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水性ホビーカラー筆塗りでの黒立ち上げ塗装を解説! ハセガワ「1/72 リガード」を雰囲気抜群に仕上げる

2023.09.30

筆塗りTribe 月刊ホビージャパン2022年7月号(5月25日発売)

水性ホビーカラー筆塗りでの黒立ち上げ塗装を解説! ハセガワ「1/72 リガード」を雰囲気抜群に仕上げる

俺たちと筆塗りを楽しんでいこうぜ!!

 プラモを筆塗りでガンガン楽しんでいるナイスなパイセンたちの作品とテクニックをみんなで読んで、どんどん筆塗りを楽しんでいきましょう。お好きな筆にお好きな塗料と、パイセンたちの好みをドストレートに紹介します。
 ここでは、清水圭による「ハセガワ 1/72スケール リガード(標準量産型)」をお届けします。水性ホビーカラーを使用して、混色を一切しないで抜群の雰囲気に塗り上げます!! 清水パイセンの筆塗りで、筆塗りパワーをビンビンに充電しようぜ!!(構成・文/フミテシ)

清水圭

 月刊ホビージャパンやHJメカニクスで、ジャンル問わずかっこいい筆塗り作例を仕上げています! 最近は水性ホビーカラーがお気に入り。混色無しでもかっこいいグラデーションを描いていく色選びのセンスも抜群です。

水性塗料筆塗りの教科書のスピットファイアの作例も見てね!

省スペースで楽しめる筆塗り

▲筆塗りは、準備が楽なところが良いですね。このように省スペースで充分塗装が楽しめます

赤澤屋のリレッドの平筆を使用!!

▲画材屋さんで見つけた赤澤屋のナイロン筆、リレッドの筆を愛用しています
▲赤澤屋のリレッドシリーズは、極小サイズの幅が細かくラインナップされているので、細部塗装からメイン塗装まで対応可能です。溶剤耐性の強いナイロン筆なのも、模型の筆塗りに適している理由です

水性ホビーカラーで塗って行くよ

▲近年完全リニューアルされたことで、一気に使いやすくなった水性ホビーカラー。適度に下地が透けるので、陰影を活かした塗装も楽しめます
▲下地のサーフェイサーは均等に塗りたかったので、GSIクレオスの水性サーフェイサーのブラックとグレーを混ぜたものをエアブラシで塗装しました。グレーを塗ったことで、リガードのグレーを筆で塗り込まなくてよくなるので、手数を抑えることもできます。適材適所で筆塗りとエアブラシを使い分けるのももちろんありです。クリアーパーツ部分もダークグレーで塗りつぶしています

筆塗りの重厚な雰囲気で、戦場のリガードを表現

Point
1/下地は塗りつぶさない!
2/基本色は暗めの色を塗ってから、明るめの色を塗る!
3/筆塗りは最後のウォッシングで一気にかっこよくなる!

下地を隠蔽しようとしない! 塗り残しが雰囲気を生み出す

 筆塗りというと、塗料を均一に塗ろうと頑張って塗り込みがちです。そうすると厚塗りでべたべたした感じの完成品になります。下地は塗りつぶさずに細かく塗り残しとすることで、キズ、汚しの情報量を増やす役割があります。リガードは主に宇宙での使用をイメージして、アポロ計画の宇宙服に見られるレゴリスによる黒っぽい粒子汚れをイメージしています。そのために下地は濃いめのダークグレーとしました。

白は明灰白色(1)からスタート

▲グレーに近い白を初めに塗ります。ダークグレーの下地に、いきなり白を塗るとメリハリが付きすぎるのと発色するのが難しいです。その中間色として明灰白色はとっても便利な色です

下地を残しながら、全体を塗って行きます

▲写真のように下地のダークグレーが透けて見えて問題ないです。まずはこんな感じで全体を塗ってしまいます

小まめに塗料を含ませよう

▲長時間塗っていると、筆の塗料が無くなって塗面がガサガサになります。小まめに筆に塗料を含ませて、軽快に塗り進めましょう。また筆の中の塗料が乾いてきたら、水性ホビーカラー専用うすめ液で筆を軽く洗いましょう

明快白色を塗り終えました

▲適度に下地のダークグレーが透けていますね。これがいい感じに汚れや傷の雰囲気に見えてかっこよくなります。筆塗りで色を重ねるときは、1回目が乾いてから塗り重ねるようにしましょう

