HOME記事キャラクターモデル小川昌男の超弩級作例! 1/5ビッグスケール「ノイスポッター」! 横山宏も1/20ノイスポッター新作例で参戦

小川昌男の超弩級作例! 1/5ビッグスケール「ノイスポッター」! 横山宏も1/20ノイスポッター新作例で参戦

2023.06.08

Ma.K. in SF3D 月刊ホビージャパン2023年7月号(5月25日発売)

超弩級!! 鉄製1/5ノイスポッター完成!!

 今回はノイスポッター特集! 鉄製の1/1 S.A.F.S.や1/5クレーテを製作した小川昌男氏の新作メタルワークとなる1/5ノイスポッターをフィーチャーする。板金や溶接によって創り出されたビッグスケールのノイスポッターの圧倒的存在感を堪能していただきたい。
 横山氏は40周年記念パッケージで販売された1/20ノイスポッターの新作例を公開。傑作デザインの呼び声が高い無人偵察機ノイスポッターの魅力に迫る。

小川昌男、MAX渡辺、横山宏、KATOOOとノイスポッター メイン画像

シュトラール軍 反重力無人偵察機 ノイスポッター 製作/小川昌男

小川昌男、MAX渡辺、横山宏、KATOOO
▲ユニットごとに運搬しホビージャパンの屋上で組み立てて撮影。「金属のひんやり感がすごかった。ずっと持ってるとあったかくなるけど、手を放してしばらくするとまたひんやりする。大きさのわりに軽いのも意外性があった。金属の扱いに関しては門外漢だけど実に楽しい体験でした」(MAX渡辺)
1/5ノイスポッター
▲近未来感のある屋上の設備と調和し無人兵器のリアリティを醸し出す1/5ノイスポッター
ノイスポッター全体画像
▲全高1mを優に超える1/5というビッグスケールもさることながら板金や溶接の跡なども含めた金属の質感が見る者を魅了する
頭部アップ
▲複雑な曲面を再現するために30枚以上の鉄板を切り継いで製作した頭部。鈍く光る鉄板本来の色や溶接により変色した部分、あえて開けたままのガイド穴が複雑に入り乱れた表面は美しい迷彩塗装のようだ
胴体アップ
▲反重力ユニットや緊急用ノズルは旋盤削り出し、半球状の部分は叩き出して作られた。腕の基部はボルト固定で角度が変えられる
小川昌男、MAX渡辺、横山宏、KATOOOがノイスポッターを組み立てている画像
▲屋上で各部を組み上げているところ。横山氏はボルトを締めて右腕の基部を固定した
ノイスポッター正面
▲正面からのショット。ノイスポッターの独特なフォルムを堅牢な作りで再現した
ノイスポッター背面
▲分析記憶ユニット最下部の半球状パーツをムクの金属にして重量バランスを調整した結果、1本の支柱でしっかりと自立する
富士山をバックにしたノイスポッター
▲撮影翌日に小川氏が山中湖で撮影。絶景の富士山に溶け込むノイスポッター
上半身
▲屋上の自然光で撮影すると陽の差しぐあいで印象が変わってくる。カールしたコードが全体のいいアクセントに
下半身
▲「記憶ユニットのアールも複雑で真ん中にたすきのような段差があるので、ここを再現するのに苦労しました」(小川)
小川昌男斗ノイスポッター
▲組み上げて満面の笑みを浮かべる小川氏。「今回の作業で右腕が太くなりました(笑)」

