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“グリフォン・スピットファイア”の始祖「スーパーマリーン スピットファイアMk.XII」を製作! 1/48スケール エアフィックス

2023.05.18

スーパーマリーン スピットファイア Mk.XII【エアフィックス 1/48】 月刊ホビージャパン2023年6月号(4月25日発売)

スーパーマリーン スピットファイアMk.XII イメージカット

ハイパワーを手にした“グリフォン・スピットファイア”の始祖

 第二次大戦中期、ドーバー海峡を越えて襲来するドイツ空軍の戦闘爆撃機に対抗するため、イギリス空軍は主力戦闘機スピットファイアのマーリン・エンジンをパワーアップしたMk.VIII、Mk.IXを開発すると同時に、より大型で高出力のグリフォン・エンジンを搭載したMk.XIIを登場させた。わずか100機の生産だったが、特に低高度での速度と運動性に優れ、後継型のMk.XIV、艦上型のシーファイアXV、戦後型のMk.XVIIIなどの“グリフォン・スピットファイア”シリーズの礎を築いた。エアフィックスがリニューアル再販する1/48スケールキットで、ハイパワーの源流をたどる!

正面画像
プロペラ部アップ
▲プロペラは薄く削って印象を改善。エンジン換装で回転方向が変わり、プロペラピッチが逆になっている
コクピット左側
▲キャノピーやコクピット左側のドアは開閉選択式。計器盤などはエデュアルドのエッチングパーツを使用した
主脚周り
▲主脚周りはMk.Vc以降と共通。主翼下面左側にもMk.Vcと共通のオイルクーラーが装備されている
天面
▲エアフィックスのMk.XIIは、各動翼が別パーツ、フラップと主脚は昇降2種、尾輪は2タイプ、開閉選択式キャノピー、スリッパ型増槽も付属など、非常に意欲的な内容となっている。リニューアル再販を素直に喜びたい
右側面
▲スピットファイアMk.XIIは、マーリンより強力な2000馬力級のグリフォン・エンジンを初めて搭載したタイプで、Mk.XIV以降の本格タイプと比べると機首がやや短く、4翅プロペラを装着しているのが特徴である
機首の排気管の開口部アップ
▲グリフォン搭載型の最大の特徴である機首形状は非常に良好。上面の小インテークをプラ板で丸く整形、排気管の開口部もモーターツールで掘り込んだ
20mm機関砲銃身アップ
▲20mm機関砲銃身はマスターの真鍮挽き物に置き換え。寸法の辻褄を合わせるため、主翼の黒いウォークウェイラインは国籍マークより先に貼ること
裏面
▲左側にオイルクーラー、右側にラジエーターを装備した主翼下面。キットには胴体下部に装着するスリッパ型増槽も用意されている
尾翼
▲作例のMk.XIIは尾輪が引き込み式となったMk.VIIIをベースとした機体だが、キットは固定式尾輪のMk.V/Mk.IXベースの機体も選択できる
コクピットパーツ
▲コクピットはエデュアルドのエッチング、ファインモールドのシートベルトなどを使用してディテールアップ
主翼下面右側のラジエーターフラップ
▲主翼下面右側のラジエーターフラップが台形になっているので、プラ板を足して実機通りに長方形に修正した
主翼関連パーツ
▲主翼関連パーツは後縁エッジを薄く削る。翼端のフェアリングも前後長不足なのでプラ板を継ぎ足している

■実機について
 1942年、散発的にイギリス本土へ来襲するドイツ空軍のFw190戦闘爆撃機を迎撃できる高速戦闘機を早急に得るため、Mk.VcおよびMk.VIIIとして製造中のスピットファイアのエンジンをマーリンから高出力のグリフォンに換装し、Mk.XIIとして100機が製造されました。グリフォン搭載スピットファイアとして最初の生産型となります。Mk.XIIのグリフォンエンジンは低空用ながらその高出力を活かし、Fw190迎撃に活躍します。1944年に入って本土へ来襲するFw190の脅威がなくなると、次にV-1飛行爆弾の迎撃任務に活躍の場が与えられます。
 今回製作したキットは、2011年発売のMk.XIIのキットのデカールと組立説明書、パッケージがリニューアルされ、2022年に発売されたものです。梨地状の表面に太めのスジ彫りが施された胴体と主翼、ややもっさりしたモールドの小部品という構成です。嵌め合いはピタリといかないので、仮組みをしっかり行い必要に応じて擦り合わせて調整する必要がありますが、プラスチックは柔らかめで加工しやすく、基本的なスキルがあれば難しいキットではありません。

■それでは製作に入ります
 まず全体に梨地状の表面を#800のペーパーでならします。機関砲カバーの付け根付近などにいくつかヒケが見つかりましたので、パテ埋め処理しています。
 コクピットはエデュアルド製ズームエッチングパーツEDUFE1302、シートベルトはファインモールド製ナノ・アヴィエーションNC6、射撃照準器はクイックブースト製レジンパーツ48580を使用してディテールアップしています。
 主翼はスピットファイアの薄翼をよく再現しているものの、後縁のエッジ、とくに補助翼付近が厚いので薄く削ります。翼端のフェアリング部品(A8、A9)は前後長が不足しているので、プラ板を継ぎ足して補助翼後縁まで延長します。下面のラジエーターフラップが台形になっていますが、実機は長方形なのでプラ板で修正しています。20mm機関砲銃身をマスター製真鍮挽き物パーツAM-48-004に置き換えています。
 プロペラ部品は分厚いので、薄く削ると印象がかなりよくなります。機首上面の小インテークが型抜きの都合上扁平なので、プラ板を接着して丸みが付くように削ります。排気管の開口部をモーターツールで彫り込みます。

■塗装とマーキング
 迷彩塗装はGSIクレオスMr.カラーのダークグリーン(C361)とオーシャングレー(C362)、ミディアムシーグレー(C363)を使用し、いずれの色も自分のイメージを優先して少々補正しています。またフィルタリング効果を狙って、色相環で定義される「類似色」を迷彩の上からランダムに吹き付けています。
 マーキングは2種類で、いずれも結構マニアック(笑)。デカールを貼る注意点として、主翼の黒いウォークウェイラインは国籍マークより先に貼ること。理由はラインの長さが国籍マークとぴったり突き合わせになっているため、逆の順番で貼ると寸法の辻褄が合わなくなる可能性があるからです。
 仕上げにグレー系のパステル粉を溶いたせっけん水を全体に塗り、塗装の明度と彩度を調整しながら拭き取りつつ、スミ入れしています。

エアフィックス 1/48スケール プラスチックキット

スーパーマリーン スピットファイアMk.XII

製作・文/熊谷丈洋

スーパーマリーン スピットファイアMk.XII
●発売元/エアフィックス、販売元/GSIクレオス●6600円、発売中●1/48、約20.2cm●プラキット

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熊谷丈洋(クマガイタケヒロ)

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