『破獄のマジンガー』まもなくコミック連載スタート!! 作画を担当する星 和弥氏のスペシャルインタビューを掲載
2023.02.25破獄のマジンガー 月刊ホビージャパン2023年4月号(2月25日発売)
連載開始記念
3月1日(水)よりホビージャパンウェブにて連載がスタートする漫画『破獄のマジンガー』。その作画を担当する漫画家、星 和弥氏に連載開始のきっかけや漫画の内容についてお聞きした。これを読むと漫画がより楽しめることは確実だ!! なお、今回の取材にはダイナミック企画の永井一巨氏にも同席していただいた。(聞き手・構成/五十嵐浩司(TARKUS))
星 和弥(ホシカズミ)
1973年12月7日生まれ、東京都出身。1996年ダイナミックプロダクションに入社。永井豪のアシスタントを経て『ミスタードリラー』のコミカライズ作品でデビュー。近年は『マジンカイザーSKLヴァーサス』『ダイノゲッター』『ジーグフリート』などのロボットヒーローのリブート作品で活躍中。
——星先生が印象に残っているダイナミック作品を教えてください。
星 アニメだと『サイコアーマー ゴーバリアン』、漫画だと『キングボンバ』などちょっとマイナーなタイトルが好きですね。中学生の頃はKCスペシャル版『デビルマン』を読んでいました。でも、読んでいるうちに怖くなるので休み休みしながら少しずつ……、1年で1冊くらいのペースでしたね(笑)。
——どのような経緯でダイナミックプロに入られたのでしょうか?
星 アニメ関係の専門学校を卒業する頃、先生から「絵柄が似ているからダイナミックプロに行ってみたら?」と言われて、ダメ元で面接を受けました。するとダイナミックプロのほうでも「作画の雰囲気が似ているから、すぐに仕事に来てくれ」と言われて、すんなり入ってしまったんですよ。
——デビューからダイナミック作品を描かれていらしたのでしょうか?
星 デビューは『ミスタードリラー』というゲームのコミカライズでした。その後、自分でロボット作品を描いて何度か投稿していましたが連載には至らなかったんです。ロボット作品での連載が難しいことを一巨さんに愚痴っていたら「それならこの作品をやってみないか?」と『マジンカイザーSKLヴァーサス』をやらせていただくことになりました。
永井一巨(以下、永井) それまでもアシスタント業として働いていただいていましたが、作家としてお願いしたのはあれが最初でしたね。その後は『ダイノゲッター』や『ジーグフリート』をお願いしています。
星 今回の『破獄のマジンガー』もそうですが、ダイナミックプロを代表するビッグタイトルをやらせていただくのは嬉しい反面、「僕でいいのか?」とプレッシャーもありますね。
——それではいよいよ『破獄のマジンガー』についてお聞かせください。
星 マジンガー同士がバトルロイヤルを繰り広げるストーリーです。当初はさまざまなマジンガーZが戦う案もありましたが、過去のマジンガーZではない、新しいデザインのマジンガーが登場します。ただ、主人公のパイロットスーツなどは「マジンガーならこの格好」とお馴染みのデザインなんですよ。
——タイトルの「破獄」も意味深ですね。
永井 タイトルはいくつか出たアイデアの中から、星先生ご自身の案に決まりました。
星 「破獄」は物語のキモの部分に繋がる造語です。「この状況を打破する」「生き抜く」「脱出する」などの意味が込められています。
——新マジンガーのデザインの印象はいかがですか?
星 新マジンガーは外部のデザイナーさん(編注・アストレイズの阿久津潤一氏)が考えてくれました。バトルロイヤルでの肉弾戦に合ったマッチョなデザインです。ディテールが多いので、まわりからは早速「こんなに複雑なデザインを描けるの?」と心配されていますよ(笑)。第1話の時点では胸の高熱板や耳の角などがないシンプルなデザインですが、物語が進むにつれてパワーアップして、最終的なデザインに近づいていく設定です。
——他のキャラクターや対戦相手が乗るのもマジンガーなのですか?
星 物語冒頭では他のキャラクターが乗るのも肩のマーキング以外は、同じマジンガーです。すべてが同じデザインだと区別がつかなくなるので、第1話では倒した相手の首をぶら下げた敵キャラクターが登場したり、武器や持ち物でキャラクター付けをしています。また女の子のマジンガーは別のデザインを自分で作りました。
——主人公・シレンはどのようなキャラクターなのでしょうか?
