「HSGK 1/72 HL-1 ハイレオン」で覚えるGTMレジンキットの組み立て方
ここではゴティックメード(以下GTM)のレジンキットに初挑戦、または久しぶりにレジンキットを作ってみようかなという読者に向けた、HIGH-SPEC GARAGE KITの組み立てポイントをご紹介します。昨今のガレージキットはパーツ精度も非常に高く、ここでご紹介する基本を押さえれば、しっかりと組み立てられます。ぜひ記事を読んで、美しいGTMの世界へと踏み出してください。
レジンキット組み立てフローチャート
基本的なレジンキットの組み立ての流れをまずは確認しましょう。ハイレオンのキットもこの流れで組み立てていきます。
パーツチェック
各パーツがしっかりと揃っているか確認します。
パーツの洗浄
レジンキットのパーツは、型からパーツを外れやすくする離型剤や油などが付着しています。これを洗浄して落とします。
パーツの切り出しとゲートカット
プラキットのパーツのように、ランナーのゲートからパーツを切り出します。また最初から切り出されているパーツにはゲートが残っているので、それも除去していきます。
パーツ整形
パーツのパーティングラインや、気泡の穴を埋めていきます。
軸打ち
パーツどうしをしっかりと固定するための軸を、真鍮線を使って打っていきます。
サーフェイサーを吹く
最後にサーフェイサーを吹いて、パーツを組み立てれば完了です。
組み立てで主に使用するもの
スポンジヤスリ
▲ ゴッドハンドの神ヤス! のようなスポンジヤスリを用意しましょう。400番から2000番くらいまであると良いです。特にGTMはクリアーレジンが使用されているので、そのようなパーツは1000番以降が大活躍します
瞬間接着剤
▲ レジンパーツはプラ用接着剤ではくっつきません。軸の固定、パーツの接着はゼリー状の瞬間接着剤があると便利。硬化促進スプレーも合わせて準備するとさらに組み立てが快適になります
真鍮線
▲ パーツどうしを繋ぐのに使用。今回は1mmの真鍮線を主に使用しました。余裕を持って多めに準備しておくと良いです
ピンバイス
▲ 主に軸打ちでピンバイスは大活躍。こちらはドリルをはめるタミヤ製のグリップ。ドリル刃をしっかりと固定できて、安定して穴開け作業ができます
ドリル刃
▲ 軸打ちだけでなく、小さな気泡の修正のためにあえて穴を広げたりすることがあるので、このようなさまざまな径の刃が入ったセットをひとつ持っておきましょう。オススメはこちらのタミヤ ベーシックドリル刃セット
離型剤落とし
▲ 離型剤の落とし方はさまざまな方法がありますので、次のページでご紹介します。今は造形村の「キャストクリン」のように、専用の離型剤落としもあるので、ぜひ活用してください
ガレージキット用サーフェイサー
▲ プラ用のサーフェイサーよりも強力で、レジンキットにしっかりと塗料が食いつくようになります。造形村のGKサーフェイサーは多くのモデラーが愛用するロングセラーアイテムなのでオススメです
透明サーフェイサー
▲ GTM製作で非常に役に立つのが、造形村のGKサーフェイサー・透明。半透明装甲の小さな傷を埋めつつ、クリアー塗料の食いつきを良くする下地を形成します
まずはすべてのパーツがしっかりと揃っているか確認します。ボークスのレジンキットはお買い上げから2週間以内であれば、パーツ不足や不良に対応してもらえます。購入したら、まずパーツを確認しましょう!
▲ 箱を開けて、内容物をきれいに並べて、わかりやすいようにします
▲ クリアーレジンのパーツは、黒い紙などの上に置いて確認すると見えやすいです
▲ 説明書、パーツリストはとっても大事。入ってなかったらすぐに連絡しましょう
パーツリストをお手本に、パーツを並べてみる!
