米空軍最強ステルス機「F-22ラプター」とは?【いまさら聞けないすごいヤツ】
2022.12.20F-22 ラプター
イラスト/大森記詩
撮影/三環しおん
「名前は知ってるけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのもはずかしいなぁ…」なんて思ってしまう有名な飛行機や戦車、車などのモチーフを、サクッと読める解説とイラスト、オススメのプラモとともにご紹介する本連載。
タミヤから1/48スケールのF-35が間もなく発売と、いまステルス機が熱いです!! そこで今回と次回(1月更新予定)で「F-22」と「F-35」をピックアップします。まずは「F-22 ラプター」から。アメリカ空軍が誇る最強のステルス機とはいったいどのような飛行機なのか? さっそく見ていきましょう。
F-22 ラプター
全長/18.90m
全幅/13.56m
全高/5.08m
エンジン/Pratt & Whitney F119-PW-100ターボファンエンジン 156kN×2基
最大速度/マッハ2.25
最大巡航速度/マッハ1.82
空対空兵装/AIM-9 サイドワインダー、AIM-120 AMRAAM
空対地兵装/GBU-32 JDAM 1000lb GPS/INS誘導爆弾、GBU-39/40 SDB 250lb GPS/INS誘導爆弾
戦闘機界の頂点に君臨
F-22ラプター
解説/宮永忠将
先進戦術戦闘機計画
1980年代のアメリカ空軍は、高性能制空戦闘機F-15イーグルと、汎用性抜群のF-16ファイティングファルコンの、いわゆるハイ・ローミックスを確立して、戦闘機の準備は万全であった。
ところがこの時期には、軽量合金や炭素繊維複合素材、強力な推進システム、そしてステルス技術などが、一挙に実用化の域に達していた。これらが融合すると、従来とは段違いの戦闘機が完成してしまう。自分自身の先端技術の可能性にビビったアメリカ空軍は、1981年に先進戦術戦闘機計画の名の下に、F-15イーグルの後継戦闘機の開発に着手した。これがF-22ラプターのスタート地点となる。
開発には当時のアメリカ主要戦闘機メーカーがすべて参加したが、1986年にロッキード社のYF-22とノースロップ社のYF-23に絞られた。落選したメーカーもそれぞれの思惑で2社のうちどちらかに協力する形となり、さらに4年以上の時間をかけて試作機を開発。最終的にロッキードのYF-22が勝利して、F-22Aラプターが誕生するのである。
最強故に孤独
F-22の凄みは超音速巡航性能とステルス技術に尽きる。超音速巡航(スーパークルーズ)とはアフターバーナー無しで音速を超える推進システムで、F-22はマッハ1.8で超音速巡航が可能である。マッハ2を超えるような戦闘機は他に存在するが、それは燃費度外視のごく短時間の飛行能力であり、平均速度で比較すれば、F-22が圧倒する。またステルス性能とは対空捜索レーダーによる探知を困難にする技術の総称のこと。簡単に言えば、既知のレーダーでは飛行中のF-22を発見するのは基本的に不可能なのだ。さらに、F-22自身のレーダー探知技術が凄すぎて、早期警戒管制機(AWACS)の役割をかなりの程度、肩代わりできてしまうのだから手に負えない。
F-22は1機でF-15Cを7機相手にして優勢と言われるほどの最強の戦闘機である。だが、最強故に、孤独な存在でもあった。仮想敵であるソ連が崩壊した結果、F-22に対抗可能な戦闘機出現の可能性が消え、高性能だけど高価すぎるF-22は米空軍にとって大きな負担になったのだ。結果、複座型のF-22Bと、中距離超音速ステルス爆撃機型のFB-22の開発が中止された。ラプターの調達数も750機から183機に減少し、2011年に最後の機体の生産を終えている。
開かれた第5世代戦闘機の扉
F-22の登場により、第5世代戦闘機の扉が開かれた。F-22より遅れて開発された、同じく第5世代戦闘機のF-35ライトニングIIは、電子戦装備においてはラプターを上回る部分があるが、こちらは「制空戦闘もこなせる万能多用途機」であり、ラプターと同じ土俵に乗せる存在ではない。なぜならF-35は世界中に輸出されているが、F-22はアメリカ空軍単独保有であり、F-22の手の内を知っているのはアメリカ軍だけなのだ。ラプターとは鳥類の頂点捕食者である猛禽類の総称。その名にふさわしく、F-22ラプターは21世紀の戦闘機界の頂点に君臨し続けている。
ハセガワが成し遂げた究極のジェット戦闘機プラモ F-22ラプター
組むだけでこの戦闘機の異常性を楽しむことができるのがハセガワの「1/48 F-22 ラプター」です。表面のディテール、エアインテーク、薄い胴体の中に最大8発ものミサイルを詰め込めるウェポンベイと、見どころ組みどころ満載。F-22の決定版ともいえるプラモなので、ぜひ組んでください。
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F-22 ラプター
●発売元/ハセガワ●6490円、12月21日再生産予定●1/48、約39cm●プラキット