 F90改造コンペ以来、約3年ぶりの登場となった小川です。1/1 S.A.F.S.、1/5クレーテに続いて鉄製の1/5ノイスポッターを製作しました。クレーテを製作した際、いずれガンスなども作れるように一連の流れで次回はノイスポッターかなと思っていました。本業はカスタムバイクビルダーで仕事場にS.A.F.S.やクレーテも共存してますし、ノイスポッターの大きさはあんまり気にしてなかったですね。なんならデカいほうがいいやってくらいで(笑)。
 今回は既存のタンクなどの流用はせず、フルスクラッチです。複雑な形状の頭部は木型を起こすところから始めました。1/20ノイスポッターの頭部形状を基準に型紙をとって1/5の大きさになるよう木型を作り、木型に直接鉄板を当てて馴染むように板金していきました。頭部のアールは一定方向じゃなくて追いきれなかったので、頭だけで30枚以上の鉄板を切り継ぎ溶接してるんですよ。複雑なアールを根気よく板金していけば上1枚、下1枚のようなモナカ構成にできなくもなかったんですが、あえてガイド穴もあけっぱなしで切り継ぎしていったことで、かえって味が出たんじゃないかと思ってます。反重力ユニットの端のほうやボンベの頭など半球に近い形状は板金の叩き出しです。絞り加工で叩いて作って、旋盤で削り出した部品と溶接しました。
 ノイスポッターはトップヘビーなので下のほうでバランスを取るために、分析記憶ユニットの真下のロッグマックのパーツみたいな部分を完全ムクの鉄の塊から削り出して作りました。ここが一番重くて、残りはすべて中空で作っているから見た目よりは軽いんですよ。バランスが取れたので本体の細長いパイプの下のほうにあけた穴に台座の支柱を引っかけて固定できるようになってます。今は5cmくらい浮いてるようになってますが、支柱の長さを変えれば1ⅿくらい浮いてるように見せることもできますね。
 今回の撮影でもユニットごとに取り外して愛知から車に載せて来ましたけど、壊れたり凹んだりしてもオッケーかなって考えてます。直す時も溶接なりボルト留めなりになると思いますが、そうやって直していく現場感はアリかなって。
 最後にナゴミー(第4回Ma.K.名古屋ミーティング)でノイスポッターを実際に見て、今回の撮影の機会を与えてくれた横山先生、MAX先生に感謝です!

1/5スケール スクラッチビルド

シュトラール軍 反重力無人偵察機 ノイスポッター

製作・文/小川昌男


[Ma.K.in SF3D]EXPLANATIONS Vol.117

シュトラール軍 反重力無人偵察機 ノイスポッター

文/KATOOO(レインボウエッグ)

 ノイスポッターは高い通信探査力と反重力装置を備えたシュトラール軍の新型無人偵察機です。非武装の無人兵器ですが、反重力装置で浮遊し偵察する姿が妖怪のようなフォルムとあいまって、フォトストーリーやバンドデシネで強く印象に残る兵器です。
 横山先生は頭部や反重力ユニット、分析記憶ユニットなどを複製してオリジナルモデルを2体製作しています。残念なことに1体が日東科学の火災で焼失していますが、もう1体が40年を経た今も現存しているのは本当に不幸中の幸いと言えます。
 オリジナルモデルの初出は月刊ホビージャパン1983年2月号ですが、1982年8月号にイラストとノイスポッターという名称が先に掲載されています。横山先生にお話を伺ったところ、「ホルニッセとの協同作戦でこういう偵察機が出てきますよってP.K.A.の回にノイスポッターの絵を先に描いてるんですよ。『スター・ウォーズ』のプロボットや加藤直之さんのバーサーカーなど多くの偵察メカの影響を受けて、自分ならこうしたいってノイスポッターを描いたので、頭の中で練ったデザインと言えますね。その絵を見ながら立体を作ったので順序正しく作った感じがするというか、思いつき感が案外少ないんですよ。だいたい思い付きで作ってるんですけどね(笑)。浮いているところを特撮で再現したりイラストに描いたりしたけど、こんなおもしろいものを40年前にデザインした自分をほめてあげたいです。今回の作例記事を読んでみんなも浮いてる状態で作ってみるといいよ」と答えてくれました。
 SF感の強いノイスポッターのデザインは40年を経た現在も鮮烈で、反重力装置で浮遊しながら偵察する設定も斬新です。横山先生が当時の写真をコラージュした特別パッケージのウェーブ製1/20ノイスポッターが2023年2月に発売されましたが、この発売からナゴミーでの横山先生のノイスポッター新作例の展示&小川さんの1/5鉄ノイスポッターのお披露目、そして今回の特集とノイスポッターのお祝い期間が続いているようでした。そしてこの原稿を書いている前日に静岡ホビーショーでマックスファクトリーからファルケの1/35プラキットの発売が発表されました。1983年のノイスポッター回の次はファルケの回だったので、なんだか40年前を追体験しているような不思議な感覚を覚えました。

