HOME記事キャラクターモデル『クラッシャージョウ』の脇役メカ「ハンター」を当時のキットを使って4機製作【タカラ 海賊ハンターシリーズ】

『クラッシャージョウ』の脇役メカ「ハンター」を当時のキットを使って4機製作【タカラ 海賊ハンターシリーズ】

2022.09.18

サンライズ・メカニック列伝 第44回ハンターシリーズ前編【タカラ】 月刊ホビージャパン2022年10月号(8月25日発売)

『クラッシャージョウ』の脇役メカ「ハンター」を当時のキットを使って4機製作【タカラ 海賊ハンターシリーズ】

ハンターシリーズ 前編(『クラッシャージョウ』より)

 サンライズ作品に登場する数多のメカを模型作例で再現し、改めてその魅力を探る連載企画「サンライズ・メカニック列伝」。今回から2回に分けて、『クラッシャージョウ』から、通好みの脇役メカ「ハンター」5種の作例をお届けしよう!
 ハンターとは拠点警備に使用される対人用無人攻撃メカの総称である。自動コントロールで動き、認識票を持たない侵入者を発見するとレーザーやミサイルで無差別に攻撃する。劇中ではマーフィ・パイレーツが本拠地・ラゴール第二惑星ミナウスにあるベゴニアス島のガードマンとして使用。また、キリウス人民共和国の首都ウーベンでは暴徒鎮圧用として治安部隊に配備されている。
 タカラ「海賊ハンターシリーズ」の作例は複数存在する機種の中から、今回は「スケートボーイ」「クローラ」「ガドフライ」の3機種4体を田仲正樹が私物を投入して製作。いずれもキットの良好なフォルムを最大限に活かしながら、細部をディテールアップして完成度をさらに引き上げたもの。月刊ホビージャパンでは初となるハンター作例、その「前編」をご覧いただこう。


 スケートボーイ

スケートボーイ
 フォルムのまとまりはよく本体のディテールもシャープだが、脚部の太さや関節のディテールの甘さ等の気になる点も散見される。作例は脚部を延長してより劇中に近い華奢な形状に変えるとともに、関節周りをシャープ化して全体の印象を変えている。本体は先端の電子アイ周辺をいったん切り取り、整形後に再接着してシャープ化。ダクトファンエンジンは基部にパイプを埋めこみ後ハメ化。下部インテークはフチの肉厚が一定になっていないのでエポパテで修正。脚の付け根には小型のボールジョイントを入れ、後ハメ化を兼ねた可動化を行った。レーザーガンの銃身は「構造上、工作中にほぼ折れる」とのことで、真鍮パイプに置き換えて修復した。前脚は設定画を参考にエポパテで有機的なラインに調整。後脚はブロックごとに分割し、太モモを延長しながら再接着。一体化されたヒザ関節はいったん切り離して欠損部分を補い整形した後、市販のリベットパーツを間に挟んで繫ぎ直し実感を高めた

タカラ 1/20スケール プラスチックキット

水すまし型ハンター スケートボーイ

製作・文/田仲正樹

 クローラ

クローラ
 良好なフォルムと充分にシャープなモールドを最大限に活かして製作。各部の後ハメ工作を行い、アンテナを交換した以外はほぼストレート組みである。劇中の出番が限りなく少ないため、設定に拘らず装備やカラーリングを変更して楽しむのも有りだろう。前部センサーユニットは基部にポリキャップを入れて後ハメ化し、破損対策にアンテナを洋白線に置き換え。3連装マイクロミサイルランチャーは真鍮線で補強しながら設定に近い角度で固定。後部排熱口周辺の隙はプラ板とエポパテで塞ぎ軽減した。砲塔の回転機構はゆるみやすいため、後ハメ化を兼ねて内径4mmのポリキャップを仕込み保持力を上げている。タイヤは上手く作ればコロ走行が可能だが、作例は塗装のしやすさを優先し固定。パーティングラインや合わせ目は目立てヤスリを使って消しているが、「くれぐれもほどほどに」とのこと

