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“赤色の下地”から筆塗り塗装!1/48 ドイツIII号戦車L型とフィギュアを雰囲気よく仕上げる

2022.12.16

筆塗りtribe 月刊ホビージャパン2023年1月号(11月25日発売)

“赤色の下地”から筆塗り塗装!1/48 ドイツIII号戦車L型とフィギュアを雰囲気よく仕上げる

手のひらサイズの戦車模型だからこそ筆塗りで楽しみたい!!

水性アクリル塗料の筆塗りと1/48 タミヤMMはベストカップル!!

 プラモを筆塗りでガンガン楽しんでいるナイスなパイセンたちの作品とテクニックをみんなで読んで、テンションアゲアゲでどんどん筆塗りを楽しんでいこうという連載「筆塗りTRIBE」。今回はタミヤが誇る最高のコレクションサイズ戦車模型「1/48 ミリタリーミニチュア」シリーズから、III号戦車L型とドイツ歩兵セットをお届けします!!
 今回のパイセンは『ウォーハンマー』や小サイズのミニチュアをメリハリある筆塗り塗装で仕上げることを得意とするモデラー・ぷらシバ。彼はもともとAFVも大好き!! 久しぶりの戦車模型製作ということで彼自身もテンションMAX!! 勢いそのままにミニチュアペイントの技法を手のひらサイズの戦車模型にいかんなく発揮してくれました!! 水性アクリル塗料の筆塗りで仕上げられた戦車模型をとくとご覧あれ!!
(構成・文/フミテシ)

今回のパイセン

ぷらシバ/爪に絵も描いちゃうほど筆を巧みに操る! シタデルカラーやファレホという無臭の水性アクリル塗料を使うことで、仕事のお昼休みにペイントを楽しんでいるパイセン。

▲今回はヴィネット仕立てに。III号戦車をバックに歩兵たちが休んでいる場所に入ってきた情景。履帯の轍の位置で、戦車がどう動いてきたかを見る人にイメージさせることができます
▲完成すると手のひらサイズになる1/48 III号戦車L型。足周りは塗りやすいように転輪と履帯をセットにして外せるように、後ハメ加工しました(ロコ組みといいます)
▲フィギュアは装備品も接着して筆で塗っていきます。シタデルカラーやファレホ、アーミーペインターなどは隠蔽力が強いので、はみ出してもリタッチが簡単。だからほとんど組んだままミニチュアを塗装することができます

塗装の準備

▲塗料の食い付きを良くするのと、陰影ある筆塗りを目指すので下地を缶スプレーで吹きます。戦車はオキサイドレッド風な赤を、フィギュアには黒を吹いていきます
▲カラーは水で薄めていきます。水を入れておくフタつきのガラス容器と、吸水タオル&タッパーで自作したウォーターパレットを用意
▲持ち手はウォーハンマーのミニチュアを塗装する時にも使うグリップ付きのものを使用。ガッチリと模型を固定できます
▲ドライヤーを使用して、塗料の乾燥を早めます。効率よく塗るのと、しっかり乾いていればミスも減るのでドライヤーは欠かせません
▲まずは戦車のパーツに赤いスプレーを吹きます。シタデルのメフィストン・レッドのスプレーは明るいオキサイドレッドになります
▲履帯には黒のスプレーをさっと吹き付け。履帯の奥まったディテールに塗料が入っていくので、筆塗り時に黒を塗る手数を減らせるようになります
▲フィギュアには黒のスプレーを吹き付け。ディテールが細かいので、スプレーの吹きすぎには気を付けましょう!!

III号戦車L型塗装開始!!

 

▲複数の色を塗り重ねたグラデーションと、迷彩塗装を施していきます。まずはシタデルカラーのザンドゥリ・ダストを塗っていきます

塗料は少し薄めに希釈しよう

▲濃い塗料をぼてっと塗ると見映えが良くないです。少し薄めに希釈するのがポイントです

筆を叩くようにして塗料を乗せていきます!!

