【祝】ダンバイン40周年!「MGダンバイン」を各部の徹底改修で設定画イメージを再現する 【HJメカニクス15】
2023.04.04HJメカニクス15
マスターグレードを設定画稿のイメージに近づけるために徹底改修
主人公機ダンバインは、ショウ・ザマがビルバインに乗り換えたあともマーベル・フローズンが搭乗し最後まで戦っている。キットは2000年にリリースされたマスターグレード(以下MG)を使用。シリーズ唯一のMGだが、オリジナルアレンジが加わったHGに比べ、設定画や劇中に近いプレーンなスタイリング。ABSとビス止めによる強固な関節にオーラ・マルスをイメージした各関節部のディテール。一部キット独自解釈による内部組織の再現など、堅実かつ野心的な秀作となっている。作例は本書では恒例となったNAOKIが表紙&フラッグシップモデルとして製作。設定画のイメージを再現するため、各部を徹底改修している。
COLLARING DATA
本体1=ダンバインカラー オーラパープル1(ガイアノーツ)
本体2=ダンバインカラー オーラパープル2(ガイアノーツ)
ピンク=サイバーフォーミュラカラー ライラックピンク(ガイアノーツ)+オレンジ(ガイアノーツ)
黄色=エヴァンゲリオンカラー エヴァプロトイエロー(ガイアノーツ)
手首、足首など=ダグラムカラー グレーグリーン(ガイアノーツ)+Ex-ブラック(ガイアノーツ)
羽根=メタリックプリズムホログラム(ガイアノーツ)
FRONT VIEW
LEFT SIDE VIEW
REAR VIEW
祝ダンバイン40周年!
オーラ・バトラー造形といえばご存知のように生物というモチーフをきっかけに、放送当時からさまざまなアレンジで楽しまれています。そして、それらを受け入れられる懐の深いオリジナルデザイン。シンプルでありながら世界観を体現したその素晴らしさは放送当時の少年時代よりもむしろ今のほうが染み入ります。今回はMGを使用してそんなオリジナルの設定デザインに向き合ってみました。
ベースとして使用したMGダンバインですが、頭身がかなり高いものの、久しぶりにあらためて見てみるとそんなに悪くないんですよね。ただ、今回方向性としては設定画に寄せた少年体型なダンバイン。基本的には頭身を下げつつ各部の形状を修正していきます。
以下、各部解説です。
■頭部
構造上、胴体を基本サイズとして各部を調整していきますが、そう考えると頭部は明らかに小さいです。まず後方に向かってボリュームが足りないのでエポパテでボリュームアップ。潰れた饅頭のように横と後ろ方向にボリュームを足すイメージです。アゴ周りは下方向に間延びしている感があるので、下から削り込んでいきます。刃は逆に大きすぎるので、真ん中でカットして短く。横からのアウトラインも修正。先端の小羽根はボリュームアップしています。額のエンブレムもエポパテで大きく作り直しています。
■胴体
まず肩幅の広さが気になります。これは設定には見られない腕を受けるリング状の部位のせいだと思われるのでこの部分をカット。襟周りは少々ボリューム不足に感じるので襟を上方に向かって大型化。前方は設定画を見ると完全に空いているのでそのように形状修正。襟と頭部の距離感も気になるので、首の取り付けフレームを短くカットしつつ前方に傾斜をつけています。これでダンバインの代表的な立ち画、左向きにグッとアゴを引く例のポーズがとりやすくなります。また、キットだと襟の横、僧帽筋の辺りが平坦すぎるのでここをボリューアップしたいのですが、設定によってオーラ・コンバーターに向かってもう一段高い面が存在するものがあります。この面をエポパテで新造して僧帽筋のボリューム不足を補っています。
