エアリアルのガンビットの軌跡を金属線で表現 山田卓司初の『水星の魔女』作例!
2023.08.11スコア6の領域【BANDAI SPIRITS 1/100】
スコア6の領域
ガンビットの軌跡を模型で表現する
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』のバトルパートで共通して印象に残るのが、縦横無尽に動くガンビットとその動きを視覚的に伝えてくれるエフェクトであろう。これをなんとか立体物として表現できないか? というお題のもとに製作したのが本作例だ。製作は模型表現の引き出しが豊富な山田卓司。不規則に曲げた金属線の組み合わせで作中の雰囲気を表現している。実は『水星の魔女』初挑戦となったその作例をご覧いただこう。
念願の『機動戦士ガンダム 水星の魔女』初作例! 今回のお題は「ガンビットの軌跡の表現」です。
表現方法として思い付いたのは、金属線をハンダ付けして作る方法。これなら強度も保持力もあり、造形的に面白いものになりそう、ということで採用しました。素材は強度と工作のしやすさから0.5mm径のステンレス線を使用。補助的に0.3mm径も併用しています。軌跡模様に合わせてプライヤーで曲げていきますが、二次元的に同じ方向に曲げるのが厄介で、時々パーツを確認して歪みを修正していきました。ガンビットとの対比から類推して寸法を8mm幅とし、木工材料で簡単な治具を作ってハンダ付けして帯状にしていきました。
他の方法では薄い透明板などに軌跡の模様を描き込み表現するというのも簡単で効果は高いのですが、板面が反射して光るのと保持が難しい点が気になり今回は見送っています。まったく違うやり方での再現を模索しても面白いかもしれませんね。
ガンダム・エアリアルはFULL MECHANICSを使用。第9話のパーメットスコア6発動後のシーンをモチーフとしました。ここでは機体各部が破損していますので、映像を観察して破損部分を再現していきます。特に右肩は外装パーツが外れてインナーパーツが剥き出しになっていますから、キットパーツをゲージにしてプラ板で自作しています。破断部分は超音波カッターで切り込み、小さなビットを付けたモーターツールで断面を彫刻しています。キットそのものには大きく手を加えていませんが、アンテナは裏側から削り込み、薄くシャープにしています。また細かいディテールはコトブキヤのディテールパーツやプラ材から作ったパーツを使いました。
塗装はすべてラッカー塗料。頭部のカメラ部分、ツインアイはガンダムマーカーのメッキシルバーを下塗りした後にガイアノーツの蛍光グリーンを重ね塗りしています。ここは仕上げにUV硬化のクリアーを盛り付け、エアリアルらしい丸みのある表現にしました。各部のセンサーらしいディテールはハセガワの偏光シートを貼り込んています。シェルユニットは表面のクリアーレッド塗装を溶剤で落とし、蛍光ブルーで再塗装。アクリルガッシュのブラックで凹部分を塗り潰し、中性洗剤を付けた綿棒で拭いて表面のブルー部分を露出させました。
ボックスアートも参考に機体表面はパール塗装。
背景は劇中場面を資料にビルの外壁ディテールを作り込んでいます。基礎部分は木製の集成材で作り、ディテールを工作したプラ材を貼り込んで作りました。配管はプラパイプを工作。外周部は木製の立方体を接着してホログラム映像がバグったようなムードにしています。
BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット “フルメカニクス”ガンダムエアリアル 使用
スコア6の領域
製作・文/山田卓司
Ⓒ創通・サンライズ・MBS
山田卓司(ヤマダタクジ)
AFVからキャラクターものまで、ジャンルを問わず活躍するご存じ「情景王」。