HOME記事ガンダム『砂鼠ショーン』の「グフ ショーン・カスタム」をスクラッチ。ウェザリング塗装技術を存分に駆使して仕上げる「THUNDERBOLT MECHANICS 機動戦士ガンダム サンダーボルト 立体作品集 side DARYL」より

『砂鼠ショーン』の「グフ ショーン・カスタム」をスクラッチ。ウェザリング塗装技術を存分に駆使して仕上げる
「THUNDERBOLT MECHANICS 機動戦士ガンダム サンダーボルト 立体作品集 side DARYL」より

2022.12.29

THUNDERBOLT MECHANICS 機動戦士ガンダム サンダーボルト 立体作品集 side DARYL

MS-07B GOUF Shaun custom
[GUNDAM THUNDERBOLT Ver.]

グフ ショーン・カスタム特写

 『機動戦士ガンダム サンダーボルト』初の外伝作品である『機動戦士ガンダム サンダーボルト外伝 砂鼠ショーン』より、主人公ショーンの搭乗するグフを千葉剛士が立体化。地球上の砂漠地帯で使用されているモビルスーツということで、千葉氏の得意とするウェザリング塗装のテクニックを存分にふるい、砂とホコリにまみれたグフを情感たっぷりに仕上げた。
[初出:月刊ホビージャパン2013年11月号]

グフ ショーン・カスタム
グフ ショーン・カスタムA字立ち
グフ ショーン・カスタム後ろ

『砂鼠ショーン』について

 『機動戦士ガンダム サンダーボルト外伝 砂鼠ショーン』は「ビッグコミック」(小学館)2013年第11号と第12号に掲載された特別読み切り作品。一年戦争終結から3ヵ月後のアフリカ大陸を舞台に、砂漠に遺棄されたモビルスーツを回収して生計を立てるジャンク屋と連邦軍「砂漠の鷹旅団」との謎の墜落機体をめぐる争奪戦が本編とは対照的な明るいタッチで描かれている。

グフ ショーン・カスタム途中写真
▲製作中のグフ。白い部分がプラ板、薄いグレーの部分がエポパテを使用して造形された部分。また、濃いグレーのパーツは自作パーツをレジンで複製したものである
グフ ショーン・カスタム頭部アップ
▲両肩にスパイクのないグフというのも非常に新鮮。頭部はMGグフ Ver.2.0をベースに動力パイプをスプリングパイプに交換し、自作のアンテナを取り付けている
グフ ショーン・カスタム腕部
グフ ショーン・カスタム腕部アップ

▲上腕部はプラパイプを芯にエポパテで造形したものを複製して使用。前腕はキットのパーツに縦横高さ全方向にプラ板で幅増しを行った

グフ ショーン・カスタム脚部アップ
▲今回は砂漠で使用された機体らしく、細かなキズや塗装はげ、オイルダレ等のウェザリングも強目の表現としている
グフ ショーン・カスタムソール部分
グフ ショーン・カスタムソール裏

▲ソール部分はホバークラフトのスカート部分をイメージして造形。また、ソールの裏側もホバー機動用らしいディテールを追加した

グフ ショーン・カスタムファン
▲ランドセルはデザインを正確に再現するため、あえて流用パーツは使用せず、プラ板とエポパテで原型を製作した
グフ ショーン・カスタムファン後ろ
グフ ショーン・カスタムファン可動

