世界一「水性ホビーカラー筆塗り」でガンプラを楽しんでいるセイラマスオの筆塗りを見てみよう!
匂いが少なくて、水や専用溶剤だけで塗装準備ができる「水性ホビーカラー」は筆塗りとの相性抜群! プラモの箱に載っている完成見本のような均一な仕上がりを目指すなら、エアブラシ塗装のほうが100倍楽です。しかし! 筆塗りには筆塗りにしかない楽しさと快適さがあるのです。それを毎回月刊ホビージャパンで体現してくれているのが「セイラマスオ」。彼の配色センス、筆塗りらしい独特のムラや質感、そして何よりも完成品から「この人はガンプラを本当に楽しんでる」といつも感じさせてくれます。
彼は水性ホビーカラーをメインで使用。塗装している場所も“自宅の居間”というリビングペインターでもあります。塗装するスペースに迷っている人も、ぜひセイラマスオの製作工程を見て参考にしてください。さぁ、筆を取り、あなただけのガンプラを塗ってみようじゃないですか!
塗る人/セイラマスオ
月刊ホビージャパンを代表する「水性塗料筆塗りガンプラ番長」。彼にしか出せないセンス抜群なカラースキームと、絶妙なプロポーション改修、そして何よりも「作っているガンプラが楽しそう」に見えるので、多くのファンを獲得しています。

使用キットはこちら!
HG 1/144 デスティニーガンダム
▲2019年にリニューアルして、現在のHGブランドにラインナップされたデスティニーガンダム。プロポーション、可動、豊富なギミックと作るのも遊ぶのも楽しい傑作キット。映画公開前にゲットして、気分を盛り上げるのにも最適なガンプラです
▲筆塗りでここまでオリジナルカラーにできるんです! ディテールやプロポーションもお好みの仕様としています
ガンプラとの相性も抜群だよ
▲水性ホビーカラーのラインナップは、キャラクターモデルに適したものになっています。特にガンプラとの相性は抜群。通常ラインナップとともに、水性ガンダムカラーも併用すればさらに塗装の可能性が広がります
塗装前の下準備。キットをお好みの形状とディテールに改修
セイラマスオと言えば、筆塗りの他に「マスオディテール」と呼ばれているスジ彫りなどの追加や、ポイントを押さえたプロポーション改修も特徴。今回の作例もいつものように、塗装前にそれらの工程を行っています。
セイラマスオはどんなことをしているの?
▲腰が詰まっている印象なので、胴体を延長します。下腹部のパーツをノコギリでカット
▲キットの赤のランナーの良さげな部分を2本カットして、カットした下腹部の間に接着! 接着剤が乾いたらヤスリできれいに整形
▲足首周りが細い印象だったので、白のランナータグをカットして、好みの形状にしたものを貼っていきます
▲つま先には赤のランナータグから自作したディテールパーツを貼り付け
▲エリ部分が胴体から突出しているように見えたので、その雰囲気を緩和するのに、グレーのランナータグから切り出した四角いプラ板を貼っています
▲こちらはディテール追加やプロポーション改修をする前の状態
▲スジ彫りや、キットのランナータグを活用したディテール追加、プロポーション改修が終わった状態。ほぼ箱の中にあるものだけで、これをやってのけてしまうのも、セイラマスオのすごいところ
セイラマスオの筆塗り準備
▲使用しているのは100円ショップのナイロン丸筆と平筆。塗る面積によって使い分けています
▲最近ではネイル用などでこういった細い使い捨ての筆もあります。細部の塗装やスミ入れなどに便利です
▲使用している筆の毛先を見ると……なかなかにコンディションが悪い! でもこれでも塗れているというのは彼の経験によるところが大きいです
▲実はセイラマスオはこれまで「旧版」の水性ホビーカラーを使用していました。今回の作例で、完全リニューアル後の水性ホビーカラーを初めて使用!
▲旧版も現役。今回の作例でも使用しています
▲希釈は基本「水」。塗料は梅皿に出して使っています
弘法は筆を選ばず!? 良い筆は成功体験の近道
100円ショップの筆は、手軽ですがやはり性能にばらつきがあります。セイラマスオのように、もはや体の一部という感じになっている人は稀。これから筆塗りを始めようという人は、ぜひ模型用に開発された専用の筆を購入してくださいね。
筆塗り、スタート!!
