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トップガンにも登場!「ポルシェ911」とは?~いまさら聞けないすごいヤツ~【トップガン・マーヴェリック】

2022.08.17

ポルシェ911 月刊ホビージャパン2022年9月号(7月25日発売)

トップガンにも登場!「ポルシェ911」とは?~いまさら聞けないすごいヤツ~【トップガン・マーヴェリック】

 ポルシェ911 

イラスト/大森記詩
撮影/三環しおん

 戦車、飛行機、船、車、バイク、城などなど、世の中のさまざまなモチーフがプラモになっています。その中に、「名前は知ってるけどどんなものなんだろう?」「いまさら聞くのも恥ずかしいなぁ……」なんて思ってしまうものが多数あると思います。
 この「いまさら聞けないすごいヤツ」では、毎回1テーマのド定番モチーフを取り上げます。サクッと読める解説とイラスト、オススメのキットを織り交ぜて、その魅力に迫って行きましょう。毎回読むたびに、模型店の棚にある素敵なモチーフとお友達になれますよ!! 今回のテーマは『トップガン マーヴェリック』にも登場した美しきマシン、「ポルシェ911」をご紹介します。取り上げるのは初期の「ナロー」と呼ばれるモデルです。

世界中を魅了する「ポルシェ911」とは?

解説/藤原よしお

 59年にもおよぶ歴史。 

 公開直後から世界的な大ヒットを記録している『トップガン・マーヴェリック』。劇中、マーヴェリックの恋人で、ジェニファー・コネリー演じるペニーが、シルバーのポルシェ911に乗っているシーンを見てニヤリとした方も多いかもしれない。
 というのも前作では、マーヴェリックが想いを寄せる“チャーリー”こと教官シャーロットの愛車として、漆黒のポルシェ356Aスピードスター(実際にはレプリカのインターメカニカであるのだが)が登場しているからだ。
 ポルシェ911と一口に言っても、その歴史は実に59年におよぶ。その中で今回は初期の「ナロー」と呼ばれるモデルにスポットを当てて振り返ってみることにしたい。

 911の誕生と栄光 

 ポルシェは戦後間もない1948年にVWビートルのコンポーネンツを使用した356を開発。北米市場を中心に大成功を収めたが、一方でさらなるパワーや実用性の向上を求める声が日増しに大きくなっていった。そこでフェリー・ポルシェ率いる開発陣はシャシーとエンジン双方の新規開発を決意。先進的なスチールモノコックのシャシーは、ホイールベースを2400mmに延長し、居住性と直進安定性の改善を図ることとした。
 ボディはエルヴィン・コメンダと若きフェルディナント・アレキサンダー(ブッツィ)・ポルシェが担当。当初は2+2ノッチバック・スタイルだったが、フェリーの意向で356を踏襲したお馴染みのシルエットに変えられたというエピソードが残っている。
 もうひとつの特徴であるエンジンは1991cc空冷水平対向6気筒SOHCで、当初からレーシングスポーツ906への転用を意識して設計されたパワフルで先進的なものだった。生産開始直後こそ重くパワフルな6気筒のRRゆえのアンバランスさ、高度な製作精度に対応するための生産遅延など“産みの苦しみ”を味わったものの、66年モデルでキャブレターをソレックスからウェーバーに変更するとエンジンの始動性、レスポンスが向上。生産台数も飛躍的に伸び、一躍世界のスポーツカー・リーグの頂点に上り詰めた。

 改良が重ねられる911。 
 ナロー世代の終焉 

 続く67年モデルで、エンジンを160hpにチューンしたハイパワー版の911Sとタルガをラインナップに追加した後、69年に初めてのビッグ・マイナーチェンジを実施。ホイールベースを57mm延長し2268mmとしたことで直進安定性が向上した。またエンジンに関しては、スタンダードの911Eと911Sにボッシュ製の機械式フューエルインジェクションが標準装備となり、それぞれ最大出力が140hpと170hpにアップしている。
 以降911はライバルに対抗するために排気量の拡大とパワーアップを続けていく。まず70年に各モデルの排気量を一斉に2195ccへ拡大。72年モデルではさらに2341ccへと拡大した。それに合わせ72年モデルではギヤボックスをより容量の大きな915型5速MTへと変更したほか、フロントのエアダムの追加、サスペンションの改良、さらに慣性モーメントの低減を狙いオイルタンクを右Bピラー付近に移すなど走行安定性の向上が図られている。
 さて、肝心の劇中に登場する911は73年の911Sだ。一見、72年モデルと変わらないが、右サイドに新設されたオイル給油口がガソリン給油口と間違えられるトラブルが多発したため、再びオイルタンクをリヤオーバーハングに移動しているのが外観上の識別点である(本来ならリヤのエンブレムやウインカーレンズ、テールレンズなどのモールがすべてブラックアウトされているはず……なんて無粋なことは言わないでおこう)。
 そして74年、911はアメリカ連邦自動車安全基準(FMVSS)の新しい衝突安全基準に対応した大型の“5マイル・バンパー”を装着した新しいボディ・デザインに変更され「ナロー」と呼ばれた世代は幕を閉じた。
 ちなみに、69年のマイチェンでボディ幅が拡大しているので、厳密には68年モデルまでを「ナロー」と呼ぶというのは……「911あるある」のひとつでもある。


ナローポルシェ911をプラモで楽しもう!

 今回はふたつのキットをご紹介。ひとつは手のひらサイズの1/32スケールでサクッと作れる「オーナーズクラブ ’65 ポルシェ911(昭和40年)」。もうひとつはフジミ模型から発売中の「1/24スケール ポルシェ911S クーペ ’69」。どちらも特徴があるキットなので、あなたの気分で選んでみてね。

▲キットは少々古いですが、パーツ数も少ないのでパパっと組み上がります。映画を見て911の「形」が欲しい! という方にピッタリ!!
▲魅力的な旧車が手のひらサイズで楽しめるプラモ、オーナーズクラブ

オーナーズクラブ ’65 ポルシェ911(昭和40年)

●発売元/マイクロエース●880円、発売中●1/32、約13cm●プラキット

▲フジミ模型は、さまざまな911をラインナップしています。69年にビッグ・マイナーチェンジを果たした911を再現したキットです
▲ボディは白成型色。エンジンも再現されたキットです

ポルシェ911S クーペ ’69

●発売元/フジミ模型●3520円、発売中●1/24、18cm●プラキット

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藤原よしお

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