▲左右のファンはそれぞれ上下左右に可動。さまざまなアクションポーズに対応することができる

グフ ショーン・カスタム構え後ろ
グフ ショーン・カスタム構え

MODELING NOTE

■脚部
 フルスクラッチから複製します。足の裏の平面図からプラ板を切り出し、エポパテを積み上げて形にしていきます。足首関節は「関節技」の特大ダブルボールで、割れたりした時に交換できるよう3mmポリで接続。スネは前後左右とも平面図で基準にできる面がないので、直方体を芯にして天地にヒザ関節と足首関節を取り付けて前後にエポパテを盛り。削って形を整えたあと裾を作ってから左右ふくらはぎのバルジをパテ盛り。シンメトリーは目視と手触りで出していきますが、最終仕上げはノギスやディバイダーでキッチリ確認をしましょう。
■胴体
 MGグフ Ver.2.0をベースに外装の形状変更をしていきます。胸部はキットパーツに少し盛り足してB-3風のメリハリを強調して、腰は股関節フレーム以外プラ板で新造します。各アーマー内のダクト状モールドはエバーグリーンのモールドプラ板を使います。横に付いているアーマーは4回複製してポリの二重関節で接続。前のアーマーは1mmスプリングで接続して可動域を確保します。
■両腕
 キットの肩関節フレームに直接エポパテを盛ってキャンバスモールドを刻みます。上腕とヒジ関節はプラパイプとエポパテで骨組みを組んだ後同じくエポパテでキャンバスモールド、左右共通で使える形状に設計してあるので複製して使います。前腕は縦横高さ全方向に拡大します。まずは外装の分割線に沿って2mm幅増し、その後精密ノコギリで縦にカットしてこちらも2mm幅増し。最後に手首のポリパーツを市販の物に置き換え、プラ板箱組みで3mm延長します。ヒートロッドや機関砲はプラ板で組みますが、腕との接地面はエポパテを押し付けて隙間なく密着した形にしておくと設定画にあるような一体感を損なわずに再現できます。ナックルはコトブキヤさんの角指ノーマルハンド、手の甲は設定画に合わせて形状変更し3回複製して揃えます。
■ランドセル
 スネに引き続き本作もうひとつの山場、ジャンクパーツの流用等はせずにフルスクラッチで設定画の形状を100%正確に再現します。手順としてはまず設定画をよく見て複製の計画を立てることが重要です。一見して左右で2回複製すればというのは簡単に分かりますが、実際にパーツの分割を含めもっとよく見ていくと、上下や裏表等同じデザインが繰り返されていることに気付きます。結果4回複製をすることを前提にスクラッチするボリュームを最低限の量にします。
 模型のスクラッチ仕事が多いので普段からいろんな直径の円筒を見ると集めておく習慣があるのですが、今回もそれらが役立って2重のリムにそのまま使える円筒素材がありました(笑)。ファンは円周を16分割したプラ板を段差をつけて貼り合わせます。その他アーム類はプラ板とエポパテでひたすら組み上げていきます。
■塗装
 サフ後ベースブラック。今回はウェザリングを強めに入れるのでグラデーションは広い面以外には特に入れません。ですのでグラデーションのためのベースブラックと言うよりは、塗料がまわりきらなかった部分を影として表現する保険としての意味合いが大きいです。
手足の水色=コバルトブルー(40%)+明灰白色1(60%)+ダークイエロー微量
胴体の青=ガンダムカラー ブルー6
明るいグレー=グレーFS36231
暗いグレー=ジャーマングレー
 仕上げはエナメル塗料のフラットブラックとフラットブラウンでスミ入れ。足周りのみその上からデザートイエローでスミ入れ。チッピングやオイルの垂れを全身に描き込んで最後にラッカーのサンディブラウンをツヤ消しクリアーで薄めたものでトップコート。足周りや天面には多めに吹き付けて砂塵の積もった感じを表現します。

1/100スケール スクラッチビルド

MS-07B グフ ショーン・カスタム[GUNDAM THUNDERBOLT Ver.]

製作・文/千葉剛士


 いかがでしたか。こちらの「グフ ショーン・カスタム」は現在好評発売中の「THUNDERBOLT MECHANICS 機動戦士ガンダム サンダーボルト 立体作品集 side DARYL」にも掲載中です。 太田垣康男氏が描くコミック『機動戦士ガンダム サンダーボルト』の連載10周年を記念した立体作品集の第2弾。ダリル・ローレンツの搭乗機体及び、ジオン公国軍、南洋同盟所属機体、さらに『機動戦士ガンダム サンダーボルト外伝』に登場したモビルスーツも収録した一冊となっておりますので、第1弾「THUNDERBOLT MECHANICS 機動戦士ガンダム サンダーボルト 立体作品集 side IO」とあわせて、ぜひご覧ください!

サンダーボルト立体作例集表紙

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©Yasuo Ohtagaki 2022 ©創通・サンライズ

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