ノイスポッターのイラスト
▲︎立体に先行して月刊ホビージャパン1982年8月号に掲載されたノイスポッターのイラスト。索敵用無人センサーという別称が付いている

シュトラール軍 反重力無人偵察機 ノイスポッター 製作/横山宏

シュトラール軍 反重力無人偵察機 ノイスポッター 正面全体画像
▲グリーングレー系の迷彩にオレンジイエローの識別帯と赤の3が鮮烈に映える
ディオラマ全体画像1
▲下端の分析記憶ユニットの内側に太いランナーを接着したことで軸が打てるようになり浮遊状態での展示が可能に。ノイスポッターは機械にしか反応しないため、戦闘不能になった女性パイロットは脱出して難を逃れた
頭部正面
▲印象的な筆塗りによるラフな迷彩の境界や斑点。ランダムなラインで描かれた識別帯は煽情的ですらある
頭部背面
ノイスポッターほうきに乗った魔女のデカール

▲反重力ユニットのフォルムも独特。“ノイスポッターほうき”に乗った魔女のデカールが付属する

上半身背面
上半身側面

▲40年前の表紙と同じようなアングルで撮影。オプチカルシーカーが発光しているように画像を加工した

月刊ホビージャパン1983年2月号の表紙
▲︎月刊ホビージャパン1983年2月号の表紙。合成ではなく2体作られた
上半身正面
▲ウェーブ製キットは腕の棒状部分がすべてプラ製になり、真鍮線を使用していた日東製より組みやすさが超向上した
ノイスポッター足元の模型たち
▲ウェーブ製1/20 S.A.F.S.にブリックワークスのS.A.F.S./ラプター内装パーツを組み込んだ。デカールはレインボウエッグ製

分析記憶ユニット
▲「分析記憶ユニット側面のアンテナは真鍮線に換装しています。先細に削るのがコツ」(横山)
分析記憶ユニット内部
▲太いランナーを接着し、すき間に鉛玉を埋め込む(鉛の分量は写真参照)。このあとエポパテで覆う
ディオラマ全体画像2
▲位置関係がわかる上からのショット。前回の1/35キュスター同様、ベースの地面はファレホの地面テクスチャーペーストを塗ったもの
web記事はコチラ

 40周年記念パッケージのノイスポッターが発売されたので新たに組んでみました。
 まずは展示した時の安定のために分析記憶ユニットパーツの内部に鉛を詰めておきます。その前にユニットの下半分の部分にシャフトを刺すためのプラ材を仕込みます。内側中央底部にプラ用接着剤を流しておいて、炙って柔らかくなった太いプラのランナーをジュッと焼き入れるように接着します。作例ではガチャーネンの太めランナーを使っています。これで下からドリルで穴をあけてシャフトを刺せて安定した展示ができるようになります。火を使う時には絶対に接着剤をこぼさないように注意が必要です。ランナーの周りのすき間には鉛玉を入れて瞬間接着剤で固定! 念のためにエポパテで覆うように固定しておくと未来永劫に安心ですね。
 この作例を2023年4月23日に開催されたナゴミーに展示できるタイミングで作っていたので、小川君の鉄製のクレーテを真似しておこうと思って下地にわざわざ銀色を塗りました。重心の取り方とか下地が金属色とか小川君のノイスポッターとの文脈があって鉄板コラボができましたよ。
 塗装はノイスポッターほうきに乗ってるオネエサンのデカールが貼りたくてこのマークの塗装パターンを参考にしながらも少し変えて塗りました。40年前も射出して残骸になったS.A.F.S.を登場させたので今回もブリックワークスの内装パーツを組み込んだS.A.F.S.をまずはベースに配置。その傍らに林浩己さんのヘッドとネイキッドエンジェルを組み合わせたオネエサンをレイアウトしました。お約束の設定である「無人兵器は機械にしか反応しない」によってオネエサンは無事に逃げられるというわけですね。

ウェーブ 1/20スケール プラスチックキット

シュトラール軍 反重力無人偵察機 ノイスポッター

製作・文/横山宏

ノイスポッター
●発売元/ウェーブ●4620円、発売中●1/20、約24cm●プラキット


マックスファクトリー1/35ファルケ発進!!

