1/48「ブラックバーン・バッカニア S.2」が21世紀のテクノロジーでフルリニューアル!魅惑の群青色の機体を完全再現
2023.06.12完全リニューアルされた濃青色の海賊
戦後イギリス海軍機を代表する機体のひとつ、ブラックバーン・バッカニア。低高度進攻を目的とした機能性を由来とする、機体各所にうねりを持つ独特のスタイリングは、英国機マニアの心をガッチリとつかんで離さない。1/48スケールのキットは1990年代に発売されたエアフィックスが唯一無二の存在だったが、2022年末に21世紀のテクノロジーを駆使し完全新金型でフルリニューアルされた。前作も悪い出来ではなかったが、再現されたフォルムとディテールはさらなる高みへとレベルアップ。魅惑の“エクストラディープオーシャンブルーグレー”の機体を完全再現するっ!
■本当にエアフィックスなのか?
一部の英国機マニアから注がれる熱い視線、どんな神経で設計されたのか不安になる英国海軍の艦上攻撃機バッカニアの1/48キットがエアフィックスの手によって完全新金型でリニューアルされました。
特徴的な赤い箱を開けて最初に驚いたのは「プラが黒い!」……実際は黒でなくダークグレーなのですが、今まで慣れ親しんできたエアフィックス社の軽薄な水色プラを想像しながら開封したので「なんじゃコレ? アカデミーのキットか?」と軽い混乱を生じました。
ランナーに付いた状態で各パーツを眺めてみると、エア独特の若干ボヤケたような柔らかなモールド感がまったくなく、爆弾倉やコクピットパーツなどはキレッキレのモールドに再度驚かされます。ただ箱や説明書などの印刷物からは例のエアフィックス臭が漂い、「この匂いは間違いなくエアだな……」と和ませてくれるのでした。
■どこもかしこもヘンテコラインのバッカニア
ソビエト艦隊を核戦力で一掃するため、敵レーダーに察知されることのない海面スレスレの超低空侵入に特化した設計がなされ、他の艦上攻撃機では見られない愛嬌のある独特のラインは、恐ろしい“バッカニア(海賊)”というよりペンギンの姿に似ています。
ただ、滑らかな曲面で構成された機体を完璧に再現しようと、胴体パーツの構成は機首を左右に分割、中央部と主翼基部は上下分割、胴体後半と尻尾のブレーキは再び左右分割と結構バラバラにわかれています。さらにインテークや排気ノズルも個別に成型されているので、「本当にこの分割で曲面がきれいに揃うのか?」と心配になるのですが、工作を進めてゆくにつれ「完璧な分割だわ……ラインが狂ったのなら製作者のミスだな」とうれしい裏切りに遭いました。
■さて何色に塗ろうか
1/72スケールのバッカニアを担当させて頂いた時も大いに悩まされた、イギリス海軍機色のエクストラダークシーグレーが灰色にしか見えない問題。現役当時の紫外線によってカッスカスに傷んだ機体を撮影した写真は確かにグレーなのですが、保管状態のよい再塗装された機体は青みが強く、航空自衛隊のF-2戦闘機の濃いほうの青「ディープオーシャンブルー」に近い印象を受けました。
さすがにディープオーシャンブルーをそのまま塗るのは怖いので、エクストラダークシーグレーとディープオーシャンブルーを2:1の割合で混色した「エクストラディープオーシャンブルーグレー」を作って塗ってみました。
イメージ的にはボックスアートの機体色に近い仕上がりを目指したのですが、肝心のボックスアートも天板のイラストと側面の別イラストでは青味に大きな違いがあり、深い追求は断念しました。
■デカール貼りと気温
エアフィックス製品の魅力のひとつがデカールの素晴らしさでしょう。このキットにも素晴らしくきれいな発色の大判デカールが入っています。ただ製作時期が冬だったので、模型部屋の気温が低過ぎ、デカール本来の柔軟性が充分に発揮できない状態での貼り付けとなってしまいました。これから製作される方は、気温と湿度が充分に上がった季節の到来を待ってからデカールを貼るのがよいかも知れません。
エアフィックス 1/48スケール プラスチックキット
ブラックバーン バッカニア S.2
製作・文/ヨンケイ
ブラックバーン バッカニア S.2
●発売元/エアフィックス、販売元/GSIクレオス●16500円、発売中●1/48、約40.2cm●プラキット
ヨンケイ(ヨンケイ)
2023年も静岡ホビーショーに参加しました。地元静岡の子供たちが目を輝かせながらガンプラを組み立てる様子を見て感動。何故か泣きそうになりました。