「1/100 ザブングル・タイプ」に最新キットを取り込み徹底改修【戦闘メカ ザブングル】
「HJメカニクス12」より
2022.06.16
HJメカニクス12
風か嵐か
青い閃光
最新キットを取り込み、スタイル&可動ギミックを徹底改修
番組前半の主人公機ザブングル・タイプの1/100スケール作例をご覧いただこう。キットは1/100スケール第9弾と、シリーズとしては後発で、ブングル・スキッパーやブングル・ローバーへの変形はオミットされているものの、他のウォーカーマシンと同様のフルディテール、頭部やブングル・スキッパーのコクピットキャノピーのクリアー成型パーツや、ライフルほか腕用4連装ミサイル・ランチャー、肩用3連装バズーカ、9連装ミサイルポッドなどの豊富な武装が付属するなど、作りごたえのある仕上がりとなっている。作例は設定画稿や劇中のスタイリッシュなプロポーションと可動ギミックの両立を図るべく、MGキットからパーツを流用。徹底改修を施し、1/100ザブングル立体の決定版を目指している。
COLORING DATA
本体青1=
WM-01 ウォーカーブルー1(ガイアノーツ)
本体青2=
WM-02ウォーカーブルー2(ガイアノーツ)
本体白=
ニュートラルホワイト(NAZCA)
本体赤=
フレイムレッド(NAZCA)
本体黄色=
マンダリンイエロー(NAZCA)
タイヤ類=
CM-04 タイヤブラック(ガイアノーツ)
センサー類=
プリズムブルーグリーン(ガイアノーツ)
武器類=
AT-04 パープルグレー(ガイアノーツ)
放送40周年を迎えて各所で盛り上がってますね、ザブングル。そんな節目に決着をつけたかったキットを作例で製作させてもらえるということで、1も2もなく飛び付いた次第です。飛びついたは良いのですが、なぜ今まで決着を付けなかったかをあらためて思い知らされる羽目に…(笑)。HJメカニクスの読者ならご存知のように、過去のキャラクタープラモにはオーパーツとも言える、その時代のキットと比べて突出した出来のシリーズが存在します。タカラの1/48ダグラムシリーズしかり1/24ボトムズシリーズしかり。そんな中で1/100ザブングルシリーズもその中に加えられるべきシリーズのひとつだと断言して良いかと思います。ただひとつ、主役のザブングルを除いて。そうなんです。他のWMは作品の世界観を見事に体現した、ある意味作品に登場するWMよりもWMらしい珠玉の出来なのですが、主役のザブングルだけは例外な感じでして。他ラインナップのように重機、建機的なアプローチにも振り切れず、劇中のようなキャラクタライズされたロボットにも振り切れず。元デザインからして他WMとは一線を画すので難しいのは充分理解できるんですけどね。
加えてグッスマさんからMODEROIDシリーズで、めちゃくちゃカッコいい完全新規キットの発表です。え、もうコレでいいじゃん、コレ作りたい! と思いながらも、逆に新規キットを作ったら、それこそ旧キットに決着を付ける機会を失ってしまうと自分を奮い立たせて挑みました(笑)。
だいぶ前置きが長くなりましたが、そんなわけで今回のコンセプトは、なるべくキットの印象は尊重しつつ、プロポーションや可動のアップデートを図るというもの。手持ちのお手つきのキットのパーツを流用しつつ製作しました。以下、各部解説です。
■頭部
いきなりですが切り刻んでいます(笑)。アリバイ程度にキットの部位が残っていますが、それこそフルスクラッチしたほうが早かったかも。全体の印象として横幅を詰めるイメージです。とにかくザブングルの顔は難しい! カッコ良すぎても何か違うしブサイクすぎてもブサイクだし(笑)。納得いくまで盛り削りを繰り返しました。
■胴体
こちらもキットのパーツを横幅を大幅に詰めて使用しています。ザブングルを立体化するにあたり解釈の分かれる腰周りですが、前面装甲はフレームを利用してセパレート可動に。タイヤで見えなくなる横面の装甲は思い切って排除しました。
■腕部
特徴的なデザインの肩ですが、内部フレームと一部装甲をMGザクⅡ Ver.2.0から流用。外装はキットのものを調整して使用しています。上腕、前腕はイメージの近いMG陸戦型ジムのものをフレームごと流用していますが、そのまま使用するとヒジ関節の見え方がイメージと異なるので、前腕上部外装をプラ材を挟んで上部に持ち上げて、なるべく上、前腕の隙間を減らすように調節しています。前腕に付くタイヤは流用キットのハードポイントを利用して取り付けています。
■脚部
太モモは腕部同様イメージの近いMG陸戦型ジムのものを流用していますが、そのままだと股間の可動範囲がうまく取れません。そこで股関節に繋がる上部をMGジム・スナイパーⅡのものを回転軸ごと流用することで、かなりの可動範囲を確保することができました。
■武装など
ライフルはキットのものだと圧倒的に厚みが足りないので、HI-METAL Rのものを参考にしながらスクラッチ。右肩3連装バズーカは砲身をプラパイプに変更、右肩9連装ミサイルポッドはほぼキットのままで。肩へ接続する際のパーツは、設定だと左右が繋がった形状ですが、胴体幅を詰めた都合上サイズが合わないので左右でセパレート化。さらにそのまま武装を取り付けると頭部に干渉してしまうので、オフセットして取り付けられるように加工しています。
■塗装
全体をメカサフ スーパーヘヴィで下地塗装後、ガイアノーツさんのザブングルカラーなどを使用しつつ基本塗装。デカールを貼ったあと、ツヤ消しクリアーを吹きます。その後Mr.ウェザリングカラーグランドブラウンなどでウォッシング、タミヤウェザリングマスターのスノーでエッジにハイライトを乗せていきます。ここでまた一度ツヤ消しクリアーで軽めにコートした後、NAZCAのエナメルカラー、デントグレーや各種パステルでウェザリングを施しています。
よいタイミングで、当時ものキットになんとか決着が付けられて感謝! これで気持ちよく新しいキットにも取り組めそうです!
BANDAI SPIRITS 1/100スケール プラスチックキット
ザブングル・タイプ
製作・文/NAOKI
こちらの「ザブングル・タイプ」は先日発売された「HJメカニクス12」に掲載されております!
TV放映40周年を迎え、改めて注目が集まっている『戦闘メカ ザブングル』を徹底フィーチャーし、 「ザブングル・タイプ」 や「ウォーカー・ギャリア」をはじめとするウォーカーマシンたちの作例&ディオラマを多数収録。
再販キットを購入した方はもちろん、『ザブングル』を知らなかった方にも魅力が伝わる一冊となっておりますので、ぜひお手に取ってご覧になってみてください!
Ⓒ創通・サンライズ
NAOKI(ナオキ)
メカニックデザイン、造形、造形プロデュースなどさまざまフィールドで活躍するマルチクリエイター。