早速筆塗りに入っていきましょう。セイラマスオはまず全体を「粗塗り」して色のイメージや塗り分けを決めていきます。マスキングなどもほぼしません。このようにペタペタと塗りながら、臨機応変に自分のイメージを模型に投影していくのは、まさに筆塗りならではのリズム感といえますね。
使用した主なカラー
ダークグレー/ダークシーグレー+少量のブルー
赤/レッド+ホワイト+少量のニュートラルグレー
青/ブルー+ホワイト+パープル
翼のグレー/ガルグレー
▲調色した塗料は、使い終わって余った塗料瓶に入れています
とにかく手を動かしてみる!
▲まずは調色した塗料をパーツに軽く塗ってみます。これで問題なければ、組んだ状態で粗塗りに入ります
▲こんなふうに、全体を組んだまま各色を塗っていきます。粗塗りなので境目まで塗らずに、「この部分にはこの色を塗る」というイメージ固めができる程度にしておきます
▲各部に色を置いてみました。考えて手が止まるよりも、このように粗塗りでよいので、塗ってみたい色を気軽に塗ってチェックできるのも筆塗りの良いところです
慌てないで塗っていきましょう!
▲広い面積や、下地のプラが強い色の時は、厚塗りにならないように、数回に分けて塗っていきます。パーツの縁やディテールに塗料が溜まりやすいので気を付けましょう
▲少量の水を加えながら、塗料の伸びを良くして塗っていきます。濃い塗料を一気にベタッと塗ると、見た目が良くなりません
ガルグレーの翼にチェンジ!
▲乾いたら塗り重ねることをしっかりと守っていけば、広い面積&下地の色が強いパーツでもきれいに塗装できます。慌てないのが本当に大事です
▲粗塗りが終わって本塗りへ。バラして塗ったほうが塗りやすいパーツは、いったんパーツを外して塗装します
▲本塗りで気を付けているのは、ディテールのキワ部分。はみ出すと目立ちます。はみ出したら、いったん乾燥させて、隣色で塗り潰せば簡単にリタッチできますよ
▲本塗り完了!! 他のパーツも同じような方法で、どんどん塗っていきます
筆塗りを引き締める「スミ入れ」をする!!
スジ彫りやディテールに「スミ入れ」をすることで、塗り分けがよりパキッとして見た目が良くなります。スミ入れには水彩絵の具とポスターカラーを水で溶いたものを使用しています。スミ入れ用の塗料を持っている場合は、そちらを使ってももちろんOK。
各色塗り終わり! テンションが上がります
▲基本塗装が終わった瞬間。自分がイメージしたカラーリングに仕上がった時って本当に嬉しいですよね
スミ入れセット!
▲セイラマスオが使っているスミ入れセット。水彩絵の具とポスターカラー、細めの筆、水を準備
少量の中性洗剤を加えます
▲適当な容器のフタなどに、食器洗い用などの中性洗剤を少量出しておきます。水で溶いただけでは、弾いたりプラへのノリが悪い時があるので、これをちょっとだけ加えます。そうすると多少塗料のノリが良くなります
塗料はたくさん作りすぎない!
▲スミ入れの塗料もいっぺんに多く作らないで、使用する分を適宜作るくらいにしています
▲エナメル塗料のようにす〜っとは流れないので、流すというよりも書き込む感じでスミ入れをしていきます
▲スミ入れをすることによって塗り分けがよりパキッとするので、見た目が大きく変化します。スミ入れは塗装のヨレも隠してくれたりします
スミ入れの拭き取りは筆で
▲スミ入れの拭き取りは、綿棒などは使わずに、主に水を含ませた筆で行っています。リビングで塗装しているので、少しでもゴミが出ないようにしています
▲スミ入れ前。ディテールに自然と影が落ちて、この状態でも充分かっこ良く見えます
▲スミ入れをするとディテールがより際立ち、さらにディテールごとの塗り分け部分がパキッとして、塗装もきれいに見えます
BANDAI SPIRITS 1/144スケール プラスチックキット“ハイグレード”
ZGMF-X42S デスティニーガンダム
製作・文/セイラマスオ
HG デスティニーガンダム
●発売元/BANDAI SPIRITS ホビーディビジョン クリエイション部●2420円、発売中●1/144、約13cm●プラキット
前半はここまで!
後半では、使用したデカールや完成したデスティニーガンダムの全貌をご紹介。お楽しみに!
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