怪獣の原体験「ゴジラ」のガレージキットを作るに至るまで【コモリプロジェクト】
2023.07.19 コモリプロジェクトHP
Youichi Komori Official Web(y-komori.net)
皆さん、こんにちは。コモリプロジェクト代表の小森です。今回はウルトラから離れて、怪獣の原体験たるゴジラのことを語っていきたいと思います。よろしくお付き合いのほどを。
もともとガレージキットに関してはウルトラものにこだわろうと決めていました。理由はいくつもあります。第一に「お金」ですね。あれもこれもと手を広げていたら、到底お財布が持ちません。「出会い」もそうです。ガレージキットは希少性が高いものですから、買い逃すと一生出会えないなんてことも。そのために高出力のアンテナを常時張り巡らせておく必要があります。これはとても疲れるんですよ。「置き場」の問題なんかもそうです。ただでさえスペースが無いうえにさらなる広大な世界を迎え入れようとなると、こりゃもう家族会議は必至です。「廊下に並べるな!」「玄関はダメよ!」「床に置くと掃除がし難いでしょう!」相談する前から怒鳴り声が聞こえてきます……。それにね、やっぱり僕はウルトラ怪獣が好きなんですよ。ゴジラに向かわなかったのはおそらくこれが一番大きな理由です。
でも、その堤防がついに崩れる日がやってきました。ふとした拍子に30cmサイズのモスゴジを手に入れたんです。作り始めるとこれまで味わったことのない感覚に襲われました。
(あぁ、今、僕、ゴジラ作ってる……)
なんでしょう、この得も言われぬ気持ちは……。これまで200を越えるガレージキットを作ってきましたが、こんなに心が震える体験をしたことはありません。作ってみてはっきり分かりました。やっぱりゴジラはいい。特別なんです。怪獣王なんです。スクリーンで観た東宝のマーク、怪獣の咆哮、「ゴジラ」という三文字。僕の心の奥底に刻まれた細胞レベルの記憶をはっきりと揺り動かされました。
そこから先はもう怒涛です。ラドン、キングギドラ、メカゴジラ、もはや手当たり次第の様相を呈しています。決壊した堤防を塞ぐどころか、自分で穴を広げているんだからそりゃそうなります。このまま仕事場はキットに埋もれて兵馬俑と化すか、それともどこかに展示場を見つけて家庭崩壊を防げるか、ゴジラと自衛隊の攻防よろしく、僕もギリギリの戦いを続けております。
文/小森陽一
撮影・構成/土井眞一
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小森陽一(コモリヨウイチ)
●1967年生まれ。大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業後、東映に入社。その後、コラムや小説、漫画原作や映画の原作脚本を手がける。大阪芸術大学映像学科客員教授。『海猿』『トッキュー!!』『S-最後の警官-』『BORDER66』『ジャイガンティス』など著作多数。