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完全新金型のアルマホビー1/72キット「マスタング」を豊富なオプションパーツで仕上げる!

2022.08.14

P-51B/C マスタング「エキスパートセット」【アルマホビー 1/72】 月刊ホビージャパン2022年9月号(7月25日発売)

荒馬のすべてを網羅するエキスパートセット

 第二次大戦の最優秀戦闘機、ノースアメリカンP-51マスタングといえば、水滴型キャノピーで全面シルバーのD型が有名だが、マーリン・エンジンを初めて搭載し、欧州ではアメリカ陸軍航空隊に加えてイギリス空軍でも「マスタングMk.III」として運用、中国戦線では日本陸軍の一式戦「隼」や四式戦「疾風」などと対決したB/C型もまた重要な存在だ。アルマホビーから完全新金型でリリースされた1/72スケールのP-51B/Cマスタングは、「エキスパートセット」の名のもとに多様な機体仕様を完璧に再現できる。豊富なオプションパーツで荒馬を乗りこなせ!

▲B/C型はA型のエンジンをスピットファイアなどと同じマーリンに換装、プロペラも4翅としたタイプで、長距離戦闘機として大幅な性能向上を果たした。製造工場の違いによりB型とC型に分類されているが、外観上の相違点はほとんどない
▲アルマホビーのキットはフォルムやディテールの再現度が非常に高く、1/72のみならず全スケールを通じてのベストなB/C型が製作可能。また作例のようなマルコムフード装着機などさまざまな機体仕様に対応できるオプションパーツも用意する
▲コクピット内部も精密に再現。フラップを下げ状態にする場合は、上面の境界部分はシルバーになるので塗装時は注意しよう
▲機首は排気管シュラウドの有無、吸気パネルなどが選択可能。上部にはパネルラインおよびパネル取り付けファスナーのモールドを追加した
▲胴体内部は部位によって塗色が異なる。コクピットは機体仕様に応じてシートや無線機まで選択できる
▲主脚収納庫は秀逸な出来映えなので、塗装をしっかりと。D型と異なる前縁部の形状も正しく再現されている
▲機首左側面。排気管直後の点検パネルは、存在しない機体も作れるようにエッチングパーツによる再現
▲B/C型は軽量で高速、シャープな操縦性などが後のD型より優れており、パイロットからはP-51シリーズ最高のタイプと讚えられている。欠点の後方視界も中央キャノピーをイギリス空軍が開発した「マルコムフード」に換装することで改善された

■期待のB/C型キット
 1/72で良質なキットを連発してきたアルマホビーから、P-51B/Cが完全新金型でリリースされました。本キットの特徴は、B/C型全タイプを作れるように、細かな機体仕様の違いを再現できる豊富なオプションパーツが用意されていること。たとえば作例では排気管の後ろに小さなパネルがありますが、存在しない機体も作れるようエッチングパーツで対処できるようになっています。また今回の作例ではマルコムフード装備のキャノピーを選びましたが、もともとP-51Bはスライド機構がなく、現地改修で後付けされたマルコムフードはレールも外付けになっています。これをきっちり再現したキットは全スケールを通じて初めてではないでしょうか。それだけでもこのキットの価値は相当高いものです。

胴体の組み立て
 ほとんどのキット同様、コクピットから始めます。作る機体によってパイロットシートが異なるので、マーキングに従い選びます。2種類のシートそれぞれに専用のショルダーベルトが付属するのはさすがですね。またシート背部の無線機類も作る機体によって異なるので注意します。
 計器盤はデカールを貼るだけで充分でしょう。コクピット両サイドの計器類にも細かいデカールを貼るようになっていますので、めげずに貼りましょう。1/72とは思えない素晴らしいコクピットができ上がります。
 胴体下部のラジエターパーツにもエッチングパーツが付属します。胴体内側はコクピット周り、ラジエター部、尾脚庫と異なる色で塗り分けておきます。それぞれの内部パーツをセットして左右胴体を接着。この際機首上部にパネルラインおよびパネル取り付けファスナーのモールドがないので再現しておくとよいでしょう。P-51はここが結構目立ちます。

■主翼の組み立て
 まず脚庫を組み塗装しておきます。主脚庫は尾脚庫と同様、コクピット色とは異なるクロメイトイエロープライマーで塗装。黒のスミ入れ塗料でウォッシングしておくとリアルになります。脚庫から見えるコクピット床板の裏側もぬかりなく塗装しておきます。
 主翼は上面も下面も左右一体なので上反角はバッチリ、かつ上下の合わせ、胴体との合わせもまったく問題なくピッタリです。主翼の内部に入れる機銃パーツを忘れずに。
 フラップが別パーツになっていますが、主翼上面に隠れるフラップの前方がシルバーになりますので、特に上面オリーブドラブの機体で下げ状態とする場合は、別途塗装して後で取り付けたほうがよいでしょう。
 完成した胴体、主翼、尾翼を組み付けますが、どこもドンピシャで合いますので気持ちいいくらいです。機首下面のインテークパーツ、ラジエター部の前面パーツ、ラジエターフラップを取り付け塗装に備えます。

■塗装&マーキング
 このキットは6種類のマーキングとボーナス1種の7バージョンを楽しめます。その中から塗装例1、つまり箱絵の機体を選びました。オリーブドラブとニュートラルグレーの迷彩は後のD型ではあまり見られないので、新鮮さを感じます。
 まず白の部分をGSIクレオスのMr.カラーC62つや消し白で塗り、マスキングして全体をガイアノーツのサーフェイサーエヴォ ブラックで下塗り。次に下面をニュートラルグレーC13、上面をオリーブドラブで塗ります。下面との境はエアブラシの極低圧、極細吹きでフリーハンドで行っています。上面のオリーブドラブはまずGSIクレオスC38で塗り、そのうえからパネルごとにC12を上塗りしています。
 乾燥後タミヤのスミ入れ塗料(ブラック)でスミ入れおよびウォッシング。デカールを貼り乾燥後、3/4ツヤ消しでオーバーコート。プロペラや脚、増槽などを取り付けて完成です。

■最後に
 とにかく素晴らしいキットです。全スケールを通じてP-51Bのベストキットでしょう。繊細さゆえ組み立てに神経を使う箇所もありますが、今後もまだ数機は作る予定です。

アルマホビー 1/72スケール プラスチックキット

P-51B/C マスタング「エキスパートセット」

製作・文/山田昌行

P-51B/C マスタング「エキスパートセット」
●発売元/アルマホビー、販売元/ビーバーコーポレーション●6820円、発売中●1/72、約13.6cm●プラキット

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山田昌行

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