HOME記事ガンダムプラモデルをディテールアップしたり、プロポーションを変更する理由って?その疑問にホビージャパン編集長がお答えします!【模型質問箱】

プラモデルをディテールアップしたり、プロポーションを変更する理由って?その疑問にホビージャパン編集長がお答えします!【模型質問箱】

2023.07.02

模型質問箱2023 工作編 月刊ホビージャパン2023年8月号(6月23日発売)

みんなの気になる“模型の質問”に答えます!

 読者の皆様からのアンケートはがきやHJ Web、SNS等にお寄せ頂いたご意見やご質問を参考に「気になる模型の質問」のプロモデラー・けんたろう、フミテシ、そしてホビージャパンモデラー陣やメーカー各社様がお答えていきます!

23年8月号の表紙画像

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Q.ガンプラのディテールアップ? プロの視点を教えて!

A.実在する兵器や“もし実在したら?”を考えよう。

 『ガンダム』作品に登場するモビルスーツやメカニックは、いわゆる実際には存在しない架空の兵器です。もちろん、架空だからこそ好きにディテールアップしても間違いではないといえば間違いはないのでしょう。ただ、私たち人間が“これはリアルだ!”と感じるのは、やはり実在する兵器や重機などのメカニックと照らせ合わせているからにほかなりません。ならば、まずは世の中に実在する兵器やメカニックを参考にするのがもっともリアルに見せる近道です。
 モビルスーツは人型兵器ですが、メンテナンスなどの運用を考えれば現用戦闘機などが参考になるかと思います。

ゼータガンダム
MG ゼータガンダム(製作/木村直貴、HJメカニクスアーカイブ 機動戦士Zガンダム編掲載)

ゼータガンダムの画像
▲ MG初代ゼータガンダムをモチーフに戦闘機(航空機)的ディテールを追加した作品

ギラ・ドーガ
MG ギラ・ドーガ(製作/山田卓司、2020年10月号掲載)

ギラ・ドーガの画像
▲ 第二世界大戦時のドイツ戦車を参考に、MGギラ・ドーガにツィメリットコーティングなどの鋳造表現を施しています

 戦闘機や飛行機は人がメンテナンスするためのハッチや組み立てのためのボルトなどがあり、特に戦闘機はF-14 トムキャットで全長19mとガンダムとほぼ同じ大きさです。こういた戦闘機の実画像は実機写真集やネットですぐに見つけられるので、参考にするにはたやすいでしょう。米軍基地の基地祭などの一般開放日に実機の写真を撮りにいくのもよいかと思います。

トムキャット
グラマン F-14A トムキャット(後期型)(製作/大森記詩、2022年9月号掲載)

トムキャットの画像
▲ 写真はタミヤ1/48キットを使った作例ですが、実機を徹底再現している模型なので、ディテールは非常に参考になります

 また、昨今ではお台場のガンダム実物大立像が、模型ファンにも多くの衝撃を与えました。その予想を超える大きさもさることながら、メンテナンスハッチや整備士用のマーキング(注意書き)など、頭では理解しているはずだったものが、実際に目の前にある光景は、模型作りにおおいに役立ちました。まさに“ガンダム(モビルスーツ)が実在したら”というifを目のあたりにしたのです。人間がメンテナンスする際のパネルの大きさ、パネルラインの太さ、ボルトの大きさ、マーキングの文字の大きさなど、頭では理解していたつもりでも、やはり実物大の説得力は何物にも代えがたい“模型の教科書”となったのです。

ガンダム実物大立像

ガンダム実物大立像の画像
▲ 2009年夏にお台場「潮風公園」に初めて登場し、その後静岡、2012年からダイバーシティ東京プラザ(現在ユニコーンガンダム実物大立像がある場所)に移設展示されたRX-78-2 ガンダム実物大立像。そのインパクトは一般客はもちろん、ディテー ルアップや塗装の参考にと多くのガンプラファンも撮影に訪れました(2017年3月5日にて展示終了)

 とにかく架空の兵器のディテールアップは“実在する兵器や重機をたくさん見ること、理解すること”から始めるのが、ステップアップの近道ではないでしょうか?
(ホビージャパン編集部 木村 学)


Q.ガンプラのプロポーションを変える!? なんで!? プロの視点を教えて!

A.自分が持つ機体のイメージを具現化したいからです。

 昔のガンプラは金型やさまざまな事情で似せきれなかったり、ファンの持つイメージと少し違っていたり、なんてことも多くありました。それらを解消し自分の持つ機体のイメージに近づけるよう、モデラーたちはこぞってプロポーション改造に取り組みました。設定画や劇中カットはあくまで二次元の絵で、ガンプラは3次元の立体物。その差により見る角度によってイメージが違ってくるのは当たり前ですが、やはり自分が持つその機体のイメージにより近づける努力をするのも、ガンプラつくりの醍醐味のひとつだったのです。

ガンダム試作2号機の作例記事の画像
▲ 一昔前、1991年8月号菅義弘氏製作の1/144 ガンダム試作2号機の作例記事。劇中イメージを徹底再現するために切った貼ったの大改造。元キットの面影はすでに存在しない…。こういった壮絶な改造時代もありました

 今のガンプラは技術も大きく発展・進化し、劇中のイメージや設定画に非常に近いものがほとんどです。プロポーションを大きく変更する、という選択肢も雑誌作例ではほとんど見かけなくなりました。ただ、それでも細かく見ていけば、ある一定方向から見た絵と少し違って見えたり、少しイメージと違うな? と思ってみたりするのがモデラーの性。そこには“自分だけの作品を仕上げたい”という意欲も垣間見えますが、何か目標とするモチーフ(設定画、劇中カット、そして雑誌などに掲載される版権イラストなど)があれば製作意欲はおおいに刺激されます。現在のガンプラにおいてプロポーション改造は、一昔とは違い“自分の持つ機体のイメージをガンプラに落とし込む”目的がメインとなっているのではないでしょうか?

MGガンダム Ver.Ka
(製作/NAOKI、2023年6月号掲載)

NAOKI氏製作のMGガンダムVer.Kaの画像
▲ NAOKIが目指したイメージはカトキハジメ氏がMG用に描いたイラスト。これを再現すべく、キットに大幅な改修を施しました。NAOKIの製作文に「パーツの新造禁止、ミキシング禁止、イラストにない余計なディテールも入れない、あくまでMG Ver.Kaのキットをベースにバランス調整や形状修正を施して、イラストを基にキットが目指したかったもの、みたいな着地点を妄想しながら製作してみました」と記していますが、こういった指針を明確に決めて取り組むのも、道を迷わないプロポーション改造術かもしれません

 ほぼ完璧に仕上がったガンプラにプロポーション改造を施すのは、逆にバランスを悪くしたり、ともすればカッコ悪く見えてしまう危険性もはらみます。まずはとにかく自分が目標とするイメージをしっかり持つこと、そこに向かって、どこをどう改造すればそのイメージに近づけられるかをよく考えること。これがプロポーション改造を成功させる秘訣と言えます。
(ホビージャパン編集部 木村 学)

©創通・サンライズ

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