“光速”硬化?! 「光硬化」と「瞬間接着」ふたつを兼ねた新マテリアル登場!
“瞬間接着剤”でおなじみの「アロンアルフア」から新たな瞬間接着剤「アロンアルフア 光」が登場しました。そのままでも接着できる「瞬間接着剤」でありながら、光を当てると硬化する「光硬化」をもつ、それぞれの接着剤のいいとこどりをしたようなスペックをしています。その力は本当なのか? 実際に使用して確かめていきましょう。
097 Product_name Aronalpha Hikari
解説/けんたろう、月刊工具スタッフ
▼実際に使用している動画もチェック!
光で“固まる”瞬間接着剤とは?
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アロンアルフア 光
●発売元/東亜合成●オープン価格、発売中●4g
▲ 接着剤は容器がケースに入っていて、側面をプッシュすると出てきます。基本は透明の液状タイプで量がまとまると少し緑がかって見えます
▲ 傾けても流れない程度の中粘度で爪楊枝や接着剤用の棒で掬い上げて塗布できます
▲ ここに付属のライトを当てるとすぐに硬化します。10秒も照射すれば充分です(多量に盛っている場合は反応熱が生じて煙が出ることがあります)
▲ 瞬間接着剤なのでPPシート上であればくっつかずに取り外せます。硬化後は触っても大丈夫なほどカチカチに、通常の瞬間接着剤が硬化した際と同じ質感になりました
「瞬間接着剤」だからそのままでもくっつきます
この製品は「瞬間接着剤」なので自然に硬化します。ここが面白いところで不透明なパーツでも、光の通る箇所だけ先に硬化させて固定、光の通らない箇所は時間とともに硬化させて接着完了、ということもできます。また自然硬化するのに少し猶予があるので写真のような小さいパーツでも理想の位置を決めてから光硬化で固定することができます
「硬化が速い」&「白化しない」のいいとこどり
▲ 瞬間接着剤というと、クリアーパーツが白化してしまうところに難がありましたが、さてこの製品ではどうでしょうか。実験として透明プラ板同士を接着してみましょう
▲ 接着面からはみ出ないように塗布したらプラ板を立て、手で固定しておきます
▲ 付属のライトを照射して硬化させます。塗布した箇所をなぞるようにひと周り光をあてれば、もう手で支えなくてもプラ板が立っているでしょう
▲ 光で硬化させると接着白化が起きず透明プラ板に全く影響はありません。この段階でしっかり硬化しているようで1日おいても白化は見られませんでした。強度もあるので、よほど力がかかる場所でなければどんどん使っていけます
「アロンアルフア 光」はUV硬化ではなく“可視光”で固まっている!
製品のライトは青色なのでUV(紫外線)で硬化しているように見えますが、今回の光硬化はUVは関係のない「可視光」で固まる性質をしています。性質上は青色でないほかの光でも硬化はしますが、付属のライト(青色光)が最も硬化に適しているため、こちらを使用するようにしましょう。結果的に紫外線よりも目に優しい作りにもなっているのも良いところです
▲ 瞬間接着剤なので「硬化促進剤」でも硬化できます。位置を決めた細かな接着には光硬化、範囲が広く塗布量が多い場合にはスプレータイプの「硬化促進剤」と、用途ごとに使い分けると良いでしょう
▲ 光が通りさえすれば良いのでクリアーパーツでは接着面の裏側からでも硬化させることができます
▲ 光硬化させると白化が起きにくいので、塗膜の上やクリアーパーツでも問題なく使用できます。とくに航空機のキャノピーは塗装後最後に接着するクリアーパーツなのでうってつけでしょう
切削も問題なし! 模型作業に抜群の性能!
How to use
▲ もうひとつ気になる「瞬間接着剤」としての加工性能を見ていきます。写真のようなパーツの合わせ目と隙間を埋めてみます。瞬間接着剤用のノズルを装着して塗布することもできるので合わせ目の箇所に塗布しライトで硬化させます
▲ 硬化後はナイフも通りやすく、他の「瞬間接着剤」と同様の削り具合です。ここはUV硬化系マテリアルと大きな違いです
▲ ヤスリでの削り出しも問題なく、気泡などもあまり見られません。パーティングラインの段差、合わせ目、パーツ表面のヒケなども簡単に処理できるでしょう
▲ 瞬間接着剤ではおなじみテクニック、ベビーパウダーを混ぜ込み、パテのような使い方ができるか試してみました。まずは塗布しやすい粘度になるまでべビーパウダー加えて混ぜます
▲ 接着剤のみだと多く盛るのは難しいですが、パテ状にすることでしっかり盛れるようになります。光が通りにくいぶん、中まで硬化しづらくなりますが、少し時間をおけば問題ありません
▲ 光硬化後、自然硬化も含め5分ほどまって作業。削っても中までしっかり硬化しています。簡単に表面をならすことができました。パーツの裏打ちなどにも役に立ちそうですね
宝石のよう? 厚みのあるクリアー層を追加
下地を侵さないことを利用して、メタリック色の上にデカールを貼り、上からコーティングしてみます。表面張力でこぼれない程度盛ったらライトを照射します。これを2~3回繰り返して厚みを出してみました。ヒケることもなく透明度もそのまま固まるので、キャラクターモデルに宝玉のような意匠を表現できそうです
レンズパーツも簡単&キレイに仕上がり
接着剤の硬化した表面が平滑で光沢に仕上がるのでシールの上に盛ってレンズ状パーツを作ってみました。単純なレンズ形状はもちろん、四角いモールドなどディテールの凹部分を満たすような盛ってクリアー層をつけ、センサーっぽさを演出してもよさそうです
10分でできる?! クリアーディスプレイ自由自在
How to use
▲ 白化することなくクリアーパーツの接着ができることを利用して、透明なプラ板とアクリル棒を接着してディスプレイベースを作ってみましょう。使用するのはハセガワ「1/72 AV-8B ハリアーII プラス」(1320円)。垂直離陸をイメージしつつ、斜めに置けるようなディスプレイベースを目指します
▲ 一本目は胴体下部にある大きなフィンが2枚の間を支えるようなT字のアクリル棒を作ります。アクリル棒を適当な長さで切断し光硬化で接着します。曲面を埋めるように塗布すれば強度もばっちりです
▲ 胴体の後部をY字の棒で支えます。こちらはクリアファイル(PP素材)などの接着されないものの上で、棒を並べて接着します。持ち上げられる程度に固定出来たら隙間を埋めるように塗布、ライトで硬化させて完了です
▲ あとは作った棒を立てるだけ。まっすぐでなく機体が少し傾くように支えを立てていきます。アクリル棒の先端に塗布して位置を決めたら、片手で支えながらライトを照射すればあっという間に固定できます
▲ ということで完成です! 1/72スケールキットの重さならこの支柱2本で揺れることなく支えられてます。重さや形状によって支柱を追加したり調整しましょう。このベースは10分少々で作れたので、とてもお手軽に作業できます。(展示会などでディスプレイの際は1日持つように強度はしっかり確保しましょう)
まとめ
光で硬化するだけでなく、通常の瞬間接着剤としても使用できるふたつの特性を合わせ持つ新しい接着剤、それがこの「アロンアルフア 光」です。光であっという間に固定できるスピード感には驚くでしょう。それでいて光が奥まで通らなくても自然と硬化して接着できてしまいます。白化も気にならず仕上がりもキレイで切削可能と、すべてにおいていいとこ取りしたようなアイテムです。ぜひ一本は備えおきたい接着剤です。
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