 2023年5月13、14日にツインメッセ静岡で開催された「第61回静岡ホビーショー」でマックスファクトリー『Ma.K.』プラキット第1弾1/35ファルケの製品化が発表された。原型製作はせど氏で重厚かつ流麗なフォルムに期待が高まる。平田英明氏原型によるフィギュアとランナーを活用したファルケ積載ドーリーで整備風景が再現できる。

1/35ファルケ 正面
▲横山氏による1/35ファルケの塗装見本。フィギュアは試作品
1/35ファルケ 背面
▲MAX渡辺作例も展示。キットは設定全長の1/35よりやや大きめに設計されている
1/35ファルケのランナー
▲ファルケのドーリーはキットのランナーを利用して作る仕様だ

ファルケ

●発売元/マックスファクトリー、販売元/グッドスマイルカンパニー●価格未定、発売時期未定●1/35、約18cm●プラキット


THE MONSTERS×Ma.K.コラボフィギュア

Labubu(ラブブ)

 アジア圏で人気のLabubu(ラブブ)が『Ma.K.』とコラボ! 約11cmの装甲スーツの塗装済み完成品がブラインドボックスで発売中だ。S.A.F.S、A.F.S Mk.I、Fliege、S.A.F.S LABUBU、S.A.F.S Prototype、Ausf.Gの6種×各2色でリペアマンがシークレットアイテム。

THE MONSTERS×横山宏 Ma.K.シリーズ

●発売元/POP MART●各1870円、発売中●約11cm●12ピース入りアソートボックス(22440円)も発売中


“ナゴミー4th”レポート

 2023年4月23日に名古屋市東区の市民ギャラリー矢田で“ナゴミー4th”こと「Ma.K. NAGOYA MEETING 4th」が開催された。約3年半ぶりの開催となる今回は力作が多数集結。横山氏は今回掲載のノイスポッター作例も持参しMAX渡辺とともに展示作品を見て回った。トークショーでは山田卓司氏も加わり、マシーネン談議に会場は大いに盛り上がった。

山田卓司、MAX渡辺、横山宏のスリーショット
▲山田卓司氏の参加で弾むトーク。氏はノイスポッターがお気に入りという
1/5ノイスポッターと1/5クレーテと横山宏
▲並んで展示された小川氏の1/5ノイスポッターと1/5クレーテに喜ぶ横山氏

美術部展レポート

 2023年4月29日から5月14日まで東京・青山のビリケンギャラリーで「美術部展2023」が開催された。横山氏は加筆した油彩画や彩色したフィギュアを展示・販売した。

ノイスポッターの油彩画と横山宏
▲自身で購入した油彩画にノイスポッターを加筆
森拓馬氏デザイン、金子司氏3Dデータ造形、横山氏彩色のフィギュア
▲森拓馬氏デザイン、金子司氏3Dデータ造形、横山氏彩色のフィギュア。全14種が展示販売された

ウェーブ製1/20 S.A.F.S. ブリックワークス S.A.F.S./ラプター内装パーツの商品ページ

© Kow Yokoyama 2023 © Kow Yokoyama 2023 illustrated by Kasing Lung

この記事が気に入ったらシェアしてください!

小川昌男/MAX渡辺/横山宏/KATOOO(レインボウエッグ)

オススメの書籍

月刊ホビージャパン2023年7月号

ご購入はこちら

Ma.K. in SF3D ARCHIVE Special 2013.7-2015.12 vol.4

ご購入はこちら

Ma.K. in SF3D ARCHIVE 2012.5-2013.6 vol.3

ご購入はこちら
PAGE TOP
メニュー