▲ ここまで慎重にやればパーツチェクは完璧とも言えましょう! 同梱されているパーツリストを見ながら並べてみてください
▲ ベージュのパーツの中には、指などの細かいパーツがランナーに収まっています。こちらもしっかりと確認していきます
▲ チェックしたパーツは、リストにマークしていくとさらに確認の精度が上がります
パーツチェックが完了したら、パーツに付着している離型剤などを落とします。大きなバケツなどを用意して、パーツを洗浄していきますよ。これがしっかりとできていないと、塗料が弾かれてしまいます。3つのやり方をご紹介するので、お好きな方法で洗浄してください。またこれらの方法を組み合わせてもOKです。
洗剤でゴシゴシ洗う
▲ ご家庭にあるクレンザーや台所用洗剤を使用して、歯ブラシなどでパーツをゴシゴシ洗います。昔から続く定番の洗浄方法です。時間はかかりますが、より細部までじっくりと洗えます
造形村のキャストクリンを使用する
▲ 造形村のキャストクリンは、離型剤落とし専用スプレー。ある程度パーツをバケツに入れて、全パーツに行き渡るようにスプレーするだけで離型剤が落とせます。スプレーしたあとはしっかりと乾燥させましょう
ガイアノーツのレジンウォッシュ
▲ レジンパーツを入れたバケツに、レジンウォッシュを注ぎ10分ほど漬け込みます。そのあとパーツを取り出し、仕上げとして中性洗剤でパーツを洗うことで、パーツの細部までしっかりと洗浄できます。レジンウォッシュは数回繰り返し使用可能です
基本切り出しはプラキットと同様です。しかし、GTMのキットのパーツの多くは、すでにランナーからカットされた状態で入っています。それらのパーツにはゲートが残っているので、しっかりとカットしていきましょう。
▲ 説明書のイラストをしっかりとチェックし、切り出し済みのパーツにあるのは「ゲート」なのか「取り付け軸」なのかを判断します。かなり重要なチェックなので怠らないようにしてください
▲ ランナーのゲートも切り出し済みパーツに付いているゲートも、プラキットのようにゲートの2度切りできれいにカットしていきます。まずはゲートを残し気味にしてパーツをカット
▲ 次にゲートの根元にしっかりとニッパーの刃を入れて1mmほど余白を残してカット。これできれいにパーツを切り出せました
▲ 残ったゲートの余白は、デザインナイフでカットしましょう。これでパーツの切り出しはOKです
ボークスのGTMレジンキットは、各パーツが非常にシャープなので全体にヤスリがけをしなくても問題ありません。パーツ整形の中心はパーティングラインと小さな気泡の処理になります。
パーティングラインはしっかりとチェック
▲ パーツ中央にうっすらと盛り上がった線。これが型どうしが合わさった隙間にレジンが流れてできたパーティングラインです。これは600番くらいの紙ヤスリ、もしくはスポンジヤスリで削りましょう
気泡によってできた小さな穴!