星 熱血漢というほどではないですが、スーパーロボットのパイロットらしい性格の少年です。ロボット作品の主人公は、ロボットを兵器としてではなく「子供の手に余る力」に感じられる十代の少年がふさわしいので、高校生くらいのイメージで描いています。僕がこれまで描いていた作品の主人公はどちらかというと好戦的なキャラクターが多かったんですが、今回は仲間思いのキャラクターにしていきたいですね。
この作品は、戦う相手が機械獣などではなく人間が乗っているロボットなので、その部分をどう描いていくのかが難しいかもしれません。
——絵柄や表現方法などで、永井豪先生や石川賢先生のテイストを意識されたのでしょうか?
星 じつは模写が苦手なので、似せて描くことはあまりできないんですよ。でもこれまでずっと、豪先生や石川先生の作品を読んできたので、スーパーロボットを描くとダイナミックプロのタッチになるんだと思います。第1話でもキャラクターの目を「グルグル」に描いたカットがありますが、一巨さんから「あまりやらないほうがいいよ」と言われたので、最近はなるべくやらないようにしているんですよ(笑)。
永井 一時期は多用していましたが(笑)、あまりやりすぎると効果が薄れてしまいますからね。
星 目を血走らせて睨みを効かせた表現の最上級が「グルグル」だと考えて、今ではここぞという場面で使うようにしています。
——他に作画で気をつけている部分はありますか?
星 僕はデジタル作画ができないので、デジタル特有の濃淡のあるグレーを表現するために薄墨の使い方を勉強しました。また、絵柄が古くならないように、ロボットなどを描くときはエッジを効かせてメリハリをつけるように意識しています。それから最近のロボット作品を見ると自分の絵に描き込みが足りない気がして、自分ができる最大限の描き込みを入れていますね。
——ストーリーはどのように考えられているのでしょうか?
星 スタッフと相談しながら、アイデアを出し合って考えています。スーパーロボット作品なので、わかりにくい話にはせず気分良く読めるように気をつけています。
永井 星先生は人の意見を聞いて、自分の作品を俯瞰で見られる作家さんなので、スタッフも編集者も積極的にアイデアを出すようにしています。
——描かれていて苦労されている部分はどこですか?
星 これだけたくさんのマジンガーが登場して動き回ることは想定していなかったので、描いていて大変です(笑)。
永井 ある程度はベタで潰してもいいとお伝えしていますが、あまり潰さないですよね?
星 あまりベタを使いすぎると真っ黒になってしまいますからね。でも、だんだん描き慣れてくるとは思いますよ。
——本誌の読者に向けて、作品の見どころを教えてください。
星 前半は「主人公がなぜバトルの場にいるのか?」「自分達は何者か?」を探し、マジンガーで戦う展開が物語の軸になります。とにかく「勢い」を楽しんでいただきたいです。
永井 胸の高熱板がいつ付くのか? 必殺技がいつ出るのか? という展開も読んでいて期待が高まると思います。
星 どういうタイミングなのかは現在検討中です。ブレストファイヤーが出るタイミングを話し合っているんですが、いつも「まだ早い!」と言われてしまいます(笑)。
永井 最高のタイミングで出したいですからね。
星 ホビージャパンさんでの連載ですから、模型で立体化したくなる場面もポイントです。僕自身も第1話を描きながら「これは立体で見てみたい」と思う場面がいくつかありましたので、皆さんも注目してください。
3月1日(水)より
HJウェブにて連載開始!
星 和弥氏によるコミック『破獄のマジンガー』第1話の一部を特別に公開! どこにでもいる普通の少年シレン。意識を失い目が覚めると謎のパイロットスーツを着て、マジンガーのコクピットにいた! 果たしてシレンの運命は!? ダイナミック魂を受け継ぐ大迫力の作劇に期待せよ!
破獄のマジンガープロジェクト
STAFF
原作
永井豪とダイナミックプロ
作画
星 和弥
メカニックデザイン
阿久津潤一(アストレイズ)
企画
ダイナミック企画、不知火プロ
協力
ホビージャパン
グッドスマイルカンパニー
MODEROID マジンガー、
その名はマジンガーZEST!
去る2月12日(日)に開催されたワンフェス2023[冬]にて造形試作も公開された、本作の主人公、マジンガーZESTのMODEROID用彩色CG画稿を公開。これまでのマジンガーと同じ配色だが、より格闘に特化したマッシブな印象を受ける。次号以降、塗装試作も掲載予定! お楽しみに!!
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