エアブラシ塗装に必要な「塗装ブース」何を選ぶ? 簡易的なものから本格的なものまで段階に分けてご紹介!【工具&マテリアルガイド】
2023.03.29スプレー、エアブラシでの塗装に必要な塗装環境アイテム 模型作りが楽しくなる工具&マテリアルガイド(2023年2月21日発売)
月刊ホビージャパン2023年5月号 好評発売中! エアブラシ特集に合わせてHJ Web掲載のエアブラシ記事をピックアップ。特集号と一緒にチェックしよう!
スプレー、エアブラシでの塗装に必要な塗装環境アイテム
塗料や塗装ツールと同じくらい大切なのが、塗装場所の環境作りです。缶スプレーやエアブラシでの塗装では周囲にミスト状に飛び散る塗料の飛沫の対策をしなければなりません。また有機溶剤が使用されているラッカー塗料を使用する場合は、マスクの着用はもちろん、作業中の臭いを外に逃がす対策(換気)が必要となります。水性塗料といえ溶剤が含まれているものは換気が必須。さりとて屋外でスプレーを使うと風や埃でうまく塗装できない場合が多い…。
そこで登場するのが塗装ブースです。飛沫対策だけの簡易的なものから排気の機能を備えたものまで種類も価格もさまざまです。自分の製作環境と予算に合わせて選んでみましょう。
誰でも作れる簡易ブース
自作塗装ブース
自作塗装ブース
●段ボールで自作
まずはダンボールでの自作。使いやすい大きさを選んで製作しましょう。くしゃくしゃにした紙を箱の中に入れておけば、紙が飛び散るミストをキャッチしてくれます。水性塗料であれば臭いがほとんど気にならないので、そのまま室内で使用しても問題ないでしょう。ラッカー系の塗料を室内で使用する場合は換気機能が必要になってくるので不得手。風くらいなら避けることができるので屋外で使用もよいかもしれません。
ご機嫌塗装ブース
ご機嫌塗装ブース
●発売元/ファインモールド●2200円
ダンボール製の組み立て式塗装ブース。幅と高さが35cm、奥行が39cmなのであまり場所を取りません。箱の内側のハニカムフィルターがミストを吸着して飛散を防ぎます。水性塗料ならばこれで充分な性能といえるでしょう。ダンボールは加工が容易なので設置場所のサイズに合わせたサイズ変更や、ファンとダクトホースをブース背面に取り付け排気機能をプラスすることも可能です。
ダンボール製の組み立て式塗装ブース。幅と高さが35cm、奥行が39cmなのであまり場所を取りません。箱の内側のハニカムフィルターがミストを吸着して飛散を防ぎます。水性塗料ならばこれで充分な性能といえるでしょう。ダンボールは加工が容易なので設置場所のサイズに合わせたサイズ変更や、ファンとダクトホースをブース背面に取り付け排気機能をプラスすることも可能です。
排気機能の付いた塗装ブース
臭いの強い塗料を使用する際には、排気機能付きの塗装ブースを使うのがオススメです。ファンでブース内を吸気して、塗料のミストと臭いを外に排出する仕組みで、ミストの飛散と臭いの問題を同時に解決してくれます。
ほとんどの製品がフィルターとファン、そしてダクトホースがセットになっており、設置するには電源を確保しながらダクトホースを室外に出す必要があるので、設置場所が限られる設備です。また、排気能力が落ちるのでフィルターを定期的に交換する必要があります。フィルターを使わずにブースに直接塗装すると、ファンに塗料のミストが付着して性能が下がったり、ダクトホースの出口から排気される空気に塗料が入り込み周囲を汚してしまいます。
設置やメンテナンスの手間を考えると導入を躊躇してしまうかもしれませんが、塗装ブースを使わないと塗料のミストで部屋が汚れたり、有機溶剤を吸い込んでしまうかもしれません。代表的な機種を紹介しますので導入の参考にしてください。
Mr.スーパーブースコンパクト
●発売元/GSIクレオス●19800円
