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42年を振り返る! ガンプラ工作テクニックの歴史

2022.07.25

技の歴史 ガンプラ工作テクニックの今と昔●林哲平 月刊ホビージャパン2022年9月号(7月25日発売)

技の歴史 

 ガンプラが誕生してから今日まで、モデラーは常にその作り方を模索してきました。そしてガンプラも進化を続けています。モデラーが工作力を高めて完成させれば、ガンプラはさらにその上をいくアイテムとしてリリースされる。それはまさに“技の歴史”。ガンプラ工作テクニックもガンプラもそうやって進化してきた一面もあるのではないでしょうか? ここではガンプラ42 年の歴史の中で、その工作テクニックの進化を促したものを解説していきます。


■40年前から基本は変わっていない?

初心者ガイド ゲルググ

 1980 年7月に最初のガンプラである1/144ガンダムが発売され、後にガンプラは社会現象となるほどの大ブームを迎えました。小中学生などの低年齢層が大量に流入し、この世代は現代までガンプラを支える大きな層となるのですが……。当時の子供たちにとって、プラモデルの製作法とは未知の技術。HJ本誌の作例を見ても「どうやって作っているのか?」はわかりません。新しく読者になった若年層からは製作法についての問い合わせが殺到しました。熱意あるニュージェネレーションに模型技法を伝えなければならない。文字通り「ガンダムの作り方」として「HOWTO BUILD GUNDAM」が2冊刊行され、大ヒットとともに多くの工作テクニックが広く知られることになりました。合わせ目の消し方・塗装前の表面処理のような基本工作から、スジ彫り・プラ板やパテによる工作・延長、幅詰めによるプロポーションの変更、ヒートプレス、レジンやシリコーンによる複製などの上級者向けテクニックまで。現代まで伝わる工作テクニックのほとんどはこの時代に登場し、基本的な部分はそれほど変わっていないのです。


■工作黄金時代

1986年 7月 ホビージャパン

 1985年には『機動戦士Ζガンダム』が放送開始。MSのデザインが急速に複雑化し、アニメや設定画のイメージとは違うキットも少なからずありました。クィン・マンサのように当時はキット化されていない人気MSも増え、「ないものは自分で作る」「改造して自分のイメージ通りのMSを作る」という需要が現在よりも強い時代だったのです。工作ポイントも「頭部の小型化」「胴体の幅詰め」「脚部の延長」とわかりやいキットが多く、モデラーの手で「60 点を80 点にする」のは、第一次ガンプラブームからずっと作り続けている熱意あるモデラーにとって不可能ではありませんでした。手を加えれば加えるほど応えてくれる。純粋に工作を楽しむという意味において、80 年代後半はガンプラ工作黄金時代だったのかもしれません。


■平成以降のガンダムと工作テクニック

1993年 6月 ホビージャパン

 1993年、8年ぶりのTV放映となった『機動戦士Vガンダム』では1/144シリーズにポリ製の「Vフレーム」を採用。以後、平成ガンダムと呼ばれる3部作や『∀ガンダム』にかけてのキットは当時リアルガンダムと並ぶ人気だったSDガンダムのユーザーを意識してか、パーツ数を抑え、組み立てやすい構造となっていました。反面、関節がポリキャップむき出しになるなど明確な工作ポイントが多かったのです。この時代は「後ハメ加工」「ポリキャップをプラ板で囲む」「肉抜き穴埋め」などの工作が広まります。1998年には小社単行本「ガンプラマスターへの道」が発売。実は初心者向けにガンプラ基本工作がまとめられたHowto本はそれまでになく、SD~平成ガンダムで入ってきた世代にとって工作のバイブルとなりました。


■ガンプラの進化に工作が追いつかなくなる?

2007年 6月 ホビージャパン

 ガンプラは箱を開け、色を塗らず、キットをそのまま組み立てた状態が完成品です。現在では誰が作っても、素晴らしいクオリティの完成品が手に入ります。つまり、ガンプラが進化すればするほど、工作、特に大改造やスクラッチの必要性は減少するのです。ガンプラの進化は凄まじく、そのクオリティは年を重ねるごとに二次関数グラフのごとく上昇。1995 年にMG、1999 年にHGUCが発売されるとその傾向はますます顕著になり、個人的には『機動戦士ガンダム00』が始まり、一年戦争系MG Ver.2.0のリリースが始まった2007 年以降はよほどのコダワリでもない限り、大改造が必要なキットはほぼ存在しなくなったと感じています。60 点を80 点にするより、100 点を120点にするほうが遥かに難しいもの。あまりに高精度でハイクオリティとなったガンプラは下手に工作すると「改悪」になってしまいます。私もガンダムの顔を改造しようとしたところ、どんなに頑張ってもカッコ悪くなり、結局無改造で仕上げたことが何度もあります。


■ガンプラ工作ふたつの流れ

 とはいっても、我々モデラーは工作したい生き物です。進化し続けるガンプラへと対応する工作の潮流として、私にはふたつの流れがあるように感じます。ひとつはオリジナリティを強調するための工作。もうひとつは高精度化による工作自体のブラッシュアップです。


■オリジナリティを強調するための工作

2020年 3月 ホビージャパン

 ガンプラには自分だけのオリジナル作品を作る文化があります。スジ彫りやディテールを追加したり、複数のキットを組み合わせて自分だけのオリジナルMSを製作したり。パーツをゼロからガンプラの精度に合わせて自作するのは大変ですが、同じガンプラのパーツを上手くミキシングするのであれば超人的な工作力も必要ありません。スジ彫りやディテールを追加すれば、ひと目で元キットから改造していることをアピールできます。優れたオリジナル作品は目につきやすく、高く評価される傾向が強いもの。インターネットが普及し、SNS 時代に突入すると個性を強調した作品を作るモデラーは以前よりずっと増えました。ガンプラのラインナップ、ディテールアップパーツの充実も後押しとなり、オリジナリティを強調するための工作はごく当たり前の工作テクニックになっています。ガンプラの進化を考えると「楽しむ」ことにおいてはこちらの方向性のほうが健康的かもしれません。


