HOME記事キャラクターモデルグロス仕上げからのウェザリングで兵器然とした「A・トール BS」を製作【『ファイブスター物語』電気騎士伝説、再び】

グロス仕上げからのウェザリングで兵器然とした「A・トール BS」を製作【『ファイブスター物語』電気騎士伝説、再び】

2023.09.17

A・トール BS 【ボークス 1/144】 月刊ホビージャパン2023年10月号(8月24日発売)

グロス仕上げからのウェザリングで兵器然とした「A・トール BS」を製作【『ファイブスター物語』電気騎士伝説、再び】
トールのメイン画像

グロス装甲にウェザリングを施し兵器然とした仕上がりに

 ハスハ・ミノグシア連合AP騎士団の主力MH、A・トール。星団3大MHの一騎と称される名騎で、このBSをはじめ、さまざまなタイプのA・トールが戦場を賑わせている。キットは1/100レジンキット版を経て1/144にダウンサイズされてプラキット化されたもの。既存の1/100シリーズでの経験と技術が活かされ、ほどよいパーツ数にまとめられ組みやすく、それでいてディテールは1/100にも劣らない完成度を誇る。この名作を、1/100「L.E.D.ミラージュV3 =デルタ・ベルン 3007=」に続いてNAOKIが製作。申し分ないキットの素性はそのままにグロス仕上げからのウェザリングで戦場で活躍した様を演出している。


トールの正面全体画像
▲ キットは数あるA・トールバリエーションの中から「魔導大戦版」で立体化。本騎最大の特徴ともいえる両肩のラウンドバインダシステムは展開・収納・伸縮ギミックを一部選択式で実現(今回の作例ではオミット)。IMSシリーズでは初のつま先の可動ギミックを盛り込むなど、1/100で培われた技術を存分に盛り込んだ内容となっている
トールの背面全体画像
トールの右サイドからの画像
トールのバストアップ画像
▲ 小スケールを感じさせない頭部および上半身のディテール。写真では確認できないが、バイザー奥には「両眼」も造形されている
両肩にあるラウンドバインダシステムの画像
▲両肩のラウンドバインダシステムは作例では収納状態で固定。丁寧に塗り分け、ウェザリングを施して仕上げた
左腕のベイルの画像
▲ 左腕のベイルも丁寧に塗り分け。黄色はあえて下地を作らずに、緑の上からそのままキアライエローを塗り発色を抑えている
武装と固定したハンドパーツの画像
▲ 武装は保持力を高めるためハンドを接着・固定した
L.E.Dミラージュとトールのツーショット画像
▲ 1/144 L.E.D.ミラージュV3 軽装仕様(製作/nishi)とのツーショット。星団3大MHのうち、これでA・トール BS、the BANGの2騎が1/144 IMSシリーズでリリース。残りはサイレンだが果たして…
1/144 L.E.D.ミラージュV3 軽装仕様(製作/nishi)の記事はこちら
トールのアクションポーズ画像
▲ IMS初のつま先可動ギミックを搭載。これによりさらに接地性が向上し、大きく脚を広げてどっしりと構えるポージングが可能となった

 L.E.D.などのミラージュシリーズやマイティシリーズ、破烈の人形などは初見でもわかりやすいヒロイックなカッコ良さがありますが、A・トールやアシュラ・テンプルなどの見れば見るほど、構造を知れば知るほど理解できるカッコ良さもたまらないです。作ることで対象物への理解が深まるのも模型の醍醐味のひとつですね! この有機的な三次曲面をプラキットで堪能できる幸せ!! ある意味L.E.D.より楽しく製作させていただきました。IMS1/144シリーズは、先発のIMS1/100で得られたノウハウを基により組みやすくなっており、小サイズならではのとても小気味良い密度感は本当に眼福です。こちらも無加工で組んで塗装にこだわってみたのですが、きれいな仕上げを目指したL.E.D.とは打って変わってウェザリングを施しました。MHはきれいに仕上げてナンボみたいなお作法といいますか、不文律みたいなものがなんとなくありましたが、物語冒頭のL.E.D.に始まり、魔導大戦での土煙の中を駆ける活躍シーンなど、劇中での印象が強く、それら兵器としての描かれ方をみていると、戦車模型などと同じくやっぱり汚したくなるんですよね。あと「ツヤツヤの表面が場所によって汚れてツヤ消しになってできるツヤのコントラスト」が大好きなんです(笑)。
 そんな時、以前永野氏がどこかで「GTMは汚れない」と発言されていたのを見て、勝手に逆説的に「(騎体によるけど)MHはガシガシ汚してOK!」という免罪符をいただいたような気になりまして(笑)、それ以来心置きなく汚せるようになりました。とはいえ大国の騎士団であれば出撃のたびに徹底的にメンテナンスが行われるでしょうから、錆などの経年による汚れ、劣化はあまりないはず。土煙(SMOKE WALL)や戦闘による装甲へのダメージ、駆動系の摩擦による汚れなど、一度の戦闘によってできるダメージをイメージしながらウェザリングを施しました。
 フレームはNAZCAカラーのブルーフォグホワイト、本体色はNAZCAカラーのブラストカーキにコバルトブルー、黄色部分は発色を抑えるため下地を作らずにキアライエローで塗り重ね。メタリック部分はガイアノーツのフレームメタリック1にクリアーブルーで基本塗装を終えたあと、チッピンクスポンジを使ってタミヤエナメル ジャーマングレイでチッピング。migのピグメントのガンメタルを綿棒などで駆動系や装甲のエッジを中心に擦り付け、擦れてツヤの出た金属感を再現しています。仕上げに土埃汚れを再現するためGSIクレオスのMr.ウェザリングカラー グレイッシュブラウンで足元を中心にフィルタリングを施し、migのピグメントのサンドやダークアースで埃っぽさを追加しています。
 MHの造形を堪能するためのきれいな仕上げも楽しいですが、劇中内の兵器然とした仕上げはやっぱり楽しいです!!

トールの正面全体画像

ボークス 1/144スケール プラスチックキット “INJECTION ASSEMBLY MORTAR HEADD SERIES”

A・トール BS

製作・文/NAOKI

IMS 1/144 A・トール BS
●発売元/ボークス●7480円、発売中●1/144、約19cm●プラキット●原型/大石凡(造形村F.S.S.プロジェクトチーム)

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