タカラ 1/48スケール プラスチックキット

車輌走行型ハンター クローラ

製作・文/田仲正樹

 ガドフライ

ガドフライ
 タカラ製ハンター5種の中でももっとも作りやすく完成度が高いため、作例もアンテナ等の細部をディテールアップしたのみ。劇中ではクローラに次いで活躍が少ないので、こちらも自分なりのガドフライを自由に製作して楽しむのもよいだろう。電子アイは適当な透明ランナーのタグを切り出したものを市販のノズルパーツにはめ込みクリアー化。周囲は劇中の作画に近い形状に作り直し。その両脇のセンサー状のモールドは劇中では本体色だが、模型的な見映えを考慮して市販のレンズ状パーツをはめ込んだ。アンテナは破損防止とシャープ化を兼ねて洋白線で自作したものに交換。下部レーザーガンは基部にポリキャップを仕込み後ハメ化。側面のセンサーはドリルで開口し市販のレンズパーツをはめ込んだ。キットの展示用スタンドはやや安定感に乏しくアームの形状も主張が強いため、レーザーガン基部の下面に3mmのプラ棒を固定してスタンドに差し込むシンプルな形に変更した

 ドフラ(キリウス人民共和国軍 治安部隊) 

ガドフライ(キリウス人民共和国軍 治安部隊)
 OVA『クラッシャージョウ 氷結監獄の罠』に1カットだけ登場する、キリウス軍の黄色いガドフライももちろん(?)製作。機体上面にはドーム状のユニットを追加。本編の作画では描かれていない電子アイ両脇のセンサーはカバーかシャッターで覆われ、下部アンテナは市街地を飛ぶために収納されていると想定した。レーザーガン側面のセンサー基部も、本編の作画に準じて角ばった形に変更している

タカラ 1/16スケール プラスチックキット

飛行型ハンター ガドフライ

製作・文/田仲正樹

■ハンター! (レコード店のCM風に)
 まねき猫が好きなサンライズメカファンのみなさんは、ハセガワ『クラッシャージョウ』シリーズの完成品を眺めながら「メインメカがこれだけ揃ったのはもちろん嬉しいけど、本当は一緒にハンターも並べたいんだよなあ…」と思っているはず。どれも形は魅力的ですが、ほぼ爆発するために出てくるような脇役中の脇役なので、ニューキット登場の可能性は高くないでしょう。そこで今回は、映画上映当時に定価300円(当時のメーカー希望小売価格)で発売されたタカラの「海賊ハンターシリーズ」を製作しました。ストレート組みでも格好よく出来上がる秀作揃いですので、キットをお持ちの方はぜひ、本記事を参考にして作ってみてください。なお、キット化されていないクモ型ハンター・アラクネは別の機会にスクラッチしますので気長にお待ちいただければ幸いです。

■1/20スケートボーイ
 フォルム、ディテールともに上手くまとまっています。工作や塗装を進めやすくするため、ふたつのダクトファンエンジンユニットと脚部を後ハメ加工するだけでもよいでしょう。ただ、劇中と比べるとどうしても脚が太く感じるのと(もちろん破損を防ぐためなのですが)、成型上の都合で一体化されたヒザ関節が気になります。作例は前脚のラインを変更、後脚はヒザ周辺をブロックごとに切り離し、つなぎ直すと同時に太モモ部分を延長。脚が細く見えるようにしていますが、後脚の工作は予想以上に難しく失敗もしやすいのであまりおすすめしません。

■1/48クローラ
 猛烈に出番が少ないクローラのフォルムもたいへん良好。各部のモールドがシャープで小気味よく、この直後の『ボトムズ』シリーズを彷彿させます。砲塔後部の空間が気になる場合は適当に埋めて、謎の円盤UFOみたいな中央の部分は、オレンジ部の周囲をスジ彫りし直しておきましょう。なお、タイヤの合わせ目消しを完璧にやろうとすると、代わりに人生における大事な何かを擦り減らすのでほどほどに。
 本体色はクールホワイト+フレッシュミントグリーンにコバルトブルー、オレンジ、純色バイオレット等々を各少量入れた緑系の青。グレーはスケートボーイの脚の色に白を少量。タイヤは黒に本体色少量。足周りに砂埃の色を少量入れたツヤ消しクリアーを吹いています。

■1/16ガドフライ
 これも非常に出来がよく、プラ製のアンテナを金属に交換するだけでも充分に立派なガドフライが完成します。作例は電子アイ周辺の面を整え、スタンドへ接続するためのアームをシンプルなものに変更。
 本体色は自作のミディアムブルー、ダクトはオレンジ、レーザーが自作の赤系グレー。
 おまけ(?)のキリウス軍のものは本体色がビビッドオレンジ+モデナイエロー1、ダクトがハーマンレッド、レーザーが自作の茶系グレー。
 次回はハンターシリーズの後半戦です。

©高千穂&スタジオぬえ・サンライズ

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田仲正樹(タナカマサキ)

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