HOME記事スケールモデルWRC6連覇を果たした名車「ランチア デルタ HF インテグラーレ」のビッグスケールモデルが登場。ディテールアップでさらに完成度を高める!

WRC6連覇を果たした名車「ランチア デルタ HF インテグラーレ」のビッグスケールモデルが登場。ディテールアップでさらに完成度を高める!

2022.11.10

ランチアデルタ HF インテグラーレ 16V【イタレリ 1/12】 月刊ホビージャパン2022年12月号(10月25日発売)

 フィアット500でも注目を集めたイタレリの1/12スケールカーモデルに、世界ラリー選手権でマニュファクチャラーズタイトル6連覇を果たした名車、ランチア デルタ HF インテグラーレが完全新規モデルで登場。キットは1989年後半から投入されたインテグラーレ16Vを再現。ボンネット、リアゲート、ドアの開閉はもちろん、インテリアも忠実に再現されたボリュームたっぷりの内容である。今回はこちらのビッグサイズモデルを、1/12スケールといえばこの人!の畠中浩が製作。豪華キットの完成度をさらに高めるディテールアップポイントとともにぜひ製作の参考にしていただきたい。

▲︎キットには1989年後半から投入された16Vが大活躍した1990年シーズンの開幕戦、モンテカルロラリー出場車のカルトグラフ製デカールが付属。今回の作例では優勝車である7号車を選択して製作した

▲16バルブにパワーアップされた直列4気筒ターボエンジンが収まるエンジンルームとエンジン。パイピング用のチューブもキットに付属のものを使用した

▲こちらは製作中のエンジンルーム。完成後に見えなくなりそうな部分まで忠実に再現されているのがお分かりいただけるだろう
▲ナビが使うマイクは再現されていなかったのでプラ材から削り出して自作。コードは焼き鈍した0.2mm真鍮線を0.3mmピンバイスに巻きつけて製作している
▲クリアーパーツとエッチングパーツで構成されたメーターパネルもリアルな仕上がり。メーターの黒い枠はデカールから真鍮線を丸めて塗装したものに変更している
▲リアゲートのダンパー一式は真鍮パイプや真鍮板から新造した
▲リアゲートは0.3mmのプラ板とエポパテを使用して厚みを増加。ただし重くなるのでエポパテは極限まで薄くしているとのこと

▲タイヤのミシュランロゴは付属のデカールは使用せずカッティングマシンで切り出したマスキングシートを使って塗装で仕上げた。デカール使用の場合は塗装で少し汚してやると良いだろう

▲ライト上部のメッシュ部はモールドで再現されているがライトの改造の際に開口し、キット付属のメッシュを貼り付けている。なお、グリルの赤は、赤を塗装してからマスキングして黒という順番が楽とのこと

▲グリル寄りのライトは実際はパネルより奥にあるためこれも再現

▲︎実車のフロントバンパーは若干ずれているため(理由は不明)、バンパー側のホイールアーチ部のエッジを少し削って再現している 
▲︎ワイパーは成型の都合上、太く成型されているので出来る限り削り込んでシャープに。さらにブレードのエッチングパーツも本体にめり込ませて高さを抑えている

▲ルーフダクトはヒンジを真鍮材で自作して開閉可能に。また、実車を参考にダクト部分を掘り下げてルーフとツライチになるように調整している

▲給油口も真鍮版を使って極小ヒンジを自作。開閉式に改造した

▲ブレーキ用のクーリングパイプはストックしていた目の細かいスプリングパイプに変更。取り付けはプラ材を中に仕込んでバンパー側に差し込んでいる
▲塗装した内装パーツを組み付けた状態。シートベルトの各部の長さは、記事内下部の本文中で畠中氏が詳しく解説しているので製作の際の参考にしていただきたい

■ボディの製作
 ボディに限らないのですが全体的にプラが柔らかいので加工が楽な反面、強度的に不安があるので各パーツの取り扱いには充分注意しましょう。
 まずはボディ本体から。ボンネット、ドア、リアゲートが開閉式になっているのでタイトに設計されているこれらの隙間を塗膜の厚みぶん、調整します。この時、シャシーにエンジン部の隔壁とダッシュボードを仮組みし、ボディを被せた状態で進めるとボディが歪まないので確実に調整出来るでしょう。また、各ヒンジ部とドアの内装は接着するようになっていますが、作例ではより精度を確保するためすべて極小ビス固定式に加工。それからルーフのダクト部分。ここはボディに乗せる構造になっていますが実車はツライチのようなので一段掘り下げてボディに埋め込んでおきました。ちなみにダクト部分は真鍮材でヒンジを製作、開閉式にしています。

