“グリフォン・スピットファイア”の始祖「スーパーマリーン スピットファイアMk.XII」を製作! 1/48スケール エアフィックス
2023.05.18ハイパワーを手にした“グリフォン・スピットファイア”の始祖
第二次大戦中期、ドーバー海峡を越えて襲来するドイツ空軍の戦闘爆撃機に対抗するため、イギリス空軍は主力戦闘機スピットファイアのマーリン・エンジンをパワーアップしたMk.VIII、Mk.IXを開発すると同時に、より大型で高出力のグリフォン・エンジンを搭載したMk.XIIを登場させた。わずか100機の生産だったが、特に低高度での速度と運動性に優れ、後継型のMk.XIV、艦上型のシーファイアXV、戦後型のMk.XVIIIなどの“グリフォン・スピットファイア”シリーズの礎を築いた。エアフィックスがリニューアル再販する1/48スケールキットで、ハイパワーの源流をたどる!
■実機について
1942年、散発的にイギリス本土へ来襲するドイツ空軍のFw190戦闘爆撃機を迎撃できる高速戦闘機を早急に得るため、Mk.VcおよびMk.VIIIとして製造中のスピットファイアのエンジンをマーリンから高出力のグリフォンに換装し、Mk.XIIとして100機が製造されました。グリフォン搭載スピットファイアとして最初の生産型となります。Mk.XIIのグリフォンエンジンは低空用ながらその高出力を活かし、Fw190迎撃に活躍します。1944年に入って本土へ来襲するFw190の脅威がなくなると、次にV-1飛行爆弾の迎撃任務に活躍の場が与えられます。
今回製作したキットは、2011年発売のMk.XIIのキットのデカールと組立説明書、パッケージがリニューアルされ、2022年に発売されたものです。梨地状の表面に太めのスジ彫りが施された胴体と主翼、ややもっさりしたモールドの小部品という構成です。嵌め合いはピタリといかないので、仮組みをしっかり行い必要に応じて擦り合わせて調整する必要がありますが、プラスチックは柔らかめで加工しやすく、基本的なスキルがあれば難しいキットではありません。
■それでは製作に入ります
まず全体に梨地状の表面を#800のペーパーでならします。機関砲カバーの付け根付近などにいくつかヒケが見つかりましたので、パテ埋め処理しています。
コクピットはエデュアルド製ズームエッチングパーツEDUFE1302、シートベルトはファインモールド製ナノ・アヴィエーションNC6、射撃照準器はクイックブースト製レジンパーツ48580を使用してディテールアップしています。
主翼はスピットファイアの薄翼をよく再現しているものの、後縁のエッジ、とくに補助翼付近が厚いので薄く削ります。翼端のフェアリング部品(A8、A9)は前後長が不足しているので、プラ板を継ぎ足して補助翼後縁まで延長します。下面のラジエーターフラップが台形になっていますが、実機は長方形なのでプラ板で修正しています。20mm機関砲銃身をマスター製真鍮挽き物パーツAM-48-004に置き換えています。
プロペラ部品は分厚いので、薄く削ると印象がかなりよくなります。機首上面の小インテークが型抜きの都合上扁平なので、プラ板を接着して丸みが付くように削ります。排気管の開口部をモーターツールで彫り込みます。
■塗装とマーキング
迷彩塗装はGSIクレオスMr.カラーのダークグリーン(C361)とオーシャングレー(C362)、ミディアムシーグレー(C363)を使用し、いずれの色も自分のイメージを優先して少々補正しています。またフィルタリング効果を狙って、色相環で定義される「類似色」を迷彩の上からランダムに吹き付けています。
マーキングは2種類で、いずれも結構マニアック(笑)。デカールを貼る注意点として、主翼の黒いウォークウェイラインは国籍マークより先に貼ること。理由はラインの長さが国籍マークとぴったり突き合わせになっているため、逆の順番で貼ると寸法の辻褄が合わなくなる可能性があるからです。
仕上げにグレー系のパステル粉を溶いたせっけん水を全体に塗り、塗装の明度と彩度を調整しながら拭き取りつつ、スミ入れしています。
エアフィックス 1/48スケール プラスチックキット
スーパーマリーン スピットファイアMk.XII
製作・文/熊谷丈洋
スーパーマリーン スピットファイアMk.XII
●発売元/エアフィックス、販売元/GSIクレオス●6600円、発売中●1/48、約20.2cm●プラキット
熊谷丈洋(クマガイタケヒロ)
グリフォン・スピットは熱心なファンが多いので今回の製作は気合が入りました。やっぱりスピットはカッコいいですね。