『クラッシャージョウ』の脇役メカ「ハンター」を当時のキットを使って4機製作【タカラ 海賊ハンターシリーズ後編】
2022.10.23サンライズ・メカニック列伝 第45回 ハンターシリーズ後編【タカラ】 月刊ホビージャパン2022年11月号(9月24日発売)
ハンターシリーズ 後編(『クラッシャージョウ』より)
サンライズ作品に登場する数多のメカを模型作例で再現し、改めてその魅力を探る連載企画「サンライズ・メカニック列伝」。前回に引き続き、『クラッシャージョウ』世界で拠点警備に使用される対人用無人攻撃メカ「ハンター」の作例をお届けしよう!
宇宙海賊マーフィ・パイレーツは、惑星ノルンをめぐる第2衛星ミナウスのベゴニアス島に、ガードマンとして多数のハンターを配備。劇中ではマーフィ・タウンや湿地帯を舞台に、ジョウチームと無数のハンターが激戦を繰り広げている。
タカラ「海賊ハンターシリーズ」の作例は田仲正樹が私物を投入、劇場版に登場する機種のうち、新規に「ディスクハウンド」と「オストール」、さらに「スケートボーイ」「クローラ」のバリエーション2種の計4体を製作。いずれもキットの良好なフォルムを最大限に活かし、可動部のブラッシュアップと細部のディテールアップによって、その完成度をさらに引き上げたものである。製作に役立つアイデアも数多く投入された、「後編」の作例群をご覧いただこう。
ディスクハウンド
ディスクハウンド
作例はキットの良好なフォルムはそのままに、金属素材やクリアーパーツで細部をディテールアップして完成度をより引き上げたもの。電子アイは適当な透明ランナーのタグを切り出したものに交換し、その周辺は分割位置を変更しシャープ化。サーチライトはバンダイミストロットコレクション付属のミストロット用レンズから切り出したものでクリアー化。レーザーガンは真鍮線を入れて破損対策し、真鍮パイプでディテールアップ。アンテナは洋白線に交換。キットでは省略されている後方ディテールは市販パーツの組み合わせで再現した。また立ちポーズが硬く単調なものになるのを避けるため、ヒザ関節をボールジョイント化して脚部に若干の表情を与えている
タカラ 1/25スケール プラスチックキット
ホバークラフト型ハンター ディスクハウンド
製作・文/田仲正樹
スケートボーイ(河森正治氏イラストイメージカラー)
スケートボーイ(河森正治氏イラストイメージカラー)
劇中に登場する、設定画とは各部の形状や構成が明確に異なる機体をモチーフに製作した2機目のスケートボーイ作例。脚の付け根と足首にボールジョイントを入れて接地性を向上。胴体下面を平面に作り直し、電子アイの形状をキットの五角形から長方形に変更した。レーザーガン右のセンサーと下部インテークは外した。エンジンは劇中風に取り付け位置を上へ移動させ、後部はより丸みを帯びた形状へ変更。前脚は後ろ脚に近い形状と構成に変更している。後脚はブロックごとに分解し、各部をランナーで延長・スリム化しながら再接着した。キットのフォルムに近いノーマルカラー作例と比較すると、全体のバランスもかなり変更されていることがわかるだろう
タカラ 1/20スケール プラスチックキット
水すまし型ハンター スケートボーイ
製作・文/田仲正樹
クローラ(河森正治氏イラストイメージカラー)
クローラ(河森正治氏イラストイメージカラー)
1台目の作例と同様、キットの良好なフォルムとディテールを活かして製作した2台目のクローラ。センサーユニットと砲塔の後ハメ化、アンテナの洋白線への置き換え、3連装マイクロミサイルランチャーの真鍮線による補強、砲塔後部排熱口周辺の隙の軽減等の基本工作は1台目作例と同様。タイヤの合わせ目はその処理に大変な手間暇がかかるため、今回は敢えて微妙にずらして接着し、ディテールに見立てて大幅に省力化。月刊ホビージャパン2021年9月号の1/100アッグ(製作/林哲平)におけるドリルの工作を応用した処理である。パターンデザインが設定画と異なるものとなったが、劇中の短い登場シーンでは岩に隠れて足周りがほとんど見えないこともあり、それほど気にならないだろう