■高精度化による工作のブラッシュアップ

HJ5月号表紙

 上昇するガンプラの精度に合わせて、工作自体の精度も上げていく。真正面からガンプラに挑む、ストロングスタイルと言っていいでしょう。これを可能にしたのは工具やマテリアルの大きな進歩です。例えば昔はPカッターやケガキ針で彫っていたスジ彫りは、ラインチゼル→BMCタガネと進化していき、均一で高精度なものが以前より格段に楽に彫れるようになりました。目詰まりしにくいヤスリ、プラへの食いつき抜群の瞬間接着パテ、表面処理でついたキズを消してくれる高性能サーフェイサー、以前では考えられないほど隠蔽力の強い塗料、塗膜の剥がれに強いフッ素入りフラットクリアーなどなど……。もちろん、それを使いこなすモデラーの努力あってのものですが、優れた工具・マテリアルは進化し続けるガンプラへ対応するための強い武器になっているのです。


■全日本オラザク選手権に向けて

 オラザク強化合宿とも言える今回の特集はより基本に注力した内容となっています。派手な工作に目が行きがちな模型コンテストですが、優れた作品は例外なく基礎がしっかりしているもの。今年、オラザク選手権は記念すべき第2 5 回大会を迎えます。1998年の開始より実に四半世紀。ぜひ、この特集で学んだテクニックを武器に、自慢のガンプラで参戦してしてください! 皆様の素晴らしい作品を心待ちにしております。


工作テクニック年表

1981年

「HOW TO BUILD GUNDAM」1、2が刊行。ガンプラ基本工作の確立

1985年

『機動戦士Ζガンダム』放送開始。80年代後半は徹底改修、フルスクラッチの全盛期となる

1995年

「MG RX-78-2ガンダム」発売。モデラーが工作に求められる基準値が急上昇

1998年

「第1 回全日本オラザク選手権」開催。優勝作品はバキュームフォームを多様したフルスクラッチの1/100ハイゴッグ

2006年

セイラマスオ氏プロモデラーデビュー。成型色のままでも徹底改修が可能であると証明される

2013年

『ガンダムビルドファイターズ』放送開始。オリジナルガンプラのカスタマイズ工作がより一般化

2016年

本誌4月号にて工具が表紙を飾る。工具、マテリアルの進化に注目が集まる

2022年

そして現在。ガンプラ工作テクニックの進化は続く…


ガンプラコンテストの対策本
「ガンプラ凄技テクニック機動模型超級技術指南」

凄技超級表紙

 オラザク選手権の審査員も務める林哲平によるガンプラ最上級者に向けた製作指南本。審査側から見た模型コンテストの裏側や、評価が高まる作品のポイントなど「知っているだけで得をする」コンテスト対策記事が充実。オラザク上位入賞を目指すモデラーはぜひ手にとっていただきたい。

購入はコチラ


時代を築いたプロモデラーのガンプラ工作テクニック

肩ハの字(「HOW TO BUILD GUNDAM」より)

モビルスーツ バリエーション ホビージャパン
▲川口克己氏による1/144ZAKU 砂漠使用(写真左上)。肩はハの字に加工され、より自然な肩のラインが生まれている。ガンプラ初の定番改造工作として定着し、現代でも当時ものキットを愛好するモデラーにとって欠かせない工作となっている

波佐本ディテール(「MOBILE SUIT GUNDAMZZ」より)

波佐本英生 フルスクラッチ1/144ハンマ・ハンマ MOBILE SUIT GUNDAMZZ
▲波佐本英生氏のフルスクラッチ1/144ハンマ・ハンマ。氏のデビュー作であり、スケールモデルの小パーツを駆使した「波佐本ディテール」はこの時点から健在。メリハリの効いたプロポーションも素晴らしく、ハンマ・ハンマの最高立体物に推すモデラーも多い※下側の写真が波佐本氏の作例

アップグレードモデリング(本誌2000年12月号より)

上原みゆき 1/100アッガイ 2000 12 ホビージャパン
▲上原みゆき氏による1/100アッガイ。「GEXアップグレード作戦」として、1/100キットをMG基準に更新する連載企画の完成作品。この作例が発表された当時、MGで水陸両用型MSはまだ発売されておらず、オラザク選手権では当時ものキットをアップグレードした作品が猛威を奮っていた

MG徹底改修(本誌2000年12月号より)

MAX渡辺 MGサザビー 2000 12 ホビージャパン
▲MAX渡辺氏によるMGサザビー。全身のボリュームアップ、後にガンプラに取り入れられる股関節のスライド機構など全身くまなく手が入っている。初期MG時代、氏の徹底改修作品はモデラーに大ブームを引き起こした「MAX 塗り」と合わせて大人気で、新作が発表されるたびに大きな反響を呼んだ

大角ディテール(本誌2000年7月号より)

大角基夫 1/144パーフェクトズゴックキャノン 2000 7 ホビージャパン
▲大角基夫氏による1/144パーフェクトズゴックキャノン。台形を基調とした独特の「大角ディテール」はモデラーに大きな影響を与えた。オリジナルモデルを数多く製作し、パワーアップユニットを換装可能な脱着式にするなど後の『ガンダムビルド』シリーズに見られる構造を先取りしていた
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林哲平(ハヤシテッペイ)

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