腰部もちょっとイメージと違うので修正。まず前方に張り出しすぎているので、カットしてボリュームを抑えてエポパテで形状修正。縦のバランスも主に下方に長いイメージなので、下側から削り込んで上下幅を短くしています。同時に下面のフィンもエポパテで作り直し。上半身との繋がりも気になるので、腰内部の上半身を受ける軸受け部分を短くして、上半身をもう少し押し込められるようにします。また、側面はもっとキュッと上に持ち上がっているようなラインなので、側面はポリパテなどで上方に持ち上げつつ、前側は逆に稜線を下げることでよりその印象を強調しています。脇腹の六角形ディテールも大型化しています。
■腕部
肩が大きく怒り肩に見えるので、先端に向かう部分で一度クサビ形にカット、先端部分の角度を変えてラインを修正しています。腕の取り付け軸も一度カット。元位置よりも上めにセットして、腕位置を下げつつ短くカットして胴体との距離を詰めています。上腕はすっぱり切れていて味気ないので、ポリパテで形状修正。前腕部もポリパテを盛って形状修正しています。その前腕ですが、取り付け軸にリブが立っていて向きが固定されています。このリブをカットすることで前腕が回転できるようになり、設定画の「爪が横にある状態でヒジを前方に曲げるポーズ」を取ることができるようになります。拳はキットのままだとかなり小さい印象なのでエポパテとポリパテで大きめのものを新造しています。
■脚部
設定画だと取り付け位置がもっと上にあるイメージです。ここは脚部フレームの太モモ回転軸受け部分を少しカットすることで脚部全体が上に行くことになり、狙った位置関係にすることができました。その太モモは長く感じるので外装をカットして詰め、フレームも同様に詰めています。ヒザ下はキットだと内外シンメトリーになっているのですが、設定画を参考に盛り削りしてアシンメトリーなラインに。前側も湾曲が強いのでエポパテを盛ってもう少しストレートなラインに形状修正。設定画の印象に近づけています。ふくらはぎ後方のフィンはエポパテで新造。
■オーラ・コンバーター
コンバーター自体は大きく弄っていないのですが、翅がとにかく大きい! とはいえキットパーツの雰囲気は悪くないのでなんとか使おうと考えた結果、小羽根を大羽根に、大羽根をカットして形を整えて小羽根として使用するという方法を採ってみました。なかなか良い感じのサイズになったと思います。
■塗装
形状やバランスはアニメ設定のイメージで進めたので過度な生物的表現は避けたいと思いつつも、セルののっぺりしたイメージだとさすがに立体物として面白くない。ということで、今回は以下のような方法で仕上げてみました。
まずは基本色で塗装。その上にMr.ウェザリングカラー フィルタ・リキッドのレイヤーバイオレットを全体に筆塗り。それをキムワイプや筆などを使ってライターオイルで拭き取りつつテクスチャーをつけていきます。ここでいったんラッカー塗料のツヤ消しクリアーでコート、テクスチャーを保護します。その上からブラウン系のエナメル塗料でウォッシング。さらに白色でドライブラシを施しています。
爪部分は無塗装状態でクリアーを拭き、根元付近にクリアーブラックやブラウンを吹いています。ちなみに黒いライン部分はタミヤパテを盛り付けて生乾きの状態で爪楊枝などでテクスチャーを作っています。
BANDAI SPIRIST 1/35スケール プラスチックキット“マスターグレード”
ダンバイン
製作・文/NAOKI
いかがでしたか。細部の製作工程や途中写真がもっと見たいと思った人も多いのでは? そんな方は、現在好評発売中の「HJメカニクス15」をぜひご覧ください! こちらではTV放送40周年を迎えたサンライズロボットアニメ『聖戦士ダンバイン』を特集。今回ご紹介した「MGダンバイン」はもちろん、放映当時のプラキットや、その後に発売されたハイグレード、マスターグレードを軸に、本作に登場したオーラマシンを、プロモデラーたちが製作。『聖戦士ダンバイン』そしてオーラマシンの魅力を改めてお届けしております。
いまなお多くのファンを魅了する『聖戦士ダンバイン』を徹底フィーチャーした一冊をお見逃しなく!
Ⓒ創通・サンライズ
NAOKI(ナオキ)
メカニックデザイン、造形、造形プロデュースなどさまざまフィールドで活躍するマルチクリエイター。