新作キット発売直前! 前哨戦として山田卓司がタミヤ「IV号駆逐戦車/70(Ⅴ) ラング」を雰囲気充分なディオラマ化
2023.05.19ドイツIV号駆逐戦車/70(V)ラング【タミヤ 1/35】 月刊ホビージャパン2023年6月号(4月25日発売)
ドイツ IV号駆逐戦車/70(Ⅴ) ラング
タミヤから新作キット「IV号戦車/70(A)」が発売されるということで、今回はその前哨戦として同じく70口径7.5cm砲を装備する「IV号駆逐戦車/70(Ⅴ) ラング」を山田卓司が製作。およそ10年前のキットながら高い再現度を誇るラングを金属砲身をはじめとしたディテールアップパーツを駆使してさらに見ごたえある1台として仕上げた。
ドイツ・シュピールヴァーレンメッセ2023にてタミヤより「IV号駆逐戦車/70(A)」のリリース発表がありました。今回はその予行として「ドイツ IV号駆逐戦車/70(Ⅴ) ラング」を製作してみました。これは2014年のリリースですから、すでに10年近く前のキットとなります。
新製品ではありませんから、市場にある各種ディテールパーツを使ってディテールアップしています。まずはタミヤ公式の専用「メタル砲身セット」。こちらはメタル砲身のみならず主砲の装填部のプラパーツも同梱されています。新作の「/70(A)」にもそのまま使用可能なので、今のうちに入手しておくのも良いでしょう。履帯はモデルカステンの連結可動式を使用。車体後部フェンダー用のスプリングにはアドラーズネストの「WWIIドイツ軍 ラング フェンダースプリングSet」を使用しています。こちらは繊細なパーツのため、取り扱いは注意すべきですが、使用することでグッと精密感が高まります。車載工具のうち、牽引工具のブラケットのみAKの3Dプリント製III号戦車用車載工具セットより流用しました。戦闘室上部外周や天井板後部に付く防水布取り付け用ループはキットモールドを削り取り、0.2mm洋白線に変えています。
/70のリサーチにはモデルアート増刊『モデルアートAFVプロフィールNO.1 IV号駆逐戦車/70 ラング』がオススメ。戦歴や塗装例イラスト、戦場写真に加えて各地に現存している/70の実車のディテール写真も掲載されています。同誌のコラムに機関室上部に装備されている牽引工具について記載されており、興味深いです。キットパーツになっているC型シャクル用とすると、ブラケットのサイズや機関室ハッチの開閉に不都合が生じるため、これは旧いIII号戦車で使われていたS字型シャクル用の物なのではないか? との考察。現在においても、ここは確定した資料も無いので結論は出ていないようです。なので今回の作例ではブラケットのみとしています。
キット付属のインストより塗装例A「第655重戦車駆逐大隊所属322号車」としました。この部隊のラングは降伏した時の写真が知られていますから、天井などキットより後期の車体ディテールの可能性もあり、少し改造してより後期の型に改造しようかな? とも思ったのですが、それは来るべき/70(A)のパーツを使用したほうが早いので、今後のお楽しみとしました。
キット付属フィギュアは防寒アノラックを着用していますので、ディオラマに登場させるフィギュアとしてアルパインの『Winter Panzer Crew Set(35038)』より二体。『WW2 German Officer #2(35055)』をコーディネート。防寒アノラックの迷彩は陸軍のウォーターパターン。WaffenSSと違ってぼやけたパターンです。
ラングは背の低い車両なのでベースはなるべく立体感のある物にしたいなと、背景の建物はReality in Scaleの「時計塔の廃墟」をチョイス。購入前は石膏製を予想していたので補強など厄介だなと考えていたのですが、なんとレジンの一体成型。念のため、離型剤を落とすためによく洗浄しておきましたが、普通に塗装するだけで簡単に古びた時計塔が完成してしまいました。
地面はスタイロフォームで大まかな形を出してからダイソーの「ふわっと軽い粘土」の黒と茶を混合して使用。粘土が柔らかいうちに路傍の小石を撒いて、キット付属のベルト式履帯をスタンプして轍を表現しておきました。草はスタティックグラス(情景用草素材)の長さ違いを各種用意しておきます。先に短いグラスを撒いておいてから、背の高いグラスを接着して作っておいた株をたくさん生やしました。
タミヤ 1/35スケール プラスチックキット
ドイツ IV号駆逐戦車/70(Ⅴ) ラング
製作・文/山田卓司
ドイツ IV号駆逐戦車/70(Ⅴ) ラング
●発売元/タミヤ●4180円、発売中●1/35、約24.4cm●プラキット