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「陸上自衛隊74式戦車」新作キットを製作!豊富なギミックと緻密なディテールを存分にご覧あれ

2023.06.19

陸上自衛隊 74式戦車【ホビージャパン 1/35】 月刊ホビージャパン2023年7月号(5月25日発売)

陸上自衛隊 74式戦車 メイン画像

ホビージャパン発、ギミック満載の74式をキットレビュー!!

 ホビージャパンが完全新金型で贈る新作キット、陸上自衛隊74式戦車。長らくリニューアルが待たれていた車両だけに、発売を心待ちにしていた方も多いのではないだろうか。分割式の可動履帯に加え、サスペンションの可動、リアハッチの開閉、そして目玉である車高調整ギミックの搭載。と今回もフォルムの再現だけにとどまらない充実のギミックを満載した本キットは、単体作品はもちろん、ディオラマでも表現の幅を広げてくれることだろう。
 今回はこの74式戦車を現用車両を得意とする井上賢一が製作。緻密なディテールとギミックを活かすべく、自衛隊車両らしく手入れの行き届いたクリーンなタッチで仕上げた。

陸上自衛隊 74式戦車 砲台を左に向けている画像
▲︎74式戦車の特徴的な機能である油気圧サスペンションによる姿勢制御を再現!
車体内部の画像
車輪の裏画像

▲︎サスペンションの可動は車体裏面の前後4ヵ所にあるカバーを外し、内部のレバーを操作することで調整することができる

陸上自衛隊 74式戦車 全体正面画像
陸上自衛隊 74式戦車 斜め後ろ画像
▲連結式履帯は一見すると複雑そうだが、専用の治具も用意されており、井上氏も非常に組み立てやすかったとのこと
陸上自衛隊 74式戦車 斜め前画像
▲塗装はキットで指示されていた「陸上自衛隊 第1師団 第1戦車大隊 第2中隊所属車 駒門駐屯地」を再現。鋳造部分は溶きパテを塗って梨地肌を強調した
戦車の入り口画像
▲︎砲塔後部にハッチの固定用チェーンを追加。また、M2機銃は銃口を開口した
車体上部画像
▲車体上部のエンジングリルもシャープなモールドで再現。ご覧の通りディテールアップパーツを必要としない緻密さである
車体後部 メンテナンスハッチの画像
▲キットは車体後部のメンテナンスハッチが開閉可能。内部のトランスミッションを確認することができる
赤外線投光器アップ画像
▲74式の外観上の特徴といえる赤外線投光器。キットは一体で成型されていた両サイドの取手を丸く整形した
軍人プラモ
▲せっかくなのでフィギュアも用意。こちらはタミヤの16式機動戦闘車に付属のものを流用した
三種類の砲身カバー画像
砲身カバーを付けた時の画像1
砲身カバーを付けた時の画像2
砲身カバーを付けた時の画像3

▲︎砲身カバーの造形と砲身の可動を両立するため、キットには3種類の砲身基部パーツが用意されている。右画像はそれぞれのパーツを装着した際の砲身の角度である

■こんにちは!
 今回のお題目は、戦後我国の国土防衛に貢献した陸上自衛隊の“74式戦車”であります。使用キットはホビージャパンのオリジナルキット第3弾として発売された新製品です♪
 戦後2番目の国産戦車として誕生した本車は、61式戦車が制式化直後より防衛庁(現防衛省)技術研究本部により《STB》と名付けられ、当時の最新装備を盛り込み開発をスタート、1974年に仮採用され翌75年より本格導入がなされます。
 特徴は主砲に西側標準の“Royal Ordnance L7系の105mmライフル砲”を装備し、また“油気圧サスペンション”採用で自由に車高調整ができる“ハルダウン”機能等々、戦後第2世代MBTの特徴を数多く備えています。
 他国の同世代のMBTと比較すると、流麗なデザインの鋳造砲塔や低い構えたシルエットがカッコよいですね♪
 気になるキット内容は、前作のFH-70同様に各部へ可動ギミックを搭載、また組立式可動履帯や全国8ヵ所の部隊へ配備された車両が再現できるデカールなど、他に部品を準備する必要のない“オールインワン”仕様となっています。ギミック等ありながらも部品点数は控えられており、また扱いにコツのいるエッチング等の異種材料部品もなく、初心者の方にも大変お勧めのキットに仕上がっています♪

■車体 
 ではいつもの車体から見ていきましょう。本キット最大の売りである“車高調整ギミック”は一見複雑そうに感じるも、説明書通りにパチパチ組んでいくと“あっ”という間に完成♪ 複雑に連動する転輪の動きを楽しむことが出来ます。
 また車体後部のメンテナンスハッチが開閉可能で、完成後も内部にあるトランスミッションへアクセスできるという嬉しいギミックも搭載されています。今回はハッチロックのために小型の磁石を仕込んでみました。
 実車通り“ダブルピン”の動きが再現できる履帯も“バチピタ”でサクサク組み立てられ、部品精度の高さが感じられますね。ちなみに説明書指示では片側履帯片“78個”で組み立てる指示になっていましたが、作例では好みで1個少なく組んでます。

■砲塔
 この砲塔にも部品差替えで“3仰俯角の砲身位置”が再現できるというギミックが搭載されています。各差替え部品が砲塔へシックリと馴染むように擦り合わせをしっかり行い組んでいきましょう。
 本車の特徴でもある“赤外線投光器”も各面を別部品化する等、設計者のこだわりが感じられる仕様になっています。今回はその意気込みに応じて一歩踏み込み、本体左右側板に一体成型されている“取手”をいったん切り取り“握れるように”整形し再接着してみました♪
 車長用キューポラに設置された5個の防弾ガラスはペリスコープとともに一体成型の透明部品で再現されており、キューポラ裏側より一気にハメこむ仕様になっています。今回は車長ハッチを開放した際に“ちらっ”と見える、各防弾ガラス間を結ぶ接続部を接着後にカットしてみました。ロッドのテーパーが見事に再現された左右アンテナは、完成後も角度変更できるように真鍮線で接続しています。さらに自衛隊車両装備で良く見かける各ハッチ固定用チェーンを手持ちの適当なチェーンで追加してみました。

■塗装
 塗料/迷彩パターンはキット指示にもなっている、2022年度3月をもって約70年の歴史に幕を下ろした、第1師団 第1戦車大隊の第2中隊所属車を再現しました。使用した塗料はGSIクレオスさんの物をベースに調色して使用しています。

■最後に
 完成~!! 制式採用から90式が登場する直前の1989年までに873両製造調達され活躍してきた本車ですが、近年は後続モデルである10MBT・16MCVへの置き換えが加速し、年間40両程度のペースで用途廃止が進んでいるそうで、2023年の3月の段階で現役車両は88両。演習場等でいつも元気に走り回っていた本車を見られるのも、いよいよ残りわずかなんですね~(寂)。

ホビージャパン 1/35スケール プラスチックキット

陸上自衛隊 74式戦車

製作・文/井上賢一

HJM(ホビージャパンモデルキット)ミリタリーラインシリーズNo3 1/35 陸上自衛隊 74式戦車
●発売元/ホビージャパンホビー開発課●8690円、発売中●1/35スケール●プラキット

商品ページはこちら

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井上賢一(イノウエケンイチ)

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