斉藤仁孝
スコープドッグ
●発売元/ウェーブ●9900円、12月下旬予定●1/24、約16cm●プラキット
\ 「ウェザリング塗装解説」記事はこちら/
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斉藤仁孝(サイトウヨシタカ)
キャラクターモデルからスケールモデルまで、ちょいテク仕上げの数々をマスターしている「技のデパート」。