■内装の製作 
 パーツの合いもしっかりしているので特に問題なく組み立てられる内容でした。足りないディテールもありますが、そこは各自で好きなだけどうぞ(笑)。エンジン部の隔壁はダッシュボードと合わせてボディの前後位置を決める部分でもあるので、事前にしっかりと固定してから塗装に入ったほうがいいです。メーターはエッチングパーツとクリアーパーツを組み合わせるなどしてリアルに再現出来ますが、メーターのリングとして貼る黒い枠のデカールは少々寸法が合わなかったので、真鍮線を丸めて黒塗装した物を貼っておきました。クリアーパーツはデカールの上に直接貼ることになるのですが、デカールを貼り付けて乾燥してからUVレジンを少量垂らし、乗せるように固定しました。固める前なら修正も楽ですし気泡もなくきれいに固定できるのでおすすめです。それからシートベルト。ちょっと説明書が読み取り難かったのでマスキングテープをリボン代わりにして組み立ててみたのですが、Aが50mm、125mm、45mm。Bが50mm、105mm、60mm。Cが30mm、60mm。Dが40mmでカットすると残りが210mmになります。この状態で糊しろとして指定の10mmを取って組み立てると作例の雰囲気になります。210mm余るので好みのバランスにしたい時は長さの調整が可能です。シートの裏はケブラーのデカールが用意されています。自分は上から攻めて行ったのですがもしかすると下から貼り始めたほうが隙間なく貼れるかもしれません。ただ、ありがたいことに予備のケブラーデカールが大量に付属しているので修正は簡単ですね。

■エンジン部
 エンジンも必要最低限のパーツでしっかり再現されています。パイピング用のチューブも付属していますが、作例ではあえてそのまま使用したシルバーのチューブは実車で言うところのメッシュホースなので、タミヤのメッシュパイプなどに交換しても良いですね。そうそう、マフラーのエンドパイプですが、キットのパーツは抜き勾配の都合で先端が細かったためプラパイプで作り直しました。微妙な太さの違いですが見た目の雰囲気はかなり変わります。

■塗装など
 タミヤのサフで仕上げた後、まずはホワイトを塗装します。レーシングカーなどは真っ白よりも少しだけ黒や黄色などで濁らせた白で塗装すると、落ち着いた実物らしい雰囲気に仕上がります。マルティニのラインは赤を塗装で仕上げるためマスキング用の型紙が付属していますが、位置関係がちょっと難しいところもあるのでラインのデカールをコピー、切り出して確認しながら進めると良いでしょう。また、デカールと塗り分けが重なるところは塗り分け部分の段差が浮き出てしまうので、デカール貼りの前に段差ならしが必要です。なので、デカールを剥がしてしまうリスクがありますが個人的には、デカールを貼ってからクリアーを1発塗装してから境目をマスキングして塗り分けるほうが楽に感じました。この車はシルバー塗装が多いのでただ塗ってしまうと単一になりすぎます。色指定は参考程度にして、例えばシャシーを明るいシルバーにしたのならサスアームは暗いシルバーにするなど変化を加えたほうがより立体的に再現出来ると思います。シャシー裏は単調になりそうだったのでハードシンナーを塗りつけて凸凹を追加、変化をつけています。マッドフラップはモンテの映像を見るとリアにしか付いていないようなのでそれに合わせました。キットでは金属板で用意されていますが、作例では赤のカッティングシートを3枚ほど重ねて厚みを作ったもので再現してあります。

■最後に
 完成すると思ったより大きい車体に満足度も高く、ちょっと苦労する部分もありますが良いキットですね。92年のデルタも欲しくなりました(笑)。

イタレリ 1/12スケール プラスチックキット

ランチア デルタ HF インテグラーレ 16V

製作・文/畠中浩(ももふく模形舎)

ランチア デルタ HF インテグラーレ 16V
●発売元/イタレリ、販売元/タミヤ●31900円、発売中●1/12、約32.6cm●プラキット

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畠中浩(ハタナカヒロシ)

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