▲ 小さな穴が見えますでしょうか。これはレジンの中の気泡によってできてしまったもの。ほんの数ヵ所ですが、これを処理しておくと、非常に見映えが良くなります
▲ 気泡によってできた穴を処理しやすくするように、デザインナイフやピンバイスで穴を広げます
▲ 余っているランナーを活用します。穴にはめられるようなサイズ・形状にランナーをカットします
▲ 広げた穴に瞬間接着剤を少量塗ります
▲ 穴の部分に、ランナーから切り出したレジンブロックをしっかりと接着します
▲ 完全に接着剤が硬化したら、余分をニッパーでカットします。仕上げにヤスリで磨いて表面を整えれば穴埋め完了です
クリアーレジンにも穴が……
▲ クリアーレジンの穴の修正。これはちょっとピンチ! そんな時に役立つ接着剤があります
▲ 「アロンアルファ 光」です。一緒に付属するライトを照射することで一瞬で硬化し、しかもクリアーパーツを白化させることもありません。これを穴に流してパテ代わりに使用します
▲ スポンジヤスリの1000番、2000番の順で磨いた状態。さっきまであった穴がありません! あっという間に簡単に処理できました
▲ クリアーパーツにもうっすらとパーティングラインがあるので、これも見落とさないようにしましょう。1000番〜2000番までヤスリをかければ、クリアーパーツの透明度も保持できます
パーツ整形が終わったら、パーツどうしを繋ぐための軸を真鍮線で打っていきます。
ガイドに沿って1mmの穴を開けます
▲ パーツの中には、真鍮線を刺す穴を開けやすくしてくれるガイドが設けられているものがあります。そこを1mmのドリルで穴を開けましょう
▲ クリアーレジンパーツは穴を深くしすぎると、真鍮線が目立ってしまうので、穴の深さは最小限にします
▲ 軸は扱いやすいパーツの方に取り付けます。少し長めにカットした真鍮線を穴に通し、瞬間接着剤で固定します
▲ 実際にパーツどうしを連結させてみます。この時にしっかりと仮組みして、真鍮線の長さをベストの長さに調整しましよう
ガイドの穴がないパーツもある!
▲ 瞬間接着剤で直付けしても問題ないと判断されているパーツには、ガイドが無いものもあります。でも真鍮線でより強固に固定したいという場合は次の方法を活用してみてください
▲ まずは軸の中央部あたりに穴を開けます。貫通しないように注意してください
練りゴムやひっつき虫を使う!
▲ 次に軸受部分に練りゴムや、貼って剥がせるソフト粘着剤の代表「ひっつき虫」を詰めます
▲ そのままパーツどうしをぎゅっと合わせてから、パーツを外しましょう。すると……
▲ ガイドができました! 軸に穴を開けた部分に粘着剤が入り込み、このようにガイドが出来上がるのです
▲ いきなりガイドに穴を開けるのではなく、ケガキ針やデザインナイフの先で小さな穴を開けます。穴を開けたら粘着剤を除去しましょう
▲ あとはドリルで開口して真鍮線を刺せばOK! これでより強固にパーツを固定できますし、仮組みもできます
▲ 真鍮線を通したら、しっかりと仮組みして各接続をチェックしてくださいね
GKサーフェイサーは、缶スプレーで吹いても良いのですが、中のサーフェイサーをビンに移して、エアブラシで吹くとよりGTMの繊細なモールドを殺すことなく、きれいな下地を塗ることが可能です。
▲ ストローを缶スプレーの口にしっかりと固定&マスキングテープでぐるぐる巻きにします。この状態でビンの中に吹きつけて、中のサーフェイサーを取り出します。ビンに移した直後は、缶スプレーのガスによってサーフェイサーがブクブクと泡立ちます。落ち着くまでじっくり待ってガスが抜けたら使用しましょう
▲ クリアーレジンには透明サーフェイサーを吹きます。ゲート処理やパーティングライン処理で使用したヤスリの細かな傷が埋まって、より透明度が高くなると同時に、クリアー塗料の食いつきもアップします。この上からクリアー塗料を塗ることで、さらに美しい輝きとなります
▲ ベージュのパーツには、グレーのサーフェイサーを吹きます。ディテールが入り組んでいるので、さまざまな方向からサーフェイサーを吹き付けていきましょう
HL-1 ハイレオン 組み立て完了!!
6つのステップで見事「HL-1 ハイレオン」が組み上がりました。パーツ洗浄や軸打ちなどプラキットではあまり出てこない要素がありますが、キットはそのような工程がやりやすいように構成されています。ボークスはずっとレジンキットの先頭を走ってきているメーカーなので、パーツ精度はピカイチです。ぜひこの記事を参考に、組み立ててみてください。
HSGK 1/72 HL-1 ハイレオン
●発売元/ボークス●59400円、2023年9月発売●1/72、約34.3cm
ⓒEDIT ,All rights reserved.