HOME記事キャラクターモデル変形合体と可動・プロポーションを両立した驚異の「SMP大連王」 部分的な塗装で楽しく製作!

変形合体と可動・プロポーションを両立した驚異の「SMP大連王」 部分的な塗装で楽しく製作!

2023.10.23

五星合体 大連王【バンダイ】 月刊ホビージャパン2023年11月号(9月25日発売)

五星合体 大連王 イメージカット

超絶キットを“楽しんで”作り上げる!

 バンダイキャンディ事業部のSMP [SHOKUGAN MODELING PROJECT]最新作「五星合体 大連王」。設定どおりの変形合体とアクションの両立や、力強く豪奢なデザインの再現など、歴代スーパー戦隊ロボでも屈指の人気キャラクターだけに非常に力の入った内容となっており、SMPの新たな進化を感じ取れるキットである。
 けんたろうによる作例では、この超絶キットを模型的に見映えよく、かつ現実的な作業量で完成させるため、作業内容を取捨選択しながら製作。キットの高いスペックを引き出している。ビッグアイテムの楽しみ方の一例としてぜひご参考いただきたい。

五星合体 大連王 正面
五星合体 大連王 背面
▲龍星王、星獅子、星天馬、星麒麟、星鳳凰が五星合体して完成する巨大武神。動かす際の気力の消耗が大きい反面、そのパワーもすさまじく、初合体時には強敵・ノコギリ大僧正をまったく寄せ付けずに撃破した。作例は成型色活かしでの製作とし、塗装とシールの合わせ技でキットの良好な造形がより映えるように完成させている
上半身アップ
▲キットの胸部はシールのうまい使い所で、「SHODO SUPER 五星戦隊ダイレンジャー」を使ったシールにより、胸部に搭乗している5人の姿を再現している
素組みとの比較 肩、胴体
▲それぞれ素組み(左)と作例(右)。作例は金銀部分および意匠として特徴的な緑の装飾を塗装、合わせ目消しとスミ入れで見映えをアップさせている。時間対効果を考えて作業を選択し、作例の製作時間はおおむね40時間弱といったところ
気伝獣形態
▲気伝獣形態。龍星王はこの形態の可動にも配慮されており、オープニング映像のような動きを再現できる。また5体とも口部が可動
龍星王の気伝武人形態
▲龍星王の気伝武人形態。手は差し替えで握り手と平手を再現、飛龍棍も付属する。また変形を再現すると固定になってしまうはずの腰を捻ることが可能である。どのような構造なのかは製品で確かめてみてほしい
変形途中
ベースパーツを用いて天空気殿を再現
▲ベースパーツを用いて天空気殿を再現。また大連王への合体バンク冒頭シーンも再現できるよう、星獅子に専用の構造が設けられている
パーツにスミ入れ
▲スミ入れでディテールを引き立てている。特に赤いパーツは重厚感が増して非常に効果的。ABSかつ組んだ状態で行っているので、破損リスクの低い油彩系を選択し、関節に流れないように細筆で慎重に流していく
平筆で塗る
▲黒い成型色にはマルチグレーで、明るい色にはグランドブラウンを使用。使用時にはお互い少しずつ混ぜて色味を近づけている。広い面積は平筆で塗りキムワイプで拭った
つまようじでシールをフィットさせる
シールの金銀を貼った状態

▲シールは折れ線などを位置合わせとして貼って、そこからつまようじで破らないように少しずつフィットさせていく。ていねいに貼れば塗装に負けない完成度に。シールの金銀の輝きも素晴らしいので、トップコート後に貼ったほうがフィット感や色のよさを活かしやすい

合わせ目を瞬間接着剤で整形
ヤスリがけ

▲合わせ目は瞬間接着剤で整形。1000番ぐらいまでヤスリがけをし、半ツヤコートで仕上げる

黒を下地に
スーパーリッチゴールド2→ウルトラゴールドでオーバーコート

▲星獅子は緑の塗装部分の色合いがよく、活かしたかったのでマスキング。金はスーパーリッチゴールド2→ウルトラゴールドでオーバーコート。キットの塗装済み金も参考にしている