もっともベーシックでコンパクトな塗装ブースです。ハニカムフィルターとペーパーフィルターの2種類のフィルターでミストを吸着し、シロッコファンで臭いを排出します。設置面積が小さいので置き場所には困りませんが、ブースの手前にも塗料が飛散するので、設置したらブースの手前もしっかり養生しておきましょう。真夜中でも使えるほど音は静かですが、その分噴霧量の多い缶スプレー塗装や高圧のエアブラシ塗装ではで少し排気力が足りない印象です。しかし、通常のエアブラシ塗装であればこれで充分でしょう。延長用のダクトホースや出口が細くなった排気口アタッチメントなども用意されるなど、排気用のオプションが充実しているのもよいところです。
レッドサイクロンエル
●発売元/エアテックス●20350円
プロペラファンとスポンジのフィルターを組み合わせた塗装ブースです。その最大に特徴は、使用しないときはコンパクトに折りたため、使うときだけ展開する、そんな収納性の高さです。収納時は高さ24cm、幅42cm、奥行59cmの取っ手がついた長方形の箱ですが、展開して組み立てることで高さ33cm、幅42cm、奥行26cmと大きく形が変わります。吸引力もあり、奥行きもあるのでブース内でしっかり塗料のミストをキャッチしてくれます。またブース内にLEDの照明を備えているので、作業中の手元を明るく照らしてくれます。
スプレーワーク ペインティングブースⅡ
シロッコファンとスポンジのフィルターを組み合わせた塗装ブースです。最大の特徴は、パネルの中央部ではなく外周部にのみスリット状の吸気口を配置することでブースの全面で安定した吸引を実現していることでしょう。また中心部に近いほど通過するフィルターの数が多い(最大4枚)ので、ミストもしっかりキャッチしてくれます。
そして、より強い吸引力を求める人のためにファンがふたつになったツインファンタイプもラインナップされています。圧力の高い缶スプレーの吹き付けでも吸い漏らしにくい素晴らしい吸引力で、しっかりとミストや臭気を吸い取ってくれます。音が少し大きくなるのと、必要な電源と排気口が単純に倍になってしまいますが、それを補ってあまりある吸気能力が魅力です。
ネロブース
ネロブース
●発売元/ガットワークス●53900円
総金属製で頑丈、そしてブース上部に配置されたファンユニットに、業務用の強力なシロッコファンを搭載した、非常に排気能力の高い塗装ブースです。缶スプレーを連続で吹いても臭気やミストが気になりません。減圧室内でミストに含まれる有機溶剤を乾燥させてから排出するので、フィルターでファンを保護する必要がなく、フィルターレスになっていますが、自作でフィルターを設置することもできます。強力な分、サイズも重量も使う人を選ぶブースと言えるかもしれません。
通常サイズの他に、サイズを抑えたミニもラインナップ。さらにガットワークスのホームページでは、特注で大型塗装ブースの受注もしています。価格もサイズも特注ならではのものになりますが、塗装ブースのひとつの到達点といえるでしょう。
まとめ
排気できる塗装ブースはそれなりの設置面積と、電源や排気出口の確保などの条件をクリアする必要がありますが、一度設置すれば“いつでも塗装できる”環境になり、塗装したい気持ちを高めてくれます。自分の使う塗料や設置場所と相談しながら、塗装環境を整えていきましょう。
模型が作りたくなる“工具&マテリアル”How to本!
模型製作において数えきれないほど種類がある“工具&マテリアル”に焦点を当て、製作で役立つアイテムはもちろん、変わった使い方や作品表現ができるアイテムまで幅広くご紹介。各アイテムの使用方法、実際の模型製作における活用方法を写真とともに掲載し、基本から応用までをわかりやすく解説。
模型のジャンル問わず「こんな工具があったらこの模型を作りたい」という新しい視点から、模型を作りたくなる内容満載でお届けします。