タミヤ1/48トムキャットは最強の筆塗りキャンバス!『トップガン』の名機「F-14A」を製作【筆塗りTribe】
2022.08.13タミヤの1/48 トムキャットは最強の筆塗りキャンバス!! 大胆に攻めようぜ
プラモを筆塗りでガンガン楽しんでいるナイスなパイセンたちの作品とテクニックをみんなで読んで、テンションアゲアゲでどんどん筆塗りを楽しんで行こうという連載「筆塗りTRIBE」。今回は『トップガン マーヴェリック』後夜祭と言うこともあり、タミヤの究極の飛行機模型「1/48 グラマン F-14A トムキャット(後期型) 発艦セット」を筆塗りで仕上げます!!!
担当した大森記詩は「デカいからとっても筆塗りがしやすい!! まるで大きなキャンバスのよう!! こんなに筆塗りが楽しい飛行機模型はないです!!」というほど、筆塗りを受け入れてくれるジェット戦闘機プラモ。その言葉通り、まるでタミヤのパッケージイラストが飛び出してきたかのような、生き生きとした素晴らしい作例が仕上がりました。トムキャットの筆塗り……最高に楽しいこと間違いなしです!!!
今回のパイセン
大森記詩/東京藝術大学 彫刻科を卒業。ここ数号の月刊ホビージャパンではキャラクターモデルを筆塗りで仕上げた作例を披露。今回は大好きな飛行機模型で、彼の腕を振るってもらったぞ!
筆塗りの準備をしよう!!
主に文盛堂の筆を使っています
大学で出会った「VAN GOGH」
ノーブランドの筆も心強い
細部塗装はこの筆で!!
メインのグレーはタミヤラッカーで塗って行きます!
パレットは陶器皿で
モロゾフのプリン容器は筆洗い専用
Point
1/パネルラインが最初から影になるように「黒」下地で攻める
2/パネルラインを意識して筆塗り
3/クリアーカラーで調色し、機体表面の汚れも同時進行で塗り込んでいく
4/各所のツヤ感を変える
5/塗装中にさまざまな筆に持ち替えてタッチの変化を出す
缶スプレーのMr.カラーのサーフェイサーブラックで下地塗装
パネルラインに黒がシッカリ入るように全体を黒で塗る!
内部の白は先に塗っておきます
目立たないので雰囲気重視でOK
ラッカー塗料を使用していきます!!
まずは暗めのグレーを塗って行きます!
いきなりグレーを発色させるのではなく、暗めに調色した黒に近いグレーで覆います。明るいグレーで一気に塗ろうとすると、無理に発色させることになり塗膜も厚くなりがち。暗い色を薄く塗って、だんだん明る色を塗って行くのがポイントです。
使う色全色を皿に出します
ツヤ消しクリアーも皿に出しておくのがポイント
皿の端で色をコントロール
暗めのグレーを作りました!
表面をさっと覆う程度でOK!
下地の色なのでこのくらいラフでOK
クリアーカラーを混ぜたグレーで機体汚れも同時に塗って行きます
クリアーオレンジやクリアーブラウンをグレーに足して、汚れた感じのグレーを作ります。クリアーカラーを使うのは、濁りなく色味を変えられるからです。これを最後に塗るのではなく、機体塗装と同時進行で塗って行きます。そうすることで自然な雰囲気の汚れた雰囲気になります。またパネルごとに若干異なる色味となり、情報量が増えます。
グレーを立ち上げていきます!
ここから本格的に機体色を塗って行きます。塗料皿にライトグレイとライトゴーストグレイを移しましょう。その後、先ほどの暗いグレーを混ぜながら塗って行きます。
お皿にグレー2色を移します
1ヵ所をチマチマ塗らない!! 満遍なく塗って行きましょう
これだけ差が出る!!
さまざまな筆に持ち替えてタッチに変化を加えます!
