グロス仕上げからのウェザリングで兵器然とした「A・トール BS」を製作【『ファイブスター物語』電気騎士伝説、再び】
2023.09.17グロス装甲にウェザリングを施し兵器然とした仕上がりに
ハスハ・ミノグシア連合AP騎士団の主力MH、A・トール。星団3大MHの一騎と称される名騎で、このBSをはじめ、さまざまなタイプのA・トールが戦場を賑わせている。キットは1/100レジンキット版を経て1/144にダウンサイズされてプラキット化されたもの。既存の1/100シリーズでの経験と技術が活かされ、ほどよいパーツ数にまとめられ組みやすく、それでいてディテールは1/100にも劣らない完成度を誇る。この名作を、1/100「L.E.D.ミラージュV3 =デルタ・ベルン 3007=」に続いてNAOKIが製作。申し分ないキットの素性はそのままにグロス仕上げからのウェザリングで戦場で活躍した様を演出している。
L.E.D.などのミラージュシリーズやマイティシリーズ、破烈の人形などは初見でもわかりやすいヒロイックなカッコ良さがありますが、A・トールやアシュラ・テンプルなどの見れば見るほど、構造を知れば知るほど理解できるカッコ良さもたまらないです。作ることで対象物への理解が深まるのも模型の醍醐味のひとつですね! この有機的な三次曲面をプラキットで堪能できる幸せ!! ある意味L.E.D.より楽しく製作させていただきました。IMS1/144シリーズは、先発のIMS1/100で得られたノウハウを基により組みやすくなっており、小サイズならではのとても小気味良い密度感は本当に眼福です。こちらも無加工で組んで塗装にこだわってみたのですが、きれいな仕上げを目指したL.E.D.とは打って変わってウェザリングを施しました。MHはきれいに仕上げてナンボみたいなお作法といいますか、不文律みたいなものがなんとなくありましたが、物語冒頭のL.E.D.に始まり、魔導大戦での土煙の中を駆ける活躍シーンなど、劇中での印象が強く、それら兵器としての描かれ方をみていると、戦車模型などと同じくやっぱり汚したくなるんですよね。あと「ツヤツヤの表面が場所によって汚れてツヤ消しになってできるツヤのコントラスト」が大好きなんです(笑)。
そんな時、以前永野氏がどこかで「GTMは汚れない」と発言されていたのを見て、勝手に逆説的に「(騎体によるけど)MHはガシガシ汚してOK!」という免罪符をいただいたような気になりまして(笑)、それ以来心置きなく汚せるようになりました。とはいえ大国の騎士団であれば出撃のたびに徹底的にメンテナンスが行われるでしょうから、錆などの経年による汚れ、劣化はあまりないはず。土煙(SMOKE WALL)や戦闘による装甲へのダメージ、駆動系の摩擦による汚れなど、一度の戦闘によってできるダメージをイメージしながらウェザリングを施しました。
フレームはNAZCAカラーのブルーフォグホワイト、本体色はNAZCAカラーのブラストカーキにコバルトブルー、黄色部分は発色を抑えるため下地を作らずにキアライエローで塗り重ね。メタリック部分はガイアノーツのフレームメタリック1にクリアーブルーで基本塗装を終えたあと、チッピンクスポンジを使ってタミヤエナメル ジャーマングレイでチッピング。migのピグメントのガンメタルを綿棒などで駆動系や装甲のエッジを中心に擦り付け、擦れてツヤの出た金属感を再現しています。仕上げに土埃汚れを再現するためGSIクレオスのMr.ウェザリングカラー グレイッシュブラウンで足元を中心にフィルタリングを施し、migのピグメントのサンドやダークアースで埃っぽさを追加しています。
MHの造形を堪能するためのきれいな仕上げも楽しいですが、劇中内の兵器然とした仕上げはやっぱり楽しいです!!
ボークス 1/144スケール プラスチックキット “INJECTION ASSEMBLY MORTAR HEADD SERIES”
A・トール BS
製作・文/NAOKI
IMS 1/144 A・トール BS
●発売元/ボークス●7480円、発売中●1/144、約19cm●プラキット●原型/大石凡(造形村F.S.S.プロジェクトチーム)
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