タカラ 1/48スケール プラスチックキット
車輌走行型ハンター クローラ
製作・文/田仲正樹
オストール
オストール
レーザーガン基部のユニットはやや大きく感じたので、前後左右上下に1mm強ずつ幅を詰めて小型化し、胴体にポリキャップで接続。レーザー銃身は後端に鉄製のビスを取り付け、基部内のネオジム磁石へ接続。下部吸気口はブロック玩具を使い後ハメ化。ミサイルランチャーはボールジョイントの受け部分をポリ化して保持力を上げている。ヒザは試作・検討の末に固定したが、股関節と足首関節は表情を出せるようにボールジョイント化。ヒザのコードはリード線に、アンテナは洋白線にそれぞれ交換してディテールアップした
タカラ 1/32スケール プラスチックキット
ダチョウ型ハンター オストール
製作・文/田仲正樹
■ハンター!!(オーディオ専門店のCM風に)
左手の中指をゆっくりと折り曲げる訓練を欠かさないサンライズメカファンのみなさん、今回はタカラ「海賊ハンターシリーズ」作例の後半戦です。前回の作例と合わせて5種が揃ったわけですが、「日東製キット(スケールアニメコレクション)の作例も載ると予想していたのに…」という方もいらっしゃるかと思います。もちろんそちらも製作中ですので、どうか気長にお待ちください。
■1/25ディスクハウンド
フォルムは何の問題もないので、レーザーガン、電子アイ、サーチライト、アンテナ等の細部をディテールアップし、より完成度を高めています。省略されている後方用のセンサー(?)は、市販パーツを組み合わせたものを埋めこんで再現。脚部の関節(ヒザというか足首というか…)はボールジョイント化すると、立ちポーズの硬さをなくすことができます。
本体色は資料ごとに紫に見えたり青に見えたりと一定していないので、特に何も見ずに夜のジャングルにいるイメージで青系のグレーを調色し、塗装しています。
■1/32オストール
各部の梨地加工とパーティングライン処理の大変さに目をつぶれば、各パーツは充分にシャープでフォルムもまったく問題ない良作なのですが、股関節が固定されているのに加えてヒザ関節がすぐに緩むため、立たせにくいのが難点です。作例は股関節と足首関節をボールジョイント化し、ヒザ関節は固定。レーザーガン基部のユニットはやや大きく感じたので、前後左右の幅を詰めて小型化しました。
塗装は組立説明書1ページ目の、成型色よりも紫が強いカラー画稿を参考にしています。本体色はラースラベンダーにラースパープル、コバルトブルー、純色バイオレットを各少量。電子アイ周辺、吸気口、ミサイルランチャー前部は自作の青系グレーです(なお、作例はスネのセンサー状ディテールをオレンジに塗るのを忘れていますので、次の機会までに必ず塗っておきます。申し訳ございません)。
■1/20スケートボーイ
劇中、前脚の形状が設定画と異なる他、胴体下部インテークやレーザーガン右側のセンサーユニットがない機体が確認できます。作例はこれをモチーフに製作したもので、電子アイは五角形から長方形に変更。脚部の付け根に加えて、足首の関節もボールジョイント化して接地させやすくしています。
塗装は講談社刊「クラッシャージョウ メカニックアート集」に掲載の、河森正治氏のカラーイラストを参考に。マーフィ・パイレーツのメカらしくするために、本体の茶色を大型戦闘艇の色に似せてみました。
■1/48クローラ
このキットはタイヤの合わせ目を消すのが面倒なのですが、設定にこだわらず、溝を作らないようにずらして接着することでその手間を軽減できますよ…というのをお伝えしたくて2両目を製作しました。
塗装は「メカニックアート集」の河森氏のイラストを見ながら黄緑とオレンジで。こちらは海賊戦闘機シレーンの緑に似せることで、マーフィ・パイレーツらしさを出そうとしています。サンドカラーやグレーで塗っても格好良さそうですね。
次回は地上用量産型メカの作例でお会いしましょう。
©高千穂&スタジオぬえ・サンライズ
田仲正樹(タナカマサキ)
「コワルスキー大佐が生きていたことがわかったので、次は再び眠りについていたマチュアが目覚める話が読みたい」とのこと。