「MG ガンダムEz8」をプロポーションを中心に徹底改修して理想のEz8像に!
「HJメカニクス13」より
2022.09.16
HJメカニクス13
ワンオフの現地改修機
好みのスタイルを目指して全身を徹底改修
アプサラスⅡとの激闘で大破したシローの陸戦型ガンダムを大規模改修した機体がガンダムEz8だ。機体名称の「Ez8(イージーエイト)」は「Extra-zero-8」の略で、コジマ大隊・第08MS小隊の特別機であることを意味する。陸戦型ガンダムで使いづらかった胸部バルカン砲やマルチ・ランチャーをオミット、密林での運用で破損することが多かったV字型アンテナを廃し、チンガードを新たに設置するなど、より実戦に則した改良が目を惹く。
MGキットは機体同様に陸戦型ガンダムがベース。それゆえにEz8単体としての格好良さが少し損なわれているのでは、と感じる部分も。作例ではこのあたりを解消すべく全身にわたり徹底改修。NAOKIが理想とするEz8像に近づけている。
ラサ基地攻防戦では、スパイ容疑をかけられたシローが率いる08小隊は主力部隊ではなく、鉱山に隣接する都市から基地を砲撃する量産型ガンタンクを護衛する後方任務に就いていた。楽な任務に見えたが、そこにグフ・カスタムを駆るノリスが現れ状況は一変する…。
実戦経験が生んだ実用性、現地改修のカスタムメイドMS
ガンダムEz8は、これまでのコジマ大隊および08小隊の実戦経験が活かされた、より実戦向きな機体に生まれ変わっている。
さて今回はMGガンダムEz8を製作。ご存じのようにベースキットの陸戦型ガンダムは発売から20年近く経ってますが、プレーンな形状、設計なので、当時から非常に弄りやすく、他のロボットを作る際の素体に使用したのを含め、何度作ったことか。ともするとMGの中で一番数を作ったキットなんじゃないか? ってぐらいに馴染みのあるキットです。そのバリエーションキットであるEz8ですが、作中設定どおり陸戦型ガンダムのフレームをうまく活かす形で構成されていますが、逆に言うとベースキットの問題点や、ベースキットがあるがゆえに引っ張られてしまっている部分もあるとも言えます。そんなわけで今回は、自分の中にあるEz8というモビルスーツ単体でのカッコ良さを追求するため、プロポーション変更を中心に手を入れてみました。それでは各部解説です。
■胴体
まず基点となる胴体から。一見して改修され、かつ開閉ギミックのある胸部の大きさが目立ちます。ここのバランスを変更するため胸部フレームを左右で3分割して幅を切り詰め、合わせて外装の左右幅も切り詰めています。
胸部が大きく見える一因として、相対的に腰部のボリュームが不足していると思えたのでここも手を入れます。
股間中央部外装を真ん中でカット、プラ板で下方に延長してボリュームアップ。フロントアーマーも下方にプラ板で整形、大型化しています。逆にサイドアーマーはオフセット気味に設置され過ぎていて上半身との繋がりの悪さが気になります。そこで腰部フレームを左右に3分割して幅を詰めています。これでサイドアーマーを胴体側に寄せられたので胴体自体のまとまりは良くなったのですが、接続部を胴体側に寄せたことでサイドアーマーと太モモが干渉してしまい、サイドアーマーがハの字に開いた状態になってしまいます。そこでサイドアーマー自体の中央~下部分の厚みを胴体側面から薄くすることで、太モモと干渉するタイミングをずらし、不必要にハの字に開いてしまうことを防いでいます。さらに太モモの干渉に関してですが、後方へのハの字開きに股間フレーム後部が干渉するので裏打ち後、股間フレーム後部を削っています。あとプロポーションとは関係ないのですが、腹・腰部がボールジョイント接続で安定しないので、5mm系の軸とポリキャップ可動に置き換えています。
■頭部
少し大きく感じますが、大きく感じる原因はアウトラインよりはフェイス部分の見え方に原因があるかなと思い手を入れていきます。
■腕部
可動クリアランスの確保のためか、上・前腕の隙間が大きく、そのせいでヒジ関節が長く見えて間伸びした印象を受けます。そこで前腕上下外装パーツの間にプラ板を挟んで前腕外装を上部に延長。これで上・前腕の隙間が小さくなりまとまった印象になったと思います。
■脚部
太モモ、ヒザ下、靴部、それぞれの相対バランスがチグハグな印象でまとまりに欠け、それゆえ貧弱な印象を受けるので調整します。まず太モモをフレーム・外装ともにプラ板で中央から幅増し。その際上部の股関節ボールジョイント受け部分は切り離しておき、内側にずらして設置します。そうすることで脚をハの字に回転させる際の股間フレームと太モモの干渉を減らし可動範囲を広げています。
上部にあるグレーのディテールですが、不必要に太モモを短く見せているように感じるので、外装の切り欠きを小さくして見え方を調整しています。靴部は逆にボリュームダウン。つま先が長過ぎるように感じたので、先端を短くしてプラ材で整形。横幅も前方に向けてテーパーがかかるように削り込んでいます。甲は先述の工作で縦横比が変わってしまいそのままだと高く感じるので、底面方向からカットして高さを抑えています。
■塗装
塗装は基本塗装後、本体色の印象が変わらない程度にエナメル塗料のデザートイエロー系でウォッシングした後、ダークグレーを中心にNAZCAのスタンピングスポンジでチッピングを施しています。エッジなどに見られる鈍い金属的な光沢はMIGピグメントのガンメタルを使用。綿棒などで少量をこすりつけていますが、他では表現できない金属的な表現効果が簡単に得られるのでおすすめです。最後に足元を中心にパステルを塗布して完成です。
このぐらいの時期のキットは手を入れやすくて、最新のキットとは違う楽しさがあって良いです。それではまた!
BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット“マスターグレード”
RX-79[G]Ez-8 ガンダムEz8
製作・文/NAOKI
こちらの「 ガンダムEz8 」 は先日発売された「HJメカニクス13」に掲載中!
今号の特集は「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」となっており、登場モビルスーツやそれ以外のメカの魅力を十二分にお届けしております。マスターグレード、ハイグレードのガンプラに加え、U.C.HARD GRAPHやROBOT魂ver.A.N.I.M.E.などの徹底作例やディオラマ作品をたっぷりとご覧になってみてください!
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NAOKI(ナオキ)
メカニックデザイン、造形、造形プロデュースなどさまざまフィールドで活躍するマルチクリエイター。