本体の青は、ミディアムブルーからスタート

▲次に本体の青です。こちらはミディアムブルーで行きます。これはアメリカ海軍機に塗装されていた色で、少しくすんだ青なのが特徴です。ダークグレーにも負けずに適度に発色します

最初にキワの部分を攻めよう

▲明快白色とのキワの部分を先に塗って行きます。そうすることではみ出しなども最小限に抑えられるからです。キワを塗り終えたら、中を塗りつぶすようにどんどん塗って行きます

この暗めの青が良い下地になります

▲だいぶ暗い青の印象ですが、この暗めの青がこの後塗る明るめの青をひき立たせます

明るめの色を上塗りしてさらに情報量をアップ!!

 明快白色、ミディアムブルー、グレーの箇所に同系色の明るい色を乗せて、より情報量を増していこうと思います。清水パイセンは光の当たる方向といったハイライト的な考え方ではなく、「ここに色数が増えたらかっこいいよね」と思う場所に明るい色を塗っています。グラデーションの考え方で絵画的な考え方を取り入れすぎると難しくなりがちですが、スジ彫りを増やすように、色数を増やすという考え方で塗ってみるとそこまで頭をひねることなく、あなたの感性でぺたぺたと筆塗りを楽しめると思います!!

明灰白色の上にグランプリホワイトを塗ります

▲真っ白を塗るとメリハリが強く出そうなので、暖色系のグランプリホワイトをセレクト

ここでも下地を塗りつぶさないように!

▲グランプリホワイトを面中央などに塗って行きます。全体に塗ってしまうと、明灰白色やダークグレーを塗りつぶしかねないので、明るくしたいところだけに塗っていきます

パネルの中央なども明るめにしてみます

▲パネルやハッチなどは、中央に明るい色を塗ると、スジ彫り周辺との色味がはっきりと分かれて、模型の良いアクセントになります

青はRLM65 ライトブルーを使用

▲ドイツ軍の飛行機に塗装される明るいブルー。かなり特徴的な青ですが、マッチするのでしょうか……

塗料は薄めにして塗ります

▲下地のミディアムブルーを透かせるために、ライトブルーは薄めにしたものを塗ります。濃いめで塗ってしまうと、一気にミディアムブルーが隠蔽されてしまいます。こちらもピンポイントで明るくしたい部分に塗料を塗って行きます

パーツの形状によって筆のタッチを変えてみる

▲丸いパーツの周囲は、パーツの形状に沿って放射状にタッチを広げたり、筆の塗料をカサカサにしたドライブラシの技法で塗ったりしても良いです。タッチを変えて遊んだぶんだけ、あなたの模型になります

ダークグレーの上にはグレー(ねずみ色)でタッチを加えます

▲ダークグレーの上は、通常のグレーで充分明るくなります。関節や砲身に塗っていきましょう


派手に筆目を残してもかっこいいよ

▲筆先で塗料を擦りつけるように塗ってみます。細かな筆目が砲身の形状に沿って現れます。使い込まれた雰囲気が出てとてもかっこいいです



渋いかっこよさだぜ!!

▲メインカラーの塗り分けが完了です。下地のダークグレーもちらほらと透けていることで雰囲気ある仕上がりとなっています。一生懸命塗り込まずに、下地を活かして塗り重ねていきましょう


センサー類を塗ろう

▲センサー類はクリアーパーツ化されていない箇所もあったので、統一感を出すためにすべて塗装で表現することにしました。シルバーを塗ってからクリアーレッドを塗ります

シルバーの上に薄くクリアーレッドを塗るよ

▲センサー部分にシルバーを塗り、その上からクリアー塗料を塗ることで、きらりと光るセンサー類の塗装をお手軽にできます

きらりと光るセンサーができました

▲完成です。センサー類は模型のアクセントになる部分なので、ぜひこの方法で塗装してみてください

デカールにもアクセントをつけてみよう

▲デカールと本体のブルーを馴染ませるために、本体に塗ったライトブルーで退色表現を入れていきます

デカールの内側に輪郭にライトブルーを塗るよ

▲デカールに塗料を塗るのではなく、デカールの輪郭の内側を薄くランダムに塗りつぶすように塗ります

スポンジチッピングという技法だよ

▲エナメル塗料のダークグレイをスポンジに含ませて、エッジ部分や、一部の平面にポンポン押し付けていきます。これで塗料が剥げた雰囲気をお手軽に施すことができます

プレミアムトップコートの半光沢で保護します

▲ここまで塗ったらプレミアムトップコートの半光沢で塗膜やデカールを保護します

締めはタミヤ スミ入れ塗料のダークブラウンでウォッシング

▲タミヤのスミ入れ塗料のダークブラウンを全体に塗ります。その後にエナメル溶剤を含ませた綿棒で拭き取ります。拭き取りには、両端のサイズや形状が異なっている綿棒がオススメです。1本で拭き取りのタッチを変えることができます

エナメル溶剤を含ませた綿棒で拭き取ろう

▲塗料の残し加減は乾燥時間でも変えられます。うっすら残したい場合は乾燥前にすぐ拭き取り、しっかり残したい場合は乾燥させてから塗膜を削る感じで拭き取っていくと良いです

Finish

筆塗りで雰囲気抜群!

▲ダークブラウンによる汚しは、重力方向をメイン施していますが、砲身周辺などはパーツの形状に合わせて放射状に拭き取ったりしています
▲キットは専用のスタンドが付属するので飛行状態での展示も可能です
▲左のキット素組みと比べると、重厚な仕上がりになったのが分かると思います。ぜひこの記事を参考に、リガードをあなただけの色で塗ってください!!

清水パイセンと筆塗り

MAX塗りをやってみたくてエアブラシを買ったら、すぐに筆塗りの衝撃に出会った


──清水さんは、プラモを始めた時から筆塗り一直線だったんですか?
清水:いやいや。それこそ月刊ホビージャパンを読んでMAX塗りをやってみたいと思って、エアブラシを買ったんですよ。いろいろ準備してね。そうしたら同時タイミングで、月刊ホビージャパンでも現在連載している『マシーネンクリーガー』と出会ってしまったんですね。筆塗りでこんな塗り方できるの!? ってマジでびっくりしました。エアブラシを出して塗装準備するよりも、筆と塗料だけで準備が済むから、とりあえず先にマシーネンの筆塗りから試してみたんです。

──そうしたらMAX塗りには戻ってこなかったんですね。
清水はい……。どっぷり筆塗りに浸かってしまいました。MAX塗りの陰影はかっこいいから一度はチャレンジしてみたいと思っています。またエアブラシでクリーンに塗装されたガンプラも本当にかっこいい表現だと思っていて、あれはエアブラシならではの塗装表現だなと思っています。

筆塗りとエアブラシは全く異なるもの


──筆塗りとエアブラシでは目指す方向性は違うということですかね?
清水:「塗装」と一括りにしてしまうと同じように聞こえてしまいますが、エアブラシと筆塗りはできることが全く違うので、一緒に考えずに別の表現方法と思って良いと思います。エアブラシは、ぼかしや均一な塗面を生み出すのに本当に適しています。筆塗りは、筆ならではの重厚なタッチや勢い、慣れればマスキングなども最小限で塗り分けていけるダイナミックさがあります。完成後の仕上がりも異なりますので、筆塗りで塗られた作品の質感が好きなら筆塗りをガンガン楽しむのが良いですし、先ほど言ったクリーンなガンプラのような仕上がりを目指すなら、エアブラシを使ったほうが手っ取り早いです。

ひとつの技法に道具に拘らずに、いろいろ楽しんでみよう!


──清水さんは、今回下地のサーフェイサーはエアブラシで塗っているんですよね?
清水:そうです。下地塗装は均一にしたかったのと、短時間で塗り上げることができるのでエアブラシを使っています。筆塗りメインの作例でも、要所要所でエアブラシを併用すると、さらに作品に幅が出るのでオススメですよ。飛行機の排気管から出ている汚れとかは、エアブラシでぼかして吹き付けると、本体の重厚な筆塗りとマッチして、すごくかっこよくなります。適材適所で、道具や技法を選択してプラモの塗装をするのも本当に楽しいのです、自分はこの塗料やこの道具でしか塗らない! みたいな感じはもったいないと思います。いろいろ試して、自分なりの表現が見つかりできることが増えたほうが、本当にプラモは楽しくなると思います。

ハセガワ 1/72スケール プラスチックキット

リガード(標準量産型)

製作・文/清水圭

リガード(標準量産型)
●発売元/ハセガワ●3300円、発売中●1/72、約22.5cm●プラキット

Ⓒ1982 BIGWEST

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清水圭

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