平筆で塗り重ねるだけでなく、ボロボロの筆で叩いたり、細い筆で線を描くように塗ったりしましょう。筆跡による情報量の追加が可能です。
使い込んだ筆は最高のアシストをしてくれます
表面がジラジラ!!! かっこいい!!
細い筆で線を描くように塗ります!
グレーの塗装が完了!!
青はパッケージイラストを参考に鮮やかな色で攻めます!
実機や付属のデカールは暗いネイビーだったのですが、パッケージイラストの鮮やかさに惹かれたので、この色味を目指します!
まずは暗めの青を下地色に!
青もだんだん明るくしていくイメージで塗ります
機首と尾翼の色味をチェック
ヘキサブルーをアクセントに加えました!
デカールの上から塗装
エンジンノズルの筆塗り
大型ジェット戦闘機の特徴とも言えるエンジンノズル内の表現。ここは塗料をうまく使い分けて、リアルな表現としました。
ノズルの先は色味を変えます
プラスチックの塊だったものが、筆を動かすことでシームレスに「スケールモデル」になる瞬間がたまらないんです!
スケールモデルとゾイド
──記詩さんは両親も芸術系の方なんですよね
記詩:はい。そのおかげもあって小さいころから物を作るのが大好きで、プラモやおもちゃを楽しんでいました。父もプラモが好きでしたし、母もお仕事の関係で時には模型を作ったり、デザインの良いプラモの箱を収集したりしていました。
──記詩さんはどんな模型が好きだったんですか?
記詩:ゾイドとスケールモデルです。まずはゾイドなんですが、それこそ自分の人生を決定づけさせてくれたほど遊びました。プラスチックの色でほとんど完結していて、組み立てるだけでかっこいい模型が完成する。「色を塗らないで思いっきり楽しめるプラモ」があるという幸せ。組み立ても超楽しいですし、完成後ガシャガシャと遊ぶことがもできる……物作りの楽しさのすべてが詰まっていますよね!! この感覚で「ガンプラ」も楽しんできたので、ガンプラに関しても色を塗らずにあの「きれいな成型色」を楽しみながら遊んでいました。
それとは対照的にスケールモデルは、どうしても塗りたくなるプラモだったんです。僕は戦車模型をよく作っていたのですが、作った後に公園の砂場とか、家の床に置いたりして遊んでいたんです。その時にプラスチックの単色だとなんか寂しい……景色が繋がらない……と思って、遊びに行く場所に合わせて缶スプレーで好きな色で塗っていたんです。この時に「塗装する楽しみ」というのが芽生えたんだと思います。
筆塗りは、「絵」の雰囲気を模型に投影できる楽しさ
──筆塗りに目覚めたきっかけは何ですか?
記詩:僕はプラモの箱絵が大好きなんです。特に筆のタッチが残っているようなイラストは大好きでした。それを見て「こんな風にプラモを塗るのはどうすればいいんだろう?」と思っていたんです。そんな時に横山宏さんの『マシーネンクリーガー』に出会いました。横山さんが塗ったプラモには、横山さんが筆で描いている絵の雰囲気がそのまま投影されていたんです。缶スプレーでよく塗っていた自分は、そこから筆塗りにのめり込むようになりました。
実機ではなく目指すは「ボックスアート」
記詩:実機も大好きなのですが、それ以上にボックスアートが大好き! だからかっこいい箱絵のプラモはついつい買ってしまいます。そしてそのイラストの影や線をよく見て、プラモを塗って行くのが本当に好きなんです。今回のタミヤのトムキャットの箱絵もまるでキャラクターメカのように「青」が鮮やかでかっこよかったので、「この青をかっこよく塗りたいぞ!」と思いながら筆を進めました。
また、筆を通して何度も模型に触れると「筆が自分の体の一部」になっているような感じがします。そんな時に目の前の模型を塗っていると、プラスチックの塊だったものが筆のタッチで「スケールモデル」になってくる瞬間を体感できます。この瞬間がとても幸せで、「プラモの筆塗りって本当に楽しい」と思わせてくれるんです。
タミヤ 1/48スケール プラスチックキット