最初に金を塗る
黒や緑を塗って剥がす

▲金や緑の装飾は最初に金を塗り、その上から黒や緑を塗って剥がすという方法で再現。金の上にエナメル塗料の黒やクリアーグリーンをエアブラシで吹き付ける。薄く何回か吹き重ねて、一度すべて塗り潰す

乾燥後にエナメル溶剤で表面をぬぐい金を復活
ぬぐった後

▲乾燥後にエナメル溶剤で表面をぬぐい金を復活。先が尖った三角綿棒などコントロールしやすい道具を使おう。緑にクリアーグリーンを使ったのは下地の金でキャンディ塗装の効果も狙っているため

ポージング画像1
ポージング画像2
ポージング画像3
▲発光状態の大王剣とフェイスが付属し、大王剣・疾風怒濤を再現。手首のスナップ関節や鞘を掴む手を組み合わせることで、劇中のさまざまなアクションに対応する

 2023年8月に発売されたSMP大連王。いままでのシリーズの中でも特に攻めたアイテムで、変形合体を実現しながら各形態の可動とプロポーションも最大再現するという本当にすごい内容となっています。アクションは特にこだわっていて、とんでもなくよく動く。特徴的なのは龍星王の腰(股関節?)でしょうか。組む時は「どうなるんだこれ?」と思うんですが完成すると「なるほど!」となります。また塗装済み箇所も配置が絶妙で「ここにほしい!」ところが塗ってある感じ。各気伝獣の目が塗装されているのも嬉しいですね。シールもパーツにピッタリくるし、色ツヤもいいときています。
 模型を作る、というとイコール表面処理と塗装を完璧にして仕上げる、と思ってしまいがちですが、ここまでキット側がおもてなしをしてくれているうえ、大連王のデザインを本気で塗装しようとするとあまりにも不毛です。作例でそれをやっても誰も真似できそうにないですよね…。そこで全部は塗らないけどしっかり手を入れ、満足度が高くそして遊べる仕様を目指して仕立てていきます。キットの根幹は変えないのでガシガシ遊んでも強度がある、こってり塗らないから剥がれる心配も低い(レタッチなどのフォローもしやすい)、そして塗装済みパーツやシールにも頼っていく。今回の作例はこの方針で作っております。
 製作は整形・合わせ目消し→スミ入れ→半ツヤでトップコート→シールおよび部分塗装、という手順で製作しています。スミ入れはABSなのでリスクの少ない油彩系のMr.ウェザリングカラーを使って割れ対策としています。またプレミアムトップコート半光沢を全体に吹いて、表面処理で荒れた表面を落ち着かせたり、黒成型色に1枚フィルターをかけて見た目に変化を出していきます。シールはディテールを補完する部分もあり、特に星天馬と星麒麟には効果が高いところです。シールの鮮やかな発色をつぶさないように、貼り付けはトップコートの後にしています。さらに金や銀はなるべく塗りたいので、後から塗る箇所は半ツヤコート時にマスキングします。ここはちょっと苦しい作業ですが、こだわりポイントとして自分の作風を追加するのによい部分です。結果的に金銀を塗ると決めたことで、龍星王の龍頭の合わせ目を消すこともできました。
 特集記事と並行しながら1週間は数時間ずつ、最後の3日は追い込みで丸1日作業して、10日間で完成しました。作業を絞っても楽とは言えないぐらいには手間がかかっていますが、このぐらいであれば現実的に完成させられるのではないかと思います。
 この大連王は素組みでバシバシ組んでも美味しいし、今回のように効果の高い作業を選んで味わってもよし、もちろんガチ製作に挑んでもよし(とんでもないものが完成すると思います)と、ひつまぶしのように人それぞれの味わい方ができるキットです。忙しい皆さまもSMP大連王を組み立てて、合体や可動を堪能して、ラムネをおいしくかじろうではありませんか。

バンダイ ノンスケール プラスチックキット “SMP SHOKUGAN MODELING PROJECT”

五星合体 大連王

製作・文/けんたろう

SMP 五星合体 大連王
●販売元/バンダイキャンディ事業部●2640円、発売中●全3種●約16cm(大連王時)●ラムネ1個付属

©東映

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けんたろう

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