【ネタバレ注意】『トランスフォーマー/ONE』徹底解説トリビア。トランスフォーマー40年の歴史が凝縮されたイースターエッグをご紹介!!
2024.10.04■ハイガードに注目!!
スタースクリーム、サウンドウェーブ、ショックウェーブを中心とするハイガードは、のちにディセプティコンを構成するメンバー。追放される以前はアイアコンシティを守る部隊だったというのも面白い。スタースクリームのバリエーションとして航空兵(シーカーズ)も細かくモデルが作成されており、スカイワープはまるでブリッツウィングのようなマスクフェイス、サンダークラッカーや、スリップストリーム、レッドウイング、コーンヘッズと通称されるトンガリ頭や翼の形状が異なるダージ、スラスト、ラムジェットなどが確認されている。サウンドウェーブのブレインスキャンなど、なかなか取り上げられる機会の少ないギミックも登場。ちなみにスタースクリームの椅子は、1986年に全米公開されたアニメ映画『トランスフォーマー ザ・ムービー』における彼の王冠がモチーフ。オマージュとしては、なにより後半列車からハイガードを放出する際に、サウンドウェーブが決め台詞である「イジェクト」と言うのが嬉しい。
■センチネルプライムとクインテッサ
今回の黒幕たるクインテッサ星人とセンチネルプライムは、未翻訳の書籍で語られてきたサイバトロン星の過去の出来事にインスパイアされ形作られている。デザインは『アニメイテッド』に登場したセンチネルプライムや、過去リリースされた玩具などのイメージを組み合わせて創られた。ロボットモードの背中に畳まれた羽根のシルエットや両刃の武器は『ダークサイドムーン』を思わせる。
これまでのムービーシリーズでは、クインテッサはトランスフォーマーの生みの親=創造主であるという位置づけとして描かれてきたが、今回は新たな設定に基づき、侵略者として登場している。変形能力を奪うというアイデアも、書籍の中でクインテッサが行った所業だった。
■クモ女のキック!?
クモをモチーフとするエアラクニッドは『プライム』にて初登場したキャラクター。『ビーストウォーズ超生命体トランスフォーマー』におけるブラックアラクニア(和名:ブラックウィドー)をイメージソースに持つ女性型トランスフォーマーであり、大量の複眼を持つ点もブラックアラクニア譲り。今回の吹き替えも過去作と同様に柚木涼香が務めた。
なお柚木涼香は『アニメイテッド』では巨大蜘蛛と融合しブラックアラクニアへと変貌してしまったエリータ-1の声も担当している。エリータ-1とクモには因縁があるのだ。
■マトリクスとは?
オートボットのリーダーが持つ叡智の結晶がマトリクスである。『トランスフォーマー ザ・ムービー』にて初めてこの形で登場したマトリクスは、さまざまな作品ごとにさまざまな能力を付与されながらも、常にオートボットにとって最も大切なキーアイテムとなってきた。『ザ・ムービー』ではマトリクスの光は闇を照らして悪を払いユニクロンを消滅させた。さらにマトリクスの精神世界では、死した過去のリーダーたちとの対話も可能となる。これは全てのスパークが還る場所とされるオールスパークにも通じる設定であり、あるいは命を落としたオライオン(灰色になるのも『ザ・ムービー』由来の演出)は惑星のコアすなわちプライマスに達したことで、マトリクスの精神世界に入ったのかもしれない。オライオンは『ザ・ムービー』にてロディマスプライムが誕生したのと同様のポーズとメッセージを受けて、オプティマスプライムへと転生を遂げている。
なおセンチネルが手にしようとしたマトリクスが砂と消えたのは、資格のない者が持つと砂になるという『リベンジ』での設定が由来。それにしてもマトリクスによって再び惑星内部からエネルゴンが噴出を始めたが、これまで描かれてきたあらゆるシリーズでサイバトロン星の黄金時代は長く続くことはなかった。あのエネルゴンもいずれは枯渇してしまうはずなのだ……。
■吹き替えを観たら原語も観るべし!
感情の機微やキャストの素晴らしい演技を楽しめる魅力的な吹き替え版を観たあとは、ぜひ原語版にも挑戦してみて欲しい。ムービーシリーズでも定番となったキャッチフレーズである「MORE THAN MEETS THE EYE」を筆頭に、原語にはトランスフォーマーらしい言葉が随所に散りばめられているのだ。エリータ-1がオライオンには「TOUCH」も「POWER」もないと諭すのは、『ザ・ムービー』の主題歌「THE TOUCH」の歌詞から。またD-16に喉を潰されたスタースクリームの「声」は、80年代のアニメ(原語版)と同じような甲高い「声」に変化する。オプティマスの決め台詞である「ROLL OUT!」に対比するメガトロンの「RISE UP!」は『アニメイテッド』で初めて登場したワードだが、ここで新たな起源も付与された。自己を持つボットであるという「AUTOBOT」の解釈や、もう騙されないというメガトロンの心情を言葉にした「DECEPTICON」という軍団名、そして「OPTIMUS PRIME」にも「OPTIMISTIC(楽観的な)」という本作のオライオンならではの解釈が付け加えられている。『トランスフォーマー/ONE』の「ONE」もまた、始まりを示すだけではなく「’TIL ALL ARE ONE(宇宙をひとつに!)」というオートボットの信じる言葉となる。トランスフォーマーの世界を隅まで楽しむなら、原語も要チェックと言えるだろう。本作『ONE』は40年目のトランスフォーマーにふさわしい象徴的な作品となっている。トランスフォーマーの次の40年は『ONE』から始まるのだ。新たに紡がれた「始まりの神話」を、ぜひ劇場で確かめて欲しい。
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