▲下地が透けまくっていてOKです。薄い塗料で、筆を叩くようにして全体を塗っていきます。奥まった部分などを先に塗っていくのがポイントです

 

▲砲塔も同じように。薄い塗料で塗っていくと表面に気泡が出たりします。気泡も筆で叩いたり、筆先で流したりして処理していきましょう
▲ザンドゥリ・ダストが塗り終わりました。かなり暗いブラウンのように見えますね。これがダークイエローの下地になります
▲次の色がメインカラーとなるモルガスト・ボーン。かなり明るめのダークイエローになるので、後から汚し塗装をしても色が暗く沈まないのでオススメです

影の部分はほとんど塗らないくらいのメリハリで!

▲キューポラや防盾の影になる部分は、ザンドゥリ・ダストを残し気味にします。全部塗りつぶしてしまうと下地の意味がなくなります。先ほどのようにポンポンと叩くように塗っていきます

 

▲モルガスト・ボーンを塗り終えた状態です。下地を活かす塗りは完全に隠蔽しないことがポイント。ついつい塗りつぶしたくなってしまいますが我慢です

迷彩を筆塗りチャレンジ!!

▲緑色の迷彩を筆で描いていきます。使用するのはアーミーペインターのコマンドグリーン。明るめのダークグリーンな色味です

 

▲説明書の塗装図を見ながら、筆を動かしていきます。厳密に描くのは難しいですから、イラストになんとなく近く塗ることができれば全く問題ないです

迷彩もうすめた塗料で塗ろう!

▲迷彩も薄めに希釈した塗料で、模型を染める感覚で塗っていきます。塗膜も薄くなり、修正も簡単になります

 

▲筆先を活かして、細く描いていきましょう。形状や太さは後からリタッチで修正できるので、各面の迷彩の形状を大まかに完成させてしまいます

本体色でリタッチ!!

▲迷彩が塗れたら、イラストを見ながら本体色で迷彩の形状を塗りつぶして修正していきます。この工程が迷彩塗装で一番大事ですよ

シェイドでディテールを引き締めます

▲シタデルカラーのスミ入れ塗料「シェイド」を使用。ダークイエローには、セラフィムセピアがとっても相性が良いです

 

▲ディテール部分にチョンチョンと塗料を流していきます。はみ出したら、水を含ませた綿棒ですぐふき取ればきれいになります

ハイライトを描く!

▲パーツの角や頂点に明るい色を置いて、ハイライト表現を施します。アーミーペインターのアリアースを使用します

 

▲塗るというより、チョンチョンと筆先を置いていく感じ。ひと際明るい色のなので、とてもアクセントになります

傷を描いてみよう!!

▲先ほどハイライトを入れた部分に、暗い色をチョンチョンとおいていくと深い傷が入ったように見せることができます。この方法はとても面白いですよ
▲アリアースを塗った箇所に、シタデルのドライアド・バークをチョンチョンと塗ってみます。フチが白く、塗料がはがれたような傷が簡単に表現できます
▲しっかりと下地が活きて透けているので、メリハリある陰影に仕上がっています。傷やハイライトのバランスも絶妙です!! 筆塗りでここまで戦車模型が映えます

1/48スケールらしい雰囲気を楽しむフィギュア塗装

 1/48スケールのフィギュアはとても小さいです。今回は塗りこんで至高の物を目指すのではなく、小ささを活かして手数少なく雰囲気を優先したメリハリある仕上げを目指します。

▲肌から塗っていきます! 肌の下地塗料としてとても良いシタデルカラーのバグマンズ・グロウを塗ります
▲ちょっと薄めに希釈してべた塗りします
▲アーミーペインターのバーバリアンフレッシュを塗ります。これがメインカラーになります
▲目元や口元、頬がこけている部分などは下地色を残していきます
▲アーミーペインターのコープスペイルでハイライトを入れていきましょう
▲頬の膨らんだ部分、鼻先、額など明るくなる部分に少量塗っていきます
▲肌色のグラデーションをまとめるために、シタデルのレイクランド・フレッシュシェイドを顔全体に塗ります
▲目元など一番奥まった部分に、茶に近いアグラックス・アースシェイドをピンポイントで流します
▲完成!! とても小さいフィギュアですが、雰囲気ある仕上がりになりました

軍服を塗ります!!

▲ブラウン系を下地にして、フィールドグレーの影色にしてみます。使用したのは「スティール・レギオン・ドラブ」。黒の下地がうっすら透けるくらいにして全体を塗ります

いったんスミ入れします!!

▲アーミーペインターのミリタリーシェーダーでこの段階でスミ入れ。この後塗るフィールドグレーの色味を沈ませないようにするためです
▲アーミーペインターのアーミーグリーンを塗っていきます。全体に塗るのではなく、服の出っ張った部分をメインに塗っていきます。奥まった部分はそのままにしておきます
▲グリーンを1色置くだけで一気にメリハリあるフィールドグレーになりました
▲最後はさらに明るいコンバットファティーグという色を塗っていきます
▲ヘルメットの上部から頂点はとても明るくなる部分
▲服はシワのディテールがもっとも盛り上がっている部分を狙って塗っていきます
▲陰影がバキッとしたミニチュアペイント的技法で完成しました。この塗りなら、ヴィネットに置いた時に小サイズのフィギュアでも存在感を発揮してくれます。ぜひ参考にしてください

工作好きな母の影響でプラモに触れる

──ぷらシバさんは現在はウォーハンマーなど小さなミニチュアをよく塗られてますよね?
ぷらシバ(以下ぷ):はい。小さいものや手に収まるサイズというのが大好きなんです。それを仕事のお昼休みを活用して、ペタペタと塗っています。

──以前戦車模型を楽しんでいたというので今回作例をお願いしました。改めてぷらシバさんのプラモ遍歴を教えてください。
:母の影響が大きいです。工作が大好きな人でお家の襖とかも切り絵でデコレーションしたりして、僕たちを喜ばせてくれました。プラモも塗料と一緒に買ってくれたんです。それを母と一緒に作って、プラモを作る楽しみを知りました。なんか緑色の謎のロボットを作った気がします。

──素敵なお母さまですね! じゃあずっとプラモに触れてきたんですか?
:中学くらいでいったん卒業しました。僕の田舎はやんちゃなお兄さんたちも多くて、みんなで遊ぶのが楽しくて楽しくて! あと、ちょっと話が戻るのですが……小学生の時の絵を描く授業でちょっとしたトラウマが……。消防車の窓を水色で塗ったら、そんな色じゃないぞ! と先生から注意されたんです。そこから絵に色を塗る、模型に色を塗るということが本当に嫌いになりました。でも絵を描くことは好きだったので、ずっとモノクロの絵ばかり描いていました。色を塗る楽しみを失ったのも、いったんプラモから離れた理由でしょうね。

──今ではこんなに素敵な色を塗れるのに……いったいなんでまた戻ってこれたんですか?
:高校生の時、学校でパトレイバーのイングラムの絵を描いてたんです。白と黒のロボットでちょうど自分の色の無い世界にぴったりでした。でもそれを描いているうちに、白と黒を塗りたくなったんです。学校にエアブラシがあったので、初めて握りました。それが僕の塗装復活の日になったんです。でもプラモではなく、当時はバイクをいじったりするのが好きだったんで、そっちを塗ってました。
 その後大人になって、何気なく読んだ模型誌で見たジェット機や戦車のぼかし塗装のかっこよさにひかれて、プラモを塗ってみようと再開したんです。イングラムを塗った時のようにエアブラシを使っていました。そして細部塗装を筆塗りで。でもこの時、細部塗装の筆塗りとエアブラシの塗装の差がありすぎて、筆塗りをもっと知ろうと思ったんです。その時出会ったのが『ウォーハンマー』と、月刊ホビージャパンでもモデラーとして活躍するてんちよさん(ホビーショップアローズ店長)でした。てんちよさんにシタデルカラーの基本を教えてもらったら、もう楽しくて楽しくてしょうがなくなってしまい、色を揃えたり筆を揃えたりと自分の模型人生がさらに回転していきました。戦車や飛行機に筆塗りを活かそうと思っていたのに、今ではどっぷり『ウォーハンマー』。さまざまな色のある世界を楽しんでいます。そして今回作例を通してまた戦車模型との再会も果たせました。筆や塗料って模型や人を繋いでくれるんだなと、改めて思いました。模型って最高ですね。

1/48 ドイツIII号戦車L型

●発売元/タミヤ●2090円、発売中●1/48、約12.8cm●プラキット


1/48 WWII ドイツ歩兵セット

●発売元/タミヤ●1540円、発売中●1/48、約4cm●